豪州準備銀行は政策金利を1.50%で据え置き

2016年9月8日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB133)
オーストラリアレポート
オーストラリア経済とリート市場の動向について
豪州準備銀行は政策金利を1.50%で据え置き
 豪州準備銀行(RBA)は政策金利の据え置きを決定。スティーブンス総裁は声明文で政策の様子見姿勢を示す。
 今後の金融政策は景気動向次第の展開に。次回のRBA理事会からはロウ新総裁のもとで金融政策運営が図られる。
 2016年の豪ドル相場はRBAの利下げ後も底堅い推移が続いている。RBAの豪ドル高への警戒も足元では限定的。
インドが追加利下げ
今年4回目
 海外投資家による資金流入が豪ドル相場の下支え要因に。海外投資家の株式投資や直接投資の流入が続く。
豪州準備銀行は政策金利の据え置きを決定
豪州準備銀行(RBA)は9月6日の金融政策理事会におい
て、大方の市場予想通り、政策金利を1.50%で据え置く決
定を下しました(図1)。
図1:豪州準備銀行(RBA)の政策金利とインフレ率
(%)
5.0
4.5
スティーブンスRBA総裁の声明文では、「5月と8月の金
融緩和を受けて、政策姿勢の維持が持続的な経済成長とイ
ンフレ目標の達成と整合的である」との言及がなされ、政
策の様子見姿勢が示されました。
4.0
4-6月期の実質GDPは緩やかな成長となる公算
2.5
足元の豪州の経済指標は強弱まちまちながらも、豪州景気
豪州準備銀行の政策金利
(キャッシュ・レート)
3.5
3.0
2.0
インフレ目標
レンジ(2~3%)
は緩やかな成長が続いている模様です。足元の雇用環境は、 1.5
正規雇用の回復はなお限定的に留まっているものの、全体
としては緩やかな雇用増傾向が続いています(図2)。9月
7日に公表予定の豪州の2016年4-6月期実質GDPは、前期
比+0.6%(前年比+3.3%)の緩やかな成長が見込まれて
います(市場予想)。
RBAは景気動向を注視し、当面政策を据え置きへ
今回のRBA理事会の声明文では、先行きの金融政策に関す
る方針が示されなかったことから、今後の金融政策は景気
動向次第の展開となりそうです。
ブルームバーグ集計の市場コンセンサスでは、RBAの政策
基調インフレ率
(前年比)
1.50%
1.5%
1.0
09
10
11
12
13
14
15
16
(年)
(出所)豪州準備銀行(RBA)、豪州政府統計局(ABS)
(期間)基調インフレ率:2009年1-3月期∼2016年4-6月期
政策金利:2009年1月1日∼2016年9月6日
(注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)のトリム平均値(平均値を算
出する際、データの最大値と最小値付近の値を計算から除外)と加重
中央値の平均により算出。
図2:豪州の雇用者数増減の推移
(千人)
50
40
雇用者数増減
(前月比、3ヵ月移動平均)
30
金利は2016年末まで据え置きの見方が大勢となっており、
当面はRBAによる政策の様子見姿勢が続く可能性が高いと
考えられます。
20
10
次回の理事会からはフィリップ・ロウ新総裁体制に
なお、今回がスティーブンス総裁の最後のRBA理事会とな
りました。次回10月4日の理事会以降は、フィリップ・ロ
0
-10
ウ新総裁のもとでの金融政策運営が図られることになりま
パートタイム雇用
す。ロウ新総裁の就任は副総裁からの昇格人事であるため、 -20
14年1月
RBAの金融政策の継続性は今後も保たれるとみられます。
(出所)ABS
正規雇用
15年1月
16年1月
(期間)2014年1月∼2016年7月
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが作
成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資
料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等
はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的
