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欧州
2016年8月31日
沈黙を続けるドラギ総裁の手の内は?
ドラギ総裁は9月8日のECB政策委員会を前に沈黙を守っています。ECBは金融政策の行方を経済統計に委ねた格
好ですが、足元のデータの中には追加金融緩和が想定される内容も、一部ながら見られます。
ドイツ8月消費者物価指数:インフレ率は市場
予想を下回る
ドイツ連邦統計局が2016年8月30日に発表した8月のドイツ
消費者物価指数(CPI)は、欧州連合(EU)基準で前年同月
比0.3%上昇と、市場予想(同0.5%上昇)7月(同0.4%上昇)を下
回りました(図表1参照)。また、前月比で見るとマイナス0.1%
下落となり、市場予想(0.1%上昇)や、前月(0.4%上昇)を下回
りました。低インフレが長引くことが明らかになれば、追加緩
和を実施すると表明している欧州中央銀行(ECB)のドラギ
総裁にとって注意が必要なデータと思われます。
どこに注目すべきか:
ユーロ圏CPI、民間向け融資、TLTRO
米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長の講演で注目を
集めたジャクソンホールの出席を見合わせるなど、ドラギ総
裁は9月8日のECB政策委員会を前に沈黙を守っています。
ECBは金融政策の行方を経済統計に委ねた格好ですが、
足元のデータの中には追加金融緩和が想定される内容も、
一部ながら見られます。
例えば、ユーロ圏CPIは7月は前年同月比+0.2%とECBの物
価目標を下回っています。8月分は8月31日に公表されます
が、8月30日に公表されたドイツの8月CPIを見ると同+0.3%と
市場予想を小幅ながら下回っています(図表1参照)。ドイツ
のCPIの内容で気になるのは、食品やサービスなど(回復が
期待される)内需関連がさえない数字となっていることです。
エネルギーは最近の原油価格の回復を反映してCPIの上昇
要因として期待されますが、この原油価格の回復による下
支え効果は今後低下も見込まれ、その後のインフレ率の回
復には内需項目の上昇が必要なだけに、やや気になります。
2点目は、融資の伸びにバラツキが見られる点です。融資全
体のフローの変化を見ると概ね横ばいながら、家計に代表
される民間向け融資は伸び悩んでいます(図表2参照)。これ
は非民間部門向け融資で全体を何とか取り繕っている可能
性があります。気になるのはECBが金融政策の重心をマイ
ピクテ投信投資顧問株式会社
ナス金利から融資(クレジット)の拡大へシフトする動きが見えて
いただけに気になるところです。例えば、ECBが期待を寄せて
いた「的を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)」の初回オペの
結果が6月に公表されましたが、総額は3,990億ユーロの利用
額でしたが、大半は借り換えで、融資の純増額は数百億ユー
ロ程度と市場では見込まれています。融資の対象となる投資
先が十分なのか検証が必要と思われます。
ただし、ユーロ圏の失業率は低下傾向で、消費も底堅いなどイ
ンフレ率などにてこ入れの必要があるものの、目先の景気はま
ずまずなことから9月の政策委員会で想定される政策は量的
緩和(債券購入)政策の実施期限の延長や、購入制約(組入れ
上限)の緩和にとどめる可能性も考えられます。もちろん、今後
の経済指標やECBの経済予想次第の話ですが。
図表1:ドイツとユーロ圏の消費者物価指数の推移
(月次、期間:2011年8月~2016年8月、ユーロ圏は2016年7月まで)
3.5 %
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
11年8月
ECBのインフレ目標
=2%未満で、その近辺
2016年8月ドイツCPI
は前年比0.3%
ドイツCPI(前年同月比)
ユーロ圏CPI(前年同月比)
2016年7月ユーロ圏
CPIは前年比0.2%
13年8月
15年8月
図表2:ユーロ圏家計向け融資の伸びの推移
(月次、期間:2016年1月~2016年7月、前年同月比)
6%
家計向け融資
4%
2%
0%
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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