豪州準備銀行は4ヵ月連続で政策金利を据え置き

2016年12月7日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB239)
オーストラリアレポート
オーストラリア経済とリート市場の動向について
豪州準備銀行は4ヵ月連続で政策金利を据え置き
 豪州準備銀行(RBA)は4ヵ月連続で政策金利を据え置き。豪州経済をとりまく外部環境についての判断を上方修正。
 正規雇用へのシフトや、賃金上昇に繋がる雇用の質的改善がみられれば、RBAによる利上げの素地が整い始める。
 フィリップ・ロウ総裁は金融政策の様子見姿勢を引き続き示唆。低金利政策などが豪州景気を下支え。
 次回の理事会(来年2月開催)以降も、今後の経済動向を睨みながら慎重な政策運営が続く見通し。
インドが追加利下げ 今年4回目
図1:豪州準備銀行(RBA)の政策金利とインフレ率
RBAは4ヵ月連続で政策金利の据え置きを決定
豪州準備銀行(RBA)は12月6日の金融政策理事会で政策
金利を1.50%で据え置く決定を下しました(図1)。政策
金利据え置きは9月以降、4ヵ月連続となります。
(%)
5.0
4.5
豪州準備銀行の政策金利
(キャッシュ・レート)
4.0
RBAは海外経済についての判断を上方修正
3.5
フィリップ・ロウ総裁は声明文において、「世界経済は底
3.0
堅く推移し、インフレ環境に安定化の兆しが見られる」と
2.5
言及し、豪州経済をとりまく外部環境の判断を上方修正し
2.0
インフレ目標
レンジ(2~3%)
ました。また、「資源価格上昇によって交易条件が改善し、 1.5
1.0
国民所得押し上げに寄与している」と指摘しました。
0.5
一方で、「雇用コストの抑制が続いている」と述べ、国内
の低インフレの環境が継続するとの見通しが示されました。
RBAの見通しによると、実質GDP成長率は2.5∼3.5%で
推移し、2018年末にかけて3∼4%へ緩やかに加速する見
通 し で す が 、 豪 州 の イ ン フ レ 率 は 1.5 ∼ 2.5 % の 水 準 が
2018年末まで続く見通しです。
雇用の質の改善が、利上げ期待に繋がる公算
2013年以降、雇用拡大の8割はパートタイム雇用によるも
1.50%
1.5%
基調インフレ率
(前年比)
0.0
09
10
11
12
13
14
15
(年)
16
(出所)豪州準備銀行(RBA)、豪州政府統計局(ABS)
(期間)基調インフレ率:2009年1-3月期∼2016年7-9月期
政策金利:2009年1月1日∼2016年12月6日
(注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)のトリム平均値(平均値を算
出する際、データの最大値と最小値付近の値を計算から除外)と加重
中央値の平均により算出。
図2:2013年初からの雇用者数の増減(累計)
(千人)
600
正規雇用+パートタイム
のです(図2)。資源セクターにおける正規雇用削減の
動きが顕著となっていることに加え、雇用市場全体でも
足元で正規雇用を抑制する動きが見られます。
400
今後、パートタイム雇用から正規雇用へのシフトや賃金上
昇に繋がる質的改善がみられれば、RBAによる利上げの素
パートタイム
200
地が整い始めると考えられます。
RBAは引き続き慎重な政策運営を続ける見通し
正規雇用
0
ロウ総裁は「今回の理事会における政策姿勢の維持が、持
続的な経済成長とインフレ目標の達成と整合的」と述べま
-200
した。次回の理事会(来年2月開催)以降も、今後の経済
動向を睨みながら、慎重な政策運営が続くと予想されます。(出所)ABS
2013
2014
2015
2016
(年)
(期間)2013年1月∼2016年10月の累計
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