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1/2
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図3:豪州の政策金利と豪ドル相場の推移
RBAの利下げ後も豪ドルは底堅い推移が続く
2016年の豪ドル相場は、RBAによる5月と8月の利下げ
にもかかわらず、対米ドルで比較的底堅い推移が続いてい
ます(図3)。足元の豪ドル相場は対米ドルでは1豪ドル=
0.75米ドル前後、対円では1豪ドル=79円前後の推移と
なっています。
RBAの豪ドル高への警戒も足元では限定的
(米ドル)
1.20
(%)
7
豪ドルの対米ドル相場(右軸)
豪ドル高
6
1.10
5
豪ドル安
1.00
4
0.90
3
0.80
1豪ドル=0.75米ドル前後の豪ドル相場の水準では、RBA
2
0.70
による豪ドル高への警戒も限定的となっています。2014年
豪州準備銀行 政策金利(左軸)
0.60
以降のRBA理事会での豪ドル相場への言及の変遷を見ると、 1
(年)
10
11
12
13
14
15
16
過去は1豪ドル=0.75∼0.80米ドルの為替水準で、RBAは
「豪ドル相場は一段と下落する公算」や「豪ドル相場は (出所)ブルームバーグ (期間)2010年1月1日∼2016年9月6日
ファンダメンタルズ価格の多くの推定値を上回っている」
図4:RBA理事会での豪ドル相場への言及の変遷
などの言及を声明文に盛り込み、豪ドル高への警戒姿勢を
(米ドル)
1.00
示す傾向がみられました(図4)。
「 豪ドル相場は歴史的基準からみて依然として高い」
しかし、2016年4月以降のRBA理事会では、豪ドル相場
が1豪ドル=0.75米ドル前後で推移する中、「豪ドル高は
経済の調整を複雑にする可能性」とのソフトな言及に留
まっています。足元の鉄鉱石価格の回復などによる豪州の
交易条件の改善が、RBAの豪ドル高への警戒姿勢の緩和要
因となっている可能性があると考えられます。
海外投資家の資金流入が豪ドルの下支え要因に
海外投資家による豪州への投資フローの改善も足元の豪ド
ル相場の下支え要因となっている模様です(図5)。国際
収支統計によれば、海外投資家の豪州への投資フロー(直
接投資・証券投資・その他投資の合計)は2016年4-6月期
に+374億豪ドル(約3.0兆円*)へ資金流入が拡大しまし
た(1-3月期の資金流入は+44億豪ドル)。
0.95
「 豪ドル相場はファンダメンタルズ価格の
多くの推定値を上回っている」
0.90
「豪ドル高は経済の調整を
複雑にする可能性」
0.85
0.80
0.75
0.70
0.65
「 豪ドル相場は一段と下落する公算
( 下落の必要性ある)」
「 豪ドルは資源価格の大幅下落に適応している)」
豪ドル相場 (対米ドル)
0.60
2014年1月
2015年1月
(出所)ブルームバーグ、RBA
への投資は2015年1-3月期以降、6四半期連続での資金流
2016年1月
(期間)2014年1月1日∼2016年9月6日
図5:海外投資家による豪州への投資フロー
80
(10億豪ドル)
豪州への資金流入
60
海外投資家の資金フロー
その他投資
債券投資
証券投資の中でも、足元は長期金利低下などにより債券投
資の流入が鈍っているものの、海外投資家による豪州株式
「 豪ドルは経済見通しの変化に適応している」
40
20
入となりました。
0
また、海外企業による買収や事業への投資を表す直接投資
も豪州への安定的な流入を支える要因となっています。豪 -20
州では資源開発ブームが一巡する中、内需の拡大が直接投
豪州からの
資金流出
1Q
2Q
3Q
14
4Q
株式投資
直接投資
1Q
3Q
2Q
4Q
15
1Q
2Q
16 (年)
資流入のけん引役となると期待されています。
(*)換算レート:1豪ドル=80円
(出所)ABS (期間)2014年1-3月期∼2016年4-6月期
(注)その他投資は現預金への投資や貸出などの金融取引。
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