*グローバル投資環境 No.1483 * ご参考資料 髙木証券投資情報部 第3四半期GDPの暫定推計値は前期比0.3%増で第2四半 ユーロ圏経済の現状~期と変わらず、10月のCPIは2014年6月以来の高い伸び 2016年11月1日作成 欧州連合統計局は10月31日、ユーロ圏の第3四半期GDPの暫 定推計値を発表した。前期比の成長率は0.3%増で第2四半期の 伸びと同等だが、市場予想通りであるほか、ECBが後述する10 月20日開催の理事会で示した「第3四半期も第2四半期と同程 度の成長をみせた後、緩やかだが安定した回復が続く」とい う見方にも符合する。また、前年同期比の成長率は1.6%増と なり、こちらも第2四半期の実績と同レベルである。 前期比 +0.3% 前年同期比 +1.6% なお、ユーロ圏のGDPについては、従来は当該の四半期の終 了からおよそ45日後に発表される速報値が第一報だったが、 今年からは四半期終了後の約30日後に暫定推計値が発表され るようになったため、域内全ての国のデータはまだ出揃って おらず、ユーロ圏で最大の経済規模を有するドイツのGDPに関 する第一報が連邦統計局から発表されるのは、ユーロ圏全体 のGDPの速報値のリリースと同じ今月15日が予定されている。 ところで、ECBは前述した10月20日開催の理事会において、 現状の金融政策を維持することを決定、具体的には、主要借 換金利を0.00%、中銀貸出金利を0.25%、同預金金利を ▲0.25%で据え置くとともに、現在実施中の月額800億ユーロ の資産買入プログラムを少なくとも来年の3月まで継続、必要 であれば延長することを確認した。ECBは昨年12月と今年3月 の理事会で金融緩和策を強化した後、英国が6月23日の国民投 票でEUからの離脱を選択して以降、7月あるいは9月の理事会 での追加緩和が意識される場面もあったが、結局はここ5会合 連続で政策変更を見送っている。但し、9月8日開催の前々回 の理事会の声明文は、「買入プログラムの円滑な実施を確実 にするための選択肢の評価を、関連する委員会に指示した」 ことを明らかにしているほか、前回理事会の声明文では、 「12月の理事会では、期間を2019年まで延長した新しい経済 予想と、ユーロシステムのスタッフによる、2017年3月または 必要であればそれ以降への資産買入プログラムのスムーズを スムーズに遂行するためのオプションについての検証結果が 参考になる」 と述べて、12月8日に開かれる次回の理事会で 追加緩和、とりわけ資産買入プログラムに関して議論するこ とを示唆している。 《2015/12/3と2016/3/10の政策変更》 2015/12/3 2016/3/10 中銀預金金利 ▲0.2%→▲0.3% ▲0.3%→▲0.4% 政策金利 0.05%で不変 0.05%→0% 中銀貸出金利 0.3%で不変 0.3%→0.25% 資産買入期間 2016/9→2017/3 2017/3までで不変 資産買入規模 600億ユーロ/月で不変 800億ユーロ/月に増額 買入対象 地方債を追加 事業債を追加 その他 満期証券の再投資 TLTROⅡ実施 【ECBの経済見通し】 (%) 成長率 インフレ率 6/2発表 9/8発表 6/2発表 9/8発表 2016年 1.6% 1.7% 0.2% 0.2% 2017年 1.7% 1.6% 1.3% 1.2% 2018年 1.7% 1.6% 1.6% 1.6% ちなみに、GDPの暫定推計値と同時刻に発表された10月CPI の速報値は前年同月比+0.5%となり、2014年6月以来の高い伸 びを記録したが、資産買入終了の条件とされる「目標達成に 向けたインフレの持続的な調整の道筋」が来年3月の時点でみ えていることは考えにくいため、次回の理事会で資産買入プ ログラムの延長が決定されるとみられるが、この点について マーケットはほぼ織り込んでいるため、ECBの金融政策が為替 市場の材料にはなりにくいと思われる。(文責:勇崎 聡) (出所:欧州連合統計局、ECB及びBloombergデータより髙木証券作成) 《ご注意いただきたいこと》当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさるようお願い いたします。当資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、その正確性・完全性を保証するものではありませ ん。株式、債券、投資信託等は、価格の変動や発行者の信用状況の悪化等により投資元本を割り込むおそれがあります。また、当資料の いかなる部分も一切の権利は髙木証券に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転 送等を行わないようお願いいたします。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよく お読みください。 商号等:髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第20号 【広告審査済】 加入協会:日本証券業協会 髙木証券インターネットホームページ:http://www.takagi-sec.co.jp/
© Copyright 2024 ExpyDoc