2016年11月2日 投資情報室 (審査確認番号H28-TB200) オーストラリアレポート オーストラリア経済とリート市場の動向について 豪州準備銀行は3ヵ月連続で政策金利を据え置き 豪州準備銀行(RBA)は3ヵ月連続で政策金利を据え置き。RBAの景気・インフレ見通しは3ヵ月前から概ね変化なし。 フィリップ・ロウ総裁は政策の様子見姿勢を引き続き示唆。当面はまだら模様の雇用情勢や物価動向を注視へ。 RBAの様子見姿勢や資源価格上昇を背景に豪ドル相場は底堅い推移続く。10月は石炭・鉄鉱石価格が一段と上昇。 資源価格上昇(交易条件改善)によりRBAは一定の豪ドル高を容認している可能性。RBAは中国景気の安定に言及。 インドが追加利下げ 今年4回目 図1:豪州準備銀行(RBA)の政策金利とインフレ率 RBAは3ヵ月連続で政策金利の据え置きを決定 豪州準備銀行(RBA)は11月1日の金融政策理事会で政策 金利を1.50%で据え置く決定を下しました(図1)。政策 金利据え置きは9月、10月に続き3ヵ月連続となります。 (%) 5.0 4.5 豪州準備銀行の政策金利 (キャッシュ・レート) 4.0 RBAの景気・インフレ見通しは概ね変化なし 3.5 今回の理事会では、2016年7-9月期の消費者物価指数 3.0 (CPI)統計を受けたRBAのインフレ見通しの変化に注目が 2.5 集まりました。フィリップ・ロウ総裁の声明文では、①7-9 2.0 月期の基調インフレ率は前年比+1.5%近辺と概ね予想通り 1.5 インフレ目標 レンジ(2~3%) 1.0 であったこと、②RBAの景気・インフレ見通しは3ヵ月前 1.50% 1.5% 基調インフレ率 (前年比) 0.5 からほとんど変化がないことが示されました。 0.0 RBAによれば、豪州の実質GDP成長率は2017年は潜在成 長率並みとなり、2018年以降は緩やかな成長の加速が予想 されています。一方、インフレ率は向こう2年間にわたり 緩やかな上昇が見込まれています。RBAの経済見通しの詳 細は、11月4日公表の四半期金融政策報告で明らかにされ 09 10 11 12 13 14 15 (年) (出所)豪州準備銀行(RBA)、豪州政府統計局(ABS) (期間)基調インフレ率:2009年1-3月期∼2016年7-9月期 政策金利:2009年1月1日∼2016年11月1日 (注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)のトリム平均値(平均値を算 出する際、データの最大値と最小値付近の値を計算から除外)と加重 中央値の平均により算出。 る予定です。 図2:豪州の失業率と雇用者数増減 豪州の雇用環境は引き続きまだら模様 (千人、前月比、3ヵ月移動平均) 100 豪州の雇用環境は引き続きまだら模様の状況が続いていま す。2016年9月の豪雇用統計では失業率は5.6%と2013年 (%) 6.4 80 9月以来の水準へ低下しました。一方、雇用者数の面では、 2016年は正規雇用の削減が続き、パートタイム雇用が雇用 16 6.2 失業率(右軸) 60 6.0 パートタイム雇用 増をけん引する構図にあります(図2)。 40 5.8 RBAは政策の様子見姿勢の継続を示唆 20 5.6 0 5.4 先行きの金融政策に関しては、ロウ総裁は「5月と8月の 金融緩和を受けて、政策姿勢の維持が持続的な経済成長と インフレ目標の達成と整合的である」と述べ、政策の様子 見姿勢を継続する見方を示しました。当面は、まだら模様 な国内の雇用環境や物価動向を注視しながらの金融政策運 営が続きそうです。 -20 -40 14年1月 (出所)ABS 雇用者数増減 (前月比、左軸) 5.2 正規雇用 5.0 15年1月 16年1月 (期間)2014年1月∼2016年9月 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが作 成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資 料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等 はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的 な投資成果を示すものではありません。●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行 者および許諾者に帰属します。●投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその 合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証 するものではありません。 