2016年8月5日付

ウィークリーコメント: ジェレミーJ.シーゲル教授
Weekly Commentary by Professor Jeremy J. Siegel
7 月の堅調な雇用統計を受け、株価は最高値を
更新;12 月利上げの可能性は消えず
2016 年 8 月 5 日(金)4:20 PM EST
5 日発表された 7 月の雇用統計が堅調だったことから、12 月利上げの可能性はまだ十分に残っているが、9 月の実施
はまずないとの筆者の見方に変わりはない。たしかに、雇用者数は力強い伸びを示しているものの、賃金の上昇ペースと
失業率は FRB の警戒感を呼び起こすには程遠い水準である。また、就労率の上昇を背景に、雇用者数の堅調な増
加(家計調査と合致)は求人数の伸びに相殺され、失業率は FRB の長期目標の下限近辺で推移している。賃金は予
想を 0.1 ポイント上回り 0.3 ポイント上昇したが、前年比伸び率 2.6%はインフレを誘発するような水準ではなく、ほぼ
予想通りだった。さらに、原油価格が最近の高値から 20%強下落して 40 ドル台に戻っているため、インフレデータは懸
念するような内容ではない。原油の値下がりはガソリン価格にも反映されており、ガソリン価格は 2~6 月に 40%近く上
昇した後、ここ 8 週間で約 11%下落した。向こう数週間で CPI(消費者物価指数)/PPI(生産者物価指数)が
大幅に上昇するか、あるいは 8 月の雇用者数が極端に増加すれば FRB は市場に警戒を促すだろうが、レイバーデー後
の会合では利上げに動かないだろう。最近の雇用者数の伸びは、労働人口の伸びに対するエコノミストの最新予測を依
然として 5~7.5 万人上回っている点に留意したい。従って、雇用者数の伸びは長期的に持続可能ではなく、利上げの
根拠となっている。
本日、7 月の雇用統計の発表を受けて株価は過去最高値を更新し、S&P500 は 0.85%の上昇となった。今年終盤
に利上げが実施される確率が上昇したことにより金利が大幅に上昇したことよりも、データが企業収益にとって好ましい状
況であることを示唆している点に投資家の関心がシフトしているのは心強い。10 年国債の利回りは 9bps 上昇したが、
それでも 1.59%とかなり緩和的な水準を維持している。株式の配当利回りは国債利回りを大幅に上回って推移してお
り、まだ債券は株式にとって深刻な脅威とはなっていない。本日発表された雇用統計を受け、今年後半の成長率が力
強く上向けば(現時点での第 3 四半期 GDP 成長率予測は 2.6%)、株価は間違いなく上昇するだろう。もうひとつ
の強気要因は、だれもが「8 月の暴落」を恐れているため(筆者は若干の調整を予想)、大量の空売りが生じているこ
とである。
ジェレミー・シーゲル教授は WisdomTree Investment, Inc ならびに WisdomTree Asset Management, Inc の上級投資戦略アドバイザーを務め
ています。本資料はシーゲル教授の現時点でのリサーチおよび見解を掲載したもので、変更の可能性があります。本資料は特定の取引戦略の採用、またいか
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