Vol. 142

ご参考資料
Vol. 142
(対象期間:2016年11月7日~2016年11月18日)
インドの金融市場は、政府が既存の高額紙幣を廃止し新紙幣の発行を決めたことで変動幅が大きくなりました。株式市場では
経済の短期的な不透明感が増すとの見方から、代表的株価指数のSENSEX指数は対象期間中に4.1%下落しました。債券市
場では、中長期的には経済にプラスになるとの見方から、国債利回りは急低下(価格は上昇)しました。為替市場では、米大統
領選挙後の米国債利回り急騰を受けて米ドル高が進む中で、対米ドルではインドルピー安となりましたが、対円ではルピー高
でした。高額紙幣廃止についてはニュース欄、米国債とインド国債の動向については2ページ目の基礎講座をご参照ください。
[株式市場]SENSEX指数の推移
[株式市場]
(2002年12月31日~2016年11月18日)
週間騰落率
日付
終値
(前週末比)
(ポイント)
11月4日 27,274.15
40,000
-1.7%
11月11日 26,818.82
11月18日 26,150.24
-2.5%
個別銘柄では、高額紙幣廃止が預金増など業績にプラスに働くと
の 見 方 か ら イ ン ド ス テ イ ト 銀 行 が 対 象 期 間 中 に 13.5 % 高 と 、
SENSEX指数構成30銘柄の中で値上がり率トップとなりました。一
方、現金取引が多い不動産の関連株は急落し、不動産セクターは
対象期間中に15.0%安となりました。
30,000
[債券市場]
インド10年国債利回りは、高額紙幣廃止を受けて2009年5月以来
の水準に低下(価格は上昇)しました。11月8日に行われた地方債
の入札が好調で、インドの債券に対する高い需要が示されたことも
相場を押し上げました。入札では、過去6年間の最高額である合計
2,639億ルピー(約4,300億円)の地方債が発行されました。
20,000
10,000
0
2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月
[為替市場]
米大統領選挙で共和党のトランプ候補が次期大統領に決まったこ
とを受けて、米国債利回りは急騰し、米ドル高が進みました。インド
ルピーは対象期間中に対米ドルで2.1%安でしたが、円が対米ドル
で大きく下落し、対円では4.9%高となりました。
[債券市場]インド自国通貨建て10年国債利回りの推移
(2002年12月31日~2016年11月18日)
10%
日付
利回り
11月4日
11月11日
11月18日
6.84%
6.73%
6.43%
変化幅
(前週末比)
-0.11%
-0.30%
[ニュース]
高額紙幣廃止:過去40年近くで最大の反汚職政策
9%
8%
7%
6%
政治
5%
4%
2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月
[為替市場]インドルピーの対円レートの推移
(2002年12月31日~2016年11月18日)
(円)
3.5
円安インドルピー高
3.0
日付
為替レート
11月4日
11月11日
11月18日
1.543
1.583
1.619
週間騰落率
(前週末比)
2.6%
2.3%
海外投資家、米大統領選挙後に高水準の売越し
2.5
2.0
1.5
インドのモディ首相は11月8日のテレビ演説で、現行の
1,000ルピーと500ルピー紙幣を翌9日から廃止すると発
表しました。廃止される紙幣は、12月30日までに銀行や
郵便局に預け入れるか新紙幣と交換することになりま
す。インド政府は今回の措置を「汚職やブラックマネーな
どの不正資金根絶に向けた歴史的な発表」と位置付けて
おり、メディアも「過去40年で最大の反汚職政策」と評価
しています。モディ首相はテレビ演説の中で、「みなさん
は、土地や住宅の購入に際して小切手とは別に多額の
現金を要求されたことがあるでしょう」などと話し、多額の
紙幣流通が汚職などの不正につながり、物価の押し上
げ要因になっていることを具体的に説明するとともに、国
民の理解を求めました。
金融
円高インドルピー安
1.0
2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月
出所:上記のグラフはいずれもBloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベ
ストメンツ作成。
外国ポートフォリオ投資家(FPI)によるインド株式の売買
動向を見ると、トランプ氏が次期米大統領に決まった11
月9日以降は、米国債利回り急騰を受けた米ドル高の進
行やトランプ氏の保護主義的政策に対する懸念などか
ら、売越しが続いています。9~17日の1日平均売越し額
は2.3億米ドル(約260億円)で、中国の景気減速で株式
市場が動揺した昨年8月下旬以来の高水準の売越しでし
た。一方、FPIによるインド債券の売買動向を見ると、11
月は10日まで買越しでしたが、11日以降は売越しに転
じ、16日は10.4億米ドル(約1,150億円)とリーマン・ショッ
ク直後の2008年9月17日以来の高水準の売越しでした。
英国プルーデンシャル社はイーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社です。最終親会社およびそのグループ会社は主に米国で事業を展開
しているプルデンシャル・ファイナンシャル社とは関係がありません。
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ご参考資料