商 号 等 :ニッセイアセットマネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号 1/2 加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 図3:豪ドル相場(対米ドル、対円) 豪ドル相場は底堅い推移が続く RBAによる政策の様子見姿勢や資源価格の上昇などを背景 に、足元の豪ドル相場は底堅い推移が続いています。豪ド ルの対米ドル相場は1豪ドル=0.76米ドル前後で安定的に 推移しているほか、対円相場は1豪ドル=80円近辺へ回復 しています(図3)。 豪州の主要輸出資源である石炭価格は、2016年6月以降上 昇に転じましたが、9月から10月にかけて一段と上昇が加 速する傾向にあります(図4)。豪ニューキャッスル港の 石 炭 ス ポ ッ ト 価 格 は 10 月 28 日 に は 2012 年 3 月 以 来 の 105.8米ドル/トンへ上昇しました。 また、鉄鉱石価格に関しても、2016年9月末の55.86米ド ル/トンから10月末には64.38米ドル/トンへ上昇するな ど、足元では資源価格の底堅さが広がりつつあります。 資源価格上昇で豪ドルの適正価格は小幅上昇 資源価格上昇を受けて、豪ドルの適正価格水準も緩やかに 切り上がる傾向にあると考えられます。豪・米金利差(2 年国債利回り)と豪州の資源価格の2変数から計算した豪 ドルの適正価格は、2016年10月時点で1豪ドル=0.79米 ドル近辺にあると推定されます(図5)。 実際、2016年8月の利下げ実施以降も、RBAは豪ドル相 場の水準に静観姿勢を維持しており、資源価格の上昇(交 易条件の改善)を背景にRBAが一定の豪ドル高を容認して いる可能性があります。 RBA声明文は中国景気の安定に言及 また、今回のRBA理事会の声明文では、中国景気に対する 見方がわずかに上方修正されました。従来は「中国の基調 的な経済成長ペースは鈍化している」としてきた表現が、 今回の声明文では「インフラや不動産建設の拡大に支えら れ、足元で中国の経済状況は安定している」との見方に修 正されました。 1.05 100 対円レート(左軸) 95 1.00 90 0.95 85 0.90 80 10月も鉄鉱石・石炭価格の上昇傾向が続く (米ドル) 1.10 (円) 105 0.85 豪ドル高 0.80 75 70 0.75 豪ドル安 65 60 14年1月 0.70 対米ドルレート(右軸) 15年1月 (出所)ブルームバーグ 0.65 16年1月 (期間)2014年1月1日∼2016年11月1日 図4:鉄鉱石・石炭のスポット価格の推移 (米ドル/トン) 140 120 豪州ニューキャッスル港 石炭スポット価格(一般炭) 100 105.8 80 64.38 60 40 中国青島港の鉄鉱石スポット価格 20 2014年1月 2015年1月 (出所)ブルームバーグ 2016年1月 (期間)2014年1月1日∼2016年10月31日 図5:資源価格と金利差から推定した 豪ドルの適正価格(対米ドル) (米ドル) 1.3 1.2 豪ドル高 豪ドルの適正価格 (推定値) 1.1 1.0 推計値 +20% 豪ドル安 0.9 0.79 0.8 0.7 もっとも、足元では中国政府が高騰する住宅価格の抑制策 や石炭市場の需給安定化策(国営企業に増産を指示)など を導入し始めていることもあり、今後も中国景気や資源価 格の動向は慎重に見守る必要がありそうです。 0.6 0.5 0.4 推計値 -20% 豪ドルの対米ドル相場 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (出所)ブルームバーグ、RBA (期間)2000年1月∼2016年10月 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが作 成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資 料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等 はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的 な投資成果を示すものではありません。●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行 者および許諾者に帰属します。●投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその 合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証 するものではありません。 商 号 等 :ニッセイアセットマネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号 2/2 加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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