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電磁気学基礎1『試験対策問題』(2016 年度第 3 クォータ火 4 @ C401)
期末試験では以下の問題をベースに3∼4問出す予定です。そのほか問題の略解や解説ノート
などを http://www2.kobe-u.ac.jp/~tnoumi/ に置いておくので試験対策に使ってください。
1.クーロン力に関する基礎的な問題
(1)原点に置いた点電荷 Q が点 (x, y, z) に作る電位 ϕ(x, y, z) を求めよ。
(2)(1)で求めた電位を用いて点 (x, y, z) に生成される電場を求めよ。
(3)点 (x, y, z) においた点電荷 q が点電荷 Q から受けるクーロン力を求めよ。
2.クーロン力 vs 万有引力
クーロン力と万有引力の振る舞いがミクロな世界とマクロな世界でどう異なるかを調べよう。
(1)水素原子中では図のように電子が陽子の周りを回っているとみなすことができる。電子
と陽子の間に働くクーロン力と万有引力をそれぞれ有効数字1桁で求めよ。ただし真空
1
中の誘電率 ε0 とニュートン定数 G は
= 9 × 109 Nm2 /C2 , G = 7 × 10−11 Nm2 /kg2 ,
4πε0
陽子と電子の質量と電荷は上の表の通り、陽子と電子の距離は 5 × 10−11 m である。
(2)
(1)の計算により、電子・陽子間に働く万有引力はクーロン力とくらべて極めて小さい
ことがわかった。しかし、例えば地球のように、より大きなスケールでは万有引力がクー
ロン力よりも支配的である。これがなぜかをもう少し考えてみよう。
(a)一般に、質量 m1 電荷 q1 の物体と質量 m2 電荷 q2 の物体が距離 r 離れている時、
両者の間に働くクーロン力と万有引力の比を求めよ。
q1
q2
(ヒント:距離 r に依らず、質量と電荷の比
と
にのみ依存することがわかる)
m1
m2
q
(b)ある物体の質量 m と電荷 q の比
は比電荷と呼ばれている。上の表を参考に陽子、
m
電子、地球の比電荷を有効数字1桁でそれぞれ求めよ。また、地球の比電荷は他と比
べて極めて小さいが、その理由を説明せよ。
(c)地球と同等の比電荷を持つ2つの物体の間に働くクーロン力と万有引力の比を求めよ。
1
3.電気双極子
上図左のように2つの電荷 q と −q をそれぞれ点 (a, 0, 0) と点 (−a, 0, 0) に置いたとする。
(1)電荷 q が点 (x, y, 0) に作る電位 ϕ+ を求めよ。
(2)電荷 −q が点 (x, y, 0) に作る電位 ϕ− を求めよ。
重ね合わせの原理を用いると、2つの電荷により点 (x, y, 0) に生成される電位は全部で ϕ =
ϕ+ + ϕ− のように与えられる。
次に、点 (x, y, 0) が2つの電荷から離れた時の電位の振る舞いを考えよう。上図右のように極
座標 r, θ を導入すると (x, y, 0) = (r cos θ, r sin θ, 0) と表せ、電荷から十分離れているという条
件は a ≪ r で与えられる。
(3)a ≪ r の条件下で ϕ+ と ϕ− がどのように近似されるか求めよ。
(ヒント:テイラー展開を用いると、x ≪ 1 のとき (1 + x)n ≃ 1 + nx と近似できる)
(4)(3)の結果を用いることで、a ≪ r のときの電位 ϕ = ϕ+ + ϕ− の近似形を求めよ。
また、電気双極子モーメント p = 2aq を用いて ϕ がどう表されるか考察せよ。
4.ガウスの法則
(1)半径 R の球内部に電荷 Q が一様に分布しているとき、
(a)球の内外における電場の分布をガウスの法則を用いて求めよ。
(b)
(a)の結果を用いて、球の内外における電位の分布を求めよ。ただし、無限遠点にお
ける電位を 0 とする。
(2)半径 R の球状の導体表面に電荷 Q が一様に分布している。このとき、
(1)と同様に球
の内外における電場および電位の分布を求めよ。
(3)
(1)と(2)で求めた電位分布を横軸を球の中心からの距離、縦軸を電位としたグラフ
に図示せよ。
2
5.誘電体
⃗ = εE
⃗ を用いて
誘電体内部におけるガウスの法則は、任意の閉曲面 S に対して電束密度 D
∫ ∫
Dn dS = 閉曲面 S 内の自由電荷の総量
S
のように表される。ここで、ε は誘電体の誘電率で、Dn は電束密度の閉曲面 S に対して直交
外向きの成分である。これをふまえ以下の問いに答えよ。
(1)誘電率 ε の誘電体中に電荷 Q を置いたとき、電荷 Q から距離 r 離れた点における電束
密度および電場を求めよ。
(2)
(1)の結果をふまえ、誘電体中にある2つの電荷 q1 と q2 に働く力を誘電体の誘電率 ε
や2つの電荷の距離を r 用いて表せ。
6.コンデンサー
図のように面積 S の2枚の導体板 A, B を距離 d 離して並行に並べた。
(1)導体板 A, B にそれぞれ電荷 Q, −Q を置いたとき、図の領域1∼3における電場を求め
よ。ただし、導体板の面積 S は十分大きいとする。
(2)導体板 A, B の電位差 V を求めよ。
(3)このように電位 V をかけることで電荷 Q を蓄えられる装置はコンデンサーと呼ばれ、
その電気容量 C は Q = CV で定義される。この問題で考えてきた図のようなコンデン
サーの電気容量を導体板の面積 S や A と B の距離 d などを用いて表せ。
(4)コンデンサーに蓄えられたエネルギーを計算せよ。
(5)
(4)で求めたエネルギーをコンデンサーの体積 Sd で割ったエネルギー密度を、コンデ
ンサー内部(領域2)の電場 E などを用いて表せ。
3
7.電気回路
(1)上図左のように電気抵抗 R を起電力 V につないだとき、抵抗に流れる電流 I および抵
抗で発生する単位時間あたりのジュール熱 P を求めよ。
(2)電気抵抗 R を m × n 個用意し、上図中のように1列あたり m 個を直列につなぎ、全部
e を求めよ。
で n 列並列につないだ。このとき、全電気抵抗が作る合成抵抗を R
(3)
(2)の合成抵抗を上図右のように電気抵抗 3R と直列につないだ。このとき、電気抵抗
3R に流れる電流および電気抵抗 3R で発生する単位時間あたりのジュール熱を求めよ。
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