Column ご参考資料 「投資のヒント」 2016年10月31日 ※以下、レッグ・メイソン・アセット・マネジメント提供のレポートをご紹介します。 足元の豪州REITの下落の背景と今後の見通し ・2016年8月以降、豪州REITの下落が続く。豪資源株復調によるセクター・ローテーションや金利上昇懸念が影響。 ・豪州REITの負債比率は30%前後と低水準にあり、金利上昇によるバランスシートへの影響は限定的とみられる。 ・豪州REITなどが保有する実物不動産の収益率は改善基調。安定したインカム収益や不動産価格上昇が下支え。 ・豪州REITの収益は今後も安定拡大が予想される。長期金利が安定化すれば、豪州REITへの見直しが進む可能性。 図1:豪州REITの株価と予想株価収益率(PER) 2016年8月以降、豪州REITの下落が続く 2016年8月以降、豪州REITの下落が続いています。 (倍) 1,600 1,500 22 21 豪州REITの株価(左軸) S&P/ASX300REIT指数は8月1日の年初来高値から10 1,400 月28日まで16.6%の下落となりました。同期間の豪州株 1,300 19 1,200 18 1,100 17 足元での豪州REITの軟調の背景には、①資源価格上 1,000 16 昇に伴う資源株の復調(豪州株式市場内でのセクター・ 900 15.82倍 15 ローテーションの影響)や、②米国や豪州での長期金利上 800 (S&P/ASX200指数)の下落率(-5.4%)と比較して、豪 州REITのアンダーパフォーム傾向が顕著となっています。 昇への懸念、があると考えられます。 背景①:復調に転じた豪資源株の影響 2016年の豪州株式市場では、鉄鉱石や石炭の価格上 700 2013年1月 20 12ヵ月先予想PER(右軸) 2014年1月 2015年1月 割高 割安 14 13 2016年1月 (出所)ブルームバーグ (期間)2013年1月1日~2016年10月28日 (注)豪州REITはS&P/ASX300REIT指数(価格指数ベース)。 12ヵ月先予想PER=株価÷一株当たり利益(12ヵ月先予想) 昇を背景に資源株が復調傾向に転じています。豪州株全 体が調整した8月1日から10月28日までの期間でも、資 源株(S&P/ASX300資源株指数)は3.9%上昇しており、 年初来の上昇率は+29.5%と豪州株の-0.2%を大きく上 (%) 7 豪州REITの予想配当利回り(12ヵ月先) 回っています。豪州株式市場での資源株を見直す動きが、 6 セクター・ローテーションの面で豪州REITの抑制要因と 5 なったとみられます。 背景②:米国や豪州での長期金利の上昇 また、足元は米国や豪州での金利上昇懸念も豪州REIT の下落を促す要因となっている模様です。米国では年末 に向けた利上げ再開が意識され、米10年国債利回りが緩 やかに上昇しています。豪州でも市場予想を上回った79月期の消費者物価指数(CPI)を受けて豪州準備銀行 (RBA)による早期の利下げ観測が後退し、豪10年国債 利回りは2.38%へ上昇しています(図2)。 一般的に長期金利上昇は、REITの借入コスト上昇や、 図2:豪州・米国の10年国債利回りと 豪州REITの予想配当利回り 5.22% 4 豪10年国債利回り 3 2.38% 2 1.85% 米10年国債利回り 1 2013年1月 2014年1月 2015年1月 2016年1月 (%) 3.5 豪州REIT予想配当利回り-豪10年国債利回り 3.0 2.84% 2.5 2.0 相対的なREITの配当利回りの妙味低下に繋がる可能性 1.5 があることから、REITのマイナス要因と考えられています。 1.0 2013年1月 2014年1月 2015年1月 2016年1月 (出所)ブルームバーグ (期間)2013年1月1日~2016年10月28日 (注)豪州REITはS&P/ASX300REIT指数。 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、 金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終 ページをご覧ください。 1/3 ご参考資料 図3:豪州REITの負債比率の推移 (%) 45 豪州REITは保守的な負債比率の水準を維持 もっとも、豪州REITのバランスシートに目を転じると、 2008年の金融危機以降は負債の拡大を抑制した保守的 40 当期間の平均 (32.0%) 35 な運用がなされています。豪州REITの総資産に占める負 債の比率は、2013年以降は30%前後の低水準が維持さ 30.6% 30 れており、負債依存度は必ずしも高くはありません(図3)。 長期金利上昇による豪州REITのバランスシートへの実際 的な影響は限定的に留まると考えられます。 豪州の実物不動産の収益率は改善基調にある また、豪州REITのバランスシートの資産側では、近年、 S&P/ASX300REIT指数採用銘柄 の負債比率(中央値) 25 20 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (出所)ブルームバーグ (期間)2000年6月末~2016年6月末 (注)負債比率は総資産に占める総負債の比率。 