数理科学特論 B2 §1 ベクトルの内積と外積 演習問題 学生番号 氏名 スカラーを表す文字 (A, B, C, . . . ) とベクトルをあらわす文字 (A, B, C, . . . ) を必ず使い分けるこ と. また, スカラー倍 kA, 内積 A · B, 外積 A × B の記号も使い分けること. 混同して使用した場合 は不正解とする. 課題 問題 1. A = (3, −1, 4), B = (−2, 4, −3), C = (1, 2, −1) とするとき次を求めよ: (1) 2A − B + 3C (2) |A + B + C| 問題 2. 次のベクトル A, B の内積 A · B を求めよ. (1) A = (2, −1, 3), B = (6, −2, 4) (2) A = (3, −1, 3), B = (−3, −5, 2) 問題 3. 次のベクトル A, B の外積 A × B を求めよ. (1) A = (2, −1, 3), B = (1, −2, −3) (2) A = (1, 2, −4), B = (2, 3, 1) (3) A = (1, 1, −3), B = (−1, −2, −3) 問題 4. A = (4, −2, 4), B = (3, −6, −2) のなす角 θ について cos θ を求めよ. 問題 5. A = (2, −6, −3), B = (4, 3, −1) とするとき以下を求めよ. (1) A × B (2) A と B を 2 辺とする平行四辺形の面積 (3) A と B に垂直な単位ベクトル 問題 6. 平面ベクトル A = (Ax , Ay ), B = (Bx , By ) に対して, A と B を 2 辺とする平行四辺形の面 積は |Ax By − Ay Bx | となることを示せ. 問題 7. A = (1, −2, −3), B = (2, 1, −1), C = (1, 3, −2) とするとき次を求めよ. (1) A · (B × C) (2) (A × B) × C (3) A × (B × C) 問題 8. ベクトルの外積 A × B について以下を証明せよ. (1) A × B は A にも B にも垂直である. (2) |A × B| は A と B を隣り合う 2 辺とする平行四辺形の面積に等しい. 追加課題 解答例は → http://www.lab2.toho-u.ac.jp/sci/c/math/noda/ 問題 9. 不等式 |A + B| ≤ |A| + |B| が成り立つことを証明せよ. 問題 10. 等式 A × (B × C) = (A · C)B − (A · B)C が成立することを証明せよ. [両辺の x 成分に ついて示し, その過程から y, z 成分の結果も類推されるのであれば “同様に成り立つ”としてよい.] 問題 11. 等式 A × (B × C) + B × (C × A) + C × (A × B) = 0 を示せ. 問題 12. 等式 (A × B) × (C × D) = {A · (B × D)}C − {A · (B × C)}D = {A · (C × D)}B − {B · (C × D)}A が成立することを示せ. 解 1. (1) 2A − B + 3C = (11, 0,√8) √ (2) |A + B + C| = |(2, 5, 0)| = 22 + 52 + 02 = 29 解 2. (1) A · B = 2 · 6 + (−1) · (−2) + 3 · 4 = 12 + 2 + 12 = 26 (2) A · B = 3 · (−3) + (−1) · (−5) + 3 · 2 = −9 + 5 + 6 = 2 解 3. (1) A × B = (9, 9, −3) (2) A × B = (14, −9 − 1) (3) A × B = (−9, 6 − 1) 解 4. A · B = 16, |A| = 6, |B| = 7 より, cos θ = 8 A·B = . |A||B| 21 解 5. (1) A × B = (15, −10, 30) √ (2) |A × B| = |5(3, −2, 6)| = 5 32 + (−2)2 + 62 = 35 (3) A にも B にも垂直な 1 のベクトルならよい. ) ( A × B と同じ向きで長さが A×B 2 6 3 よって = , − , . |A × B| 7 7 7 解 6. 求める面積を S とすると, S = |A| |B| sin θ と表される (θ は 2 つのベクトルのなす角). S 2 = |A|2 |B|2 sin2 θ = |A|2 |B|2 (1 − cos2 θ) = |A|2 |B|2 − |A|2 |B|2 cos2 θ = |A|2 |B|2 − (A · B)2 = (A2x + A2y )(Bx2 + By2 ) − (Ax Bx + Ay By )2 = (Ax By − Ay Bx )2 ゆえに S = |Ax By − Ay Bx | 1 −2 −3 解 7. (1) A · (B × C) = 2 1 −1 = −20 1 3 −2 [ B × C = (1, 3, 5) より A · (B × C) = 1 − 6 − 15 = −20 でもよい ] (2) A × B = (5, −5, 5) より (A × B) × C = (−5, 15, 20). (3) B × C = (1, 3, 5) より A × (B × C) = (−1, −8, 5). [(2), (3) からわかるように (A × B) × C と A × (B × C) は一般には一致しない. だから外積におい て掛け算を行う順序は重要で, 3 つの積を A × B × C のように書くことは許されない.] Ax Ay Az 解 8. (1) A · (A × B) = Ax Ay Az = 0 (2 つの行が等しい行列の行列式は 0 になる) Bx By Bz 同様に B · (A × B) = 0. よって A × B は A にも B にも垂直である. (2) 平行四辺形の面積を S とすると S 2 = |A|2 |B|2 sin2 θ = |A|2 |B|2 (1 − cos2 θ) = |A|2 |B|2 − |A|2 |B|2 cos2 θ = |A|2 |B|2 − (A · B)2 = (A2x + A2y + A2z )(Bx2 + By2 + Bz2 ) − (Ax Bx + Ay By + Az Bz )2 = (Ay Bz − Az By )2 + (Az Bx − Ax Bz )2 + (Ax By − Ay Bx )2 = |A × B|2 WolframAlpha ( http://www.wolframalpha.com/ ) という無料の Web サービスはとても便利 なので知っておくとよい. 様々な機能があり, 数学に関しては数式処理システムで理論的に正し い計算を教えてくれる. たとえば今回の内積や外積の計算は • (2, -1, 3).(6, -2, 4) • (2, -1, 3)x(1, -2, -3) で正しい答えが得られ, さらに外積は A, B, A × B を図解してくれる.
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