ご参考資料 Vol. 138 (対象期間:2016年9月12日~2016年9月23日) インドの株式市場は、9月20~21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に海外投資家から売られて下げる局面もありました が、総じて底堅く推移しました。対象期間を通して見ると、代表的株価指数のSENSEX指数は0.4%の小幅安となる一方、ボンベ イ小型株指数は0.8%高で史上最高値を更新しました。債券市場では、物価上昇率の鈍化や経常赤字の縮小を背景に海外か らの資金が流入する中で、10年国債利回りは低下(価格は上昇)しました。為替市場では、対円でインドルピー安、対米ドルで ルピー高となりました。物価動向については2ページ目の基礎講座、経常収支についてはニュース欄をご参照ください。 [株式市場]SENSEX指数の推移 [株式市場] (2002年12月31日~2016年9月23日) 週間騰落率 日付 終値 (前週末比) (ポイント) 9月9日 28,797.25 40,000 -0.7% 9月16日 28,599.03 9月23日 28,668.22 0.2% 外国ポートフォリオ投資家(FPI)によるインド株式の売買動向を見 ると、月間では今年3月から買越しが続いています。9月は、米国 の利上げ観測が高まった9日から14日まで3営業日連続の売越し となりましたが、月初からの累計では22日までで7.1億米ドル(約 715億円)の買越しとなっています。 30,000 [債券市場] インド10年国債利回りは、物価上昇率の鈍化や経常赤字の縮小 を背景に海外からの資金が流入する中、2009年6月以来の水準に 低下しました。FPIによるインド債券の売買動向を見ると、7月に 10.4億米ドルの買越しとなった後、8月は4.4億米ドルの売越しでし たが、9月は22日までで7.0億米ドル(約705億円)の買越しとなって います。 20,000 10,000 0 2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月 [為替市場] [債券市場]インド自国通貨建て10年国債利回りの推移 (2002年12月31日~2016年9月23日) 10% 日付 利回り 9月9日 9月16日 9月23日 7.06% 6.87% 6.80% FOMCの追加利上げ見送りなどを受けて円高が進む中で、対象期 間中に対円では1.8%のインドルピー安となりました。対米ドルで は、海外からインド金融市場に資金が流入する中で0.2%のル ピー高となりました。 変化幅 (前週末比) -0.19% -0.07% [ニュース] 9% 物品・サービス税(GST)導入の準備進む 8% インド政府が来年4月1日からの導入を目指すGSTにつ いて、税率などの細目を決めて法案を作るための協議 会が9月22~23日に初会合を開きました。インドでは、 国と各州の税制が異なるために州境に検問所があるこ となどが円滑な流通を妨げ、企業の競争力を削いでい ると指摘されてきました。複雑な間接税を一本化する GSTは長年の懸案でしたが、導入のための憲法改正案 が8月に国会を通過したことを受けて、導入の準備が進 められています。今回の会合では、売上高が200万ル ピー(一部の州は100万ルピー)を下回る事業者をGST 免除とするなど、意見の相違があった事項については 中央政府のジャイトリー財務相と各州の代表が合意し、 予定通りのGST実施に向けて一歩前進しました。税率 は、10月17~19日の会合で決められる予定です。 7% 6% 5% 4% 2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月 政治 [為替市場]インドルピーの対円レートの推移 (2002年12月31日~2016年9月23日) (円) 3.5 円安インドルピー高 3.0 日付 為替レート 9月9日 9月16日 9月23日 1.539 1.519 1.511 週間騰落率 (前週末比) -1.3% -0.5% 経常赤字(4-6月期)、大幅に縮小 2.5 2.0 1.5 経済 円高インドルピー安 1.0 2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月 出所:上記のグラフはいずれもBloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベ ストメンツ作成。 9月21日に発表された4-6月期の経常収支は、対国内総 生産(GDP)比0.1%の赤字でした。インドの経常収支の 推移を見ると、2004年度(2004年4月~2005年3月)から 赤字が続いていますが、近年は2012年度の4.8%をピー クに、2013年度1.7%、2014年度1.3%、2015年度1.1%と 赤字幅が縮小しています。4-6月期は、黒字転換という 大方の予想に反して小幅の赤字となりましたが、前年同 期の1.2%と比べると、大きく改善しています。 英国プルーデンシャル社はイーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社です。最終親会社およびそのグループ会社は主に米国で事業を展開 しているプルデンシャル・ファイナンシャル社とは関係がありません。 1/2 ご参考資料 Vol.138(対象期間:2016年9月12日~2016年9月23日) [インド基礎講座] 消費者物価:穀物生産量の回復が予想される中、安定続く見通し 9月12日に発表された8月の消費者物価指数(CPI)上昇率(速報値)は前年同月比+5.05%と、7月の同+6.07%から鈍化しました。インドのCPI 上昇率は2013年11月の前年同月比+11.51%から大きく低下した後、2014年9月以降は2016年7月を除いて、政府とインド準備銀行(RBI、中 央銀行)が2015年2月に合意した目標である+2~6%の範囲内で推移しています(図表1)。