Vol.142(対象期間:2016年11月7日~2016年11月18日)
[インド基礎講座] 米国債利回り急騰の中、インド国債利回りは高額紙幣廃止が経済にプラスとの見方から急低下
国債利回りが世界的に上昇する中で、インドの国債利回りは低下しています。米国の10年国債利回りは7月8日の1.36%を底に緩やかな上
昇基調が続いていましたが、トランプ氏が次期米大統領に決まった11月9日には前日の1.85%から2.06%に急騰し、その後も18日の2.35%ま
で大きく上昇しています(図表1)。トランプ氏の掲げるインフラ投資の大幅拡大や法人税の大規模減税などの政策が、財政赤字の拡大やイ
ンフレの加速につながるとの懸念が背景にあります。日本でも、マイナス圏で推移していた10年国債利回りがプラスに浮上しました。インドの
10年国債利回りは、経済成長率の加速や物価の安定など経済ファンダメンタルズが改善する中で低下基調を続けていますが、11月8日夜の
モディ首相による高額紙幣廃止の発表を受けて、8日の6.80%から18日には6.43%まで急低下しました(図表2)。高額紙幣の廃止が物価の
安定や税収増につながり、インド準備銀行(RBI、中央銀行)の追加利下げ余地も広がるという見方が背景にあります。
(図表1)米国の10年国債利回りの推移
(2016年6月1日~11月18日)
2.6%
(図表2)インドの10年国債利回りの推移
(2016年6月1日~11月18日)
7.6%
11月18日
2.35%
2.4%
7.4%
7.2%
2.2%
11月9日
2.06%
2.0%
11月8日
1.85%
1.8%
6.8%
1.2%
6月1日
(9/21現在)
6.6%
1.6%
1.4%
11月8日
6.80%
7.0%
11月18日
6.43%
6.4%
7月8日
1.36%
8月25日
6.2%
6月1日
11月18日
8月25日
11月18日
出所:上記の図表はいずれも、Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社について
165年以上の歴史を有する英国の金融サービスグループの一員です。
●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社は、1999年の設立以来、日本の投資家のみなさまに資産
運用サービスを提供しています。
●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社は、英国、米国、アジアをはじめとした世界
各国で業務を展開しています。
●最終親会社グループはいち早くアジアの成長性に着目し、アジアでは14の国や地域で生命保険および
資産運用を中心に金融サービスを提供しています。最終親会社グループの運用資産総額は、2016年6
月末現在、約5,620億ポンド(約77兆円、1ポンド=138.41円)に上ります。
イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッドについて
■アジア地域を幅広くカバーする資産運用会社で、インドを含むアジア株式・債券に関する専門知識と豊富な経験を最大限活用した
運用を行います。
イーストスプリング・インベストメンツの属するグループのインドの運用会社(ICICIAM)について
■1993年にインド大手の民間銀行ICICI銀行の資産運用会社として設立され、1998年からはイーストスプリング・インベストメンツの属
するグループとの合弁で事業を展開しています。ICICI銀行は、1955年に設立され、2016年3月末現在、総資産は約7兆2,069億ル
ピー(約12兆2,301億円、1ルピー=1.697円で換算)となっています。
■設立以来、インドで資産運用事業に注力している、インド大手の運用会社です。運用資産総額は約2兆2,090億ルピー(インドにおけ
るシェア約13.4%、2016年7-9月平均)となっています(出所:Association of Mutual Funds in India)。
[当資料に関しご留意いただきたい事項]
当資料は、インドの証券市場と政治、経済、文化等にかかる情報提供のみを目的として、イーストスプリング・インベストメンツ株式会社(「当社」)が株式
会社DZHフィナンシャルリサーチに情報提供を依頼し作成したもので、特定の金融商品等の勧誘・販売を目的とするものではありません。また、金融商品
取引法に基づく開示資料でもありません。当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれら
を変更したり修正したりすることがあります。また、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。当資料で使用しているグラフ、パフォーマン
ス等は参考データをご提供する目的で作成したものです。数値等の内容は過去の実績や将来の予測を示したものであり、将来を保証するものではあり
ません。当資料は信頼できると判断された材料を使い、十分な注意を払って作成していますが、当社および株式会社DZHフィナンシャルリサーチは、必ず
しもその正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいた
ものであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、当社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第379号
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