週間天気予報解説資料

週間天気予報解説資料
2016 年 7 月 25 日 10 時 00 分 発表
気象庁予報部
予報期間
7 月 26 日から 8 月 1 日まで
1.アンサンブル資料
●アンサンブル(