モンスーン期(雨季)の降雨量は今までのところ十 分なことなどから、今後についても農産物を中心に物価の安定は続く見通しです。インドの穀物生産量は、モンスーン期の降雨量が2年連続 で平年を下回った2014年度と2015年度は落ち込みましたが、今年度は前年度比7%増の2.7億トンに回復する見込みです(図表2)。今年のモ ンスーン期の降雨量はインド全体で平年比95%(9月21日現在)となっていますが、多くの地域では平年並みか平年以上の水準で、貯水量は 昨年を大きく上回っています。RBI総裁に、前任のラジャン氏に続いてインフレ抑制を重視するパテル氏が9月に就任したことも、物価の安定 が続くという見方を支えています。 (図表1)CPI上昇率(前年同月比)の推移 (2013年8月~2016年8月) 12% 10% (図表2)穀物生産量とモンスーン期降雨量の推移 (2013年度~2016年度*) (億トン) 2013年11月 11.51% 2.8 目標上限 6% 2.7 2016年7月 6.07% 6% 2.65 100% 2.6 2016年8月 5.05% 4% 2.52 2.52 95% (9/21現在) 88% 86% 80% 2.4 2014年8月 2015年8月 90% 2.5 2% 0% 2013年8月 110% 2.70 (予) 目標上限 8% 8% 106% 穀物生産量(左軸) 降雨量の平年比(右軸) 2013年度 2016年8月 2014年度 2015年度 2016年度 * 穀物生産量の年度は、7月から翌年6月まで。例えば、2013年度は、2013年7月から 2014年6月まで。穀物生産量の2016年度は予想。モンスーン期は、6月から9月まで。 出所:インド農業省と気象局のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 出所:インド準備銀行のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 イーストスプリング・インベストメンツ株式会社について 165年以上の歴史を有する英国の金融サービスグループの一員です。 ●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社は、1999年の設立以来、日本の投資家のみなさまに資産 運用サービスを提供しています。 ●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社は、英国、米国、アジアをはじめとした世界 各国で業務を展開しています。 ●最終親会社グループはいち早くアジアの成長性に着目し、アジアでは14の国や地域で生命保険および 資産運用を中心に金融サービスを提供しています。最終親会社グループの運用資産総額は、2015年 12月末現在、約5,090億ポンド(約90兆円、1ポンド=178.78円)に上ります。 イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッドについて ■アジア地域を幅広くカバーする資産運用会社で、インドを含むアジア株式・債券に関する専門知識と豊富な経験を最大限活用した 運用を行います。 イーストスプリング・インベストメンツの属するグループのインドの運用会社(ICICIAM)について ■1993年にインド大手の民間銀行ICICI銀行の資産運用会社として設立され、1998年からはイーストスプリング・インベストメンツの属 するグループとの合弁で事業を展開しています。ICICI銀行は、1955年に設立され、2016年3月末現在、総資産は約7兆2,069億ル ピー(約12兆2,301億円、1ルピー=1.697円で換算)となっています。 ■設立以来、インドで資産運用事業に注力している、インド大手の運用会社です。運用資産総額は約1兆9,329億ルピー(インド におけ るシェア約13.4%、2016年4-6月平均)となっています(出所:Association of Mutual Funds in India)。 [当資料に関しご留意いただきたい事項] 当資料は、インドの証券市場と政治、経済、文化等にかかる情報提供のみを目的として、イーストスプリング・インベストメンツ株式会社(「当社」)が株式 会社DZHフィナンシャルリサーチに情報提供を依頼し作成したもので、特定の金融商品等の勧誘・販売を目的とするものではありません。また、金融商品 取引法に基づく開示資料でもありません。当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれら を変更したり修正したりすることがあります。また、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。当資料で使用しているグラフ、パフォーマン ス等は参考データをご提供する目的で作成したものです。数値等の内容は過去の実績や将来の予測を示したものであり、将来を保証するものではあり ません。当資料は信頼できると判断された材料を使い、十分な注意を払って作成していますが、当社および株式会社DZHフィナンシャルリサーチは、必ず しもその正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいた ものであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、当社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。 イーストスプリング・インベストメンツ株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第379号 加入協会 一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会 2/2 160927(03)
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