保有する実物不動産の収益率が改善基調にあります。豪 図4:豪州の機関投資家が保有する 実物不動産の収益率 州のREITや不動産ファンド、年金基金等の機関投資家が 保有する実物不動産の収益率の推移を見ると、賃料収 (過去1年間、%) 20 入等からの安定したインカム収益と保有不動産の価格上 昇によって、2016年6月末時点の過去1年間の総合収益 率は+12.9%と二桁台の高水準にあります(図4)。 近年は、豪10年国債利回りを大きく上回る実物不動産 の収益率が維持されており、資産側でも豪州REITのバラ ンスシートは健全性が保たれていると考えられます。 豪州REITのキャッシュフローは安定拡大へ 豪州REITの先行きの業績見通しに関しては、豪州の内 15 ス集計によれば、大手豪州REITが保有不動産の運用か ら生み出すキャッシュフロー(一株当たりFFO)は、2017年 度から2019年度にかけて年率5%前後のペースで安定 的な増加が予想されています(図5)。 豪州REITへの見直しが進む可能性も 2016年8月以降の株価の下落によって、豪州REITの割 高感は概ね解消されつつあります(12ヵ月先予想PERは 2016年2月以来の15.82倍へ低下、1頁図1)。また、豪 州REITの予想配当利回りは足元で5%台へ上昇し、豪10 年国債利回りとの利回り差も2%台後半の高水準にありま す(1頁図2下段)。豪州REITのバランスシートの健全性や キャッシュフローの底堅さを考慮すると、今後、米国や豪 州の長期金利が落ち付きを取り戻す中では、豪州REITへ の見直しが進む可能性があると考えられます。 豪10年国債利回り 総合収益率(①+②) 12.9% 10 6.3% 5 6.6% 0 ‐5 ‐10 ①インカム収益率 (賃料収入等) ②キャピタル収益率 (不動産価格変動) ‐15 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 需の拡大を背景に、豪州REITのキャッシュフローは安定 的な拡大が続くと見込まれます。ファクトセットのコンセンサ (年) (年) (出所)豪州不動産投資協会(PCA)、IPD、ブルームバーグ (期間)2000年3月末~2016年6月末 (注)豪州のREITや不動産ファンド、年金基金等が保有する実物不動産 (オフィス、商業施設、産業用不動産等)の収益率。キャピタル収益は 鑑定評価(不動産価格変動)による損益。 図5:大手豪州REITの一株当たりFFO伸び率の見通し (前年比、%) 8 7 6 5 4 3 2 予想コンセンサス (2016年9月末時点) 6.9 5.3 5.0 5.9 5.1 5.3 17 18 4.8 1 0 13 14 15 16 19 (年度) (出所)ファクトセット (注)FFO(Funds From Operation)は純利益(不動産売却損益を除く)に 減価償却費を加えたもので、REITが保有不動産の運用から生み出す キャッシュフローを示す。S&P/ASX300REIT指数採用銘柄のうち、構成 比上位10銘柄の中央値。年度は前年7月~当年6月(一部銘柄除く)。 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、 金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終 ページをご覧ください。 2/3 ご参考資料 【 ご留意事項 】 ● 当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが 投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではあり ません。 ● ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判 断ください。 ● 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益 は全て投資者の皆様に帰属します。 ● 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ● 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ● 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示 唆あるいは保証するものではありません。 ● 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開 発元もしくは公表元に帰属します。 当資料は、レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 3/3
© Copyright 2024 ExpyDoc