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中南米
2016年8月25日
ブラジル、消費者物価は市場予想通りだが、利下げは先送りの見通し
ブラジルの8月拡大消費者物価指数は緩やかながら低下傾向を示していますが、サービス価格などにインフレ懸念
が根強く残っており、政策金利については当面、据え置かれる可能性もあると見ています。
ブラジル8月の消費者物価指数:全体の動き
は市場予想通りだが、食料価格は低下
ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した8月の拡大消費者物
価指数(IPCA-15)は前年同月比で+8.95%上昇と、前月
(+8.93%)および市場予想(+8.97%)と概ね一致する結果となり
ました。依然として高水準ではありますが、上昇率が10%を超
えていたピーク時に比べれば非常に緩やかながら低下傾向
となっています(図表1参照)。なお、消費者物価指数を項目
別に前月比で見ると、食品価格は前月に比べ上昇率が低下
した一方、サービス関連のヘルスケアや教育などが根強く上
昇傾向を示していました。
どこに注目すべきか:
インフレ懸念、実質賃金、金融政策据え置き
ブラジルをはじめ一部の南米の国々は、米国の金融政策
(2015年12月に利上げを実施)に加え、食料品価格などにけ
ん引された高インフレが足かせとなり、金融緩和を躊躇して
いる状況です。ブラジルの物価データでは、食品価格につい
ては低下の兆しが見られたものの他の項目にインフレ懸念
が残り、利下げ実施にはもう少し時間が必要と思われます。
8月の拡大消費者物価指数(IPCA-15)を詳しく見てみると、
天候不順の影響などを受け上昇傾向であった食品価格に
落ち着きの兆しが見られました。一方で、サービス関連のヘ
ルスケア、教育など反対に上昇する部門も見られました。ま
た公共交通など政府の管理価格に関連する項目は概ね横
ばいと見られます。食品価格の落ち着きは今後の見通しを
明るくするもので、レアル高傾向が維持されれば輸入価格
の下落も期待され、今後の物価下押し要因となる可能性が
あります。しかし、サービス価格などにはインフレ懸念が根
強く残っており、物価指数全体では低下を妨げる要因となり
そうです。
次に、インフレ率がブラジル国民の生活に与える影響を振り
返ります。ブラジルの実質賃金(名目賃金をインフレ上昇分
で調整)を見てみると、ブラジルのインフレ率が大幅に上昇
ピクテ投信投資顧問株式会社
した時期から低下し、前年同月比でマイナスとなっています。
手にする賃金の伸びはインフレ率を下回る水準であるというイ
メージであり、物価上昇は個人消費へ悪影響を与えることが懸
念されます(図表2参照)。加えて、ブラジルは失業率も上昇し
たため国民の生活への懸念や不満も高いと見られます。した
がって、ブラジルは国として様々な問題を抱えますが、インフレ
率引き下げの優先順位は高いと見られます。
したがって、ブラジル中銀は景気を踏まえれば食料品価格の
低下だけでなく、他の部門の価格動向を踏まえ金融政策を運
営すると見られ、当面は据え置きを維持する可能性もあると見
ています。
図表1:ブラジル拡大消費者物価指数の推移
(月次、前年同月比、期間:2013年8月∼2016年8月)
12
%
10
8
インフレ率は
緩やかな
低下傾向
6
4
13年8月
14年8月
15年8月
16年8月
図表2:ブラジル実質賃金(伸び率)の推移
(月次、前年同月比、期間:2013年6月∼2016年6月)
11%
6%
実質賃金の
伸び率は
低下傾向
1%
-4%
-9%
-14%
13年6月
14年6月
15年6月
16年6月
※製造業
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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