Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 北米 2016年10月6日 米国MMF規制とその影響の振り返り 米国の短期金融市場でLIBORが上昇傾向となっています。この背景は、2016年10月14日に施行予定の米国の MMF(マネー・マーケット・ファンド)に対する規制が影響していると見られ、その内容について述べます。 米国MMF規制:規制の施行を前に、短期金 融市場の金利が上昇 米国の短期金融市場の代表的な金利であるドルLIBOR(ロン ドン銀行間取引金利)の3ヵ月物は、足元0.8%台での取引と上 昇傾向となっています(図表1参照)。この背景は、2016年10 月14日に施行予定の米国MMF(マネー・マーケット・ファンド) に対する規制が影響していると見られます。 どこに注目すべきか: MMF規制、LIBOR、OIS、解約制限 ドルLIBOR3ヵ月物レートが上昇した背景は主に、米国の政 策金利の上昇とMMF規制の二つに分けられます。 まず、短期金融市場が政策金利の引上げを織り込む様子を 反映すると見られるOIS(図表1参照、オーバーナイト・イン デックス・スワップ)レートを見ると、利上げのあった2015年12 月の前からOIS市場が利上げを織り込んでいました。LIBOR レートも同じ時期に利上げを織り込み上昇しています。 ただし、2016年のOISレートは概ね横ばいで、年内利上げを 予想する声はあるものの、OISの折込度合いは限定的です。 一方、LIBORレートは、MMF規制の影響で上昇しています。 ここで簡単に米国MMF規制を振り返ります。米国MMFは国 債等を投資対象とするガバメントMMFと企業などが発行する コマーシャルペーパー(CP)や譲渡性預金(CD)に投資する プライムMMFがあります(図表2参照)。今回規制を受けるの はプライムMMFで資金が同MMFから国債などに投資するガ バメントMMFにシフトしています。 MMF規制の主な内容は基準価額(NAV)算出方法の変更と 流動性手数料(流動性低下時の解約の手数料)および解約 制限(ゲート条項)で、これらの規制施行後は解約に制約が 課せられるとの懸念から、資金が流出したと見られます。 MMF規制は日本にも影響が見られます。プライムMMFの組 入れ資産には、邦銀がドル調達のため発行したCPが含ま れるため調達コストの上昇、輸出企業には短期金利上昇が 為替ヘッジコスト上昇の要因の一つともなったからです。 ピクテ投信投資顧問株式会社 米国における影響も深刻です。プライムMMFから流出した資 金はガバメントMMFに流入しており、全体額は変わらず、運用 先が国債にシフトしただけとも見られます。ただ、LIBORは 様々な金利商品の指標レートとなっているだけに、MMF規制 の施行を前にCPなど短期金融市場での運用が減り、結果とし て短期金利が押し上げられ、当局の意図しない利上げの格好 となっています。なお、MMF規制を導入した背景はリーマン ショック時にCPなどを保有するプライムMMFに解約が殺到、 金融システム不安の一因となったためで、金融システムの安 定化のために受け入れるべきコストとも見られます。 今後のMMFの解約やLIBORの動きは不透明ですが、ひょっと すると、米金融当局が9月の利上げを見送った一つの要因は MMF規制後の動向を確認したかったからかも知れません。 図表1:米国LIBOR とOISの3ヵ月物レートの推移 (日次、期間:2014年6月2日~2016年10月5日) 0.9 LIBORは % 0.8 LIBOR(3ヵ月) 米国の利上 上昇 0.7 OIS(3ヵ月物) げを織り込 0.6 む動き 0.5 LIBORとOIS 0.4 スプレッド安定 0.3 0.2 2015年12 0.1 月に利上げ 0.0 14年6月 14年12月 15年6月 15年12月 16年6月 図表2:米国の主なMMFの純資産残高の推移 (週次、期間:2014年6月4日~2016年9月28日) 2 兆ドル 1.7 ガバメントMMF プライムMMF 1.4 1.1 0.8 0.5 14年6月 14年12月 15年6月 15年12月 16年6月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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