年内は現状の金融政策を維持か(2017/1/20作成)

*グローバル投資環境
ECB理事会~
No.1545*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
現在の主要金利と資産買入の規模、期間を確
認。年内は現状の金融政策を維持か
2017年1月20日作成
ECBは1月19日に開催した理事会において、政策金利であ
る主要借換金利を0.00%、中銀貸出金利を0.25%、同預金
金利を▲0.40%でそれぞれ据え置くとともに、後述する資
産買入の終了後も、これらを相当程度の期間にわたって現
状またはそれ以下に保つというフォワードガイダンスを維
持した。また、資産買入については、今年の3月までは月
額800億ユーロ、4月以降12月までは同600億ユーロの規模
での実施を継続するという、昨年12月8日に開いた前回理
事会での決定を確認した。
昨年第3四半期のユーロ圏のGDPは前期比0.3%増加した
が、声明文では、最近のデータは第4四半期の成長がやや
強めであることを示唆していると述べるとともに、先行き
の景気拡大はさらに堅調さを増すとの見方を示している。
また、昨年12月のCPIが前年同月比+1.1%と、11月の+0.6%
から加速したインフレについては、前年比でのエネルギー
価格の上昇が主因であり、ヘッドラインインフレは短期的
にさらに上向くことが見込まれるが、基礎的インフレは中
期的により緩やかな上昇を想定しているようだ。
《ECBの最近の政策変更》
中銀預金金利
政策金利
中銀貸出金利
資産買入期間
資産買入規模
2015/12/3
2016/3/10
2016/12/8
▲0.2%→▲0.3% ▲0.3%→▲0.4%
▲0.4%で不変
0.05%で不変
0.05%→0%
0%で不変
0.3%で不変
0.3%→0.25%
0.25%で不変
2016/9→2017/3 2017/3までで不変 2017/3→2017/12
600億ユーロ/月で不変 800億ユーロ/月に増額 600億ユーロ/月に減額
【ECBの経済見通し】
(%)
成長率
インフレ率
9/8発表 12/8発表 9/8発表 12/8発表
2016年
1.7%
1.7%
0.2%
0.2%
2017年
1.6%
1.7%
1.2%
1.3%
2018年
1.6%
1.6%
1.6%
1.5%
2019年
1.6%
1.7%
ECBの資産買入は、2015年の3月(決定は同年1月の理事
会)に月額600億ユーロでスタートし、同年12月の理事会
において、当初は2016年の9月までとしていた期間を2017
年3月までに延長(期間についてはプログラム開始の当初
から必要であれば延長することを担保しており、これは現
在も変わらない) 、さらに昨年3月の理事会では規模を月
額800億ユーロに拡大していたが、12月8日の理事会では、
期間を今年の12月まで延長する一方、4月以降の規模につ
いては月額600億ユーロに減額、つまり昨年の3月以前の水
準に戻すことを決定している。なお、昨年12月の理事会の
声明文は、「見通しが好ましくなくなったり、金融情勢が
持続的なインフレ調整に向けたさらなる改善にそぐわなく
なった場合には、プログラムの規模と期間の双方またはい
ずれかを拡大する可能性がある」ことを明記していたが、
今回の声明文にも全く同じ文言がみられる。
髙木証券では、ECBは年内は現状の金融政策を維持する
可能性が高いと考えているが、昨年12月8日の理事会でECB
が発表した見通しが示す通り、インフレが非常にゆっくり
したペースであるとはいえ、ECBの目標である「2%以下だ
が、それに近い水準」に向けて上向き始めた現在の環境が
変わらない限り、来年以降も、プログラムの期間を数ヶ月
単位で延長しながら、買入規模の段階的な削減が行われる
と考えている。
(文責:勇崎 聡)
(出所:ECB及びBloombergデータより髙木証券作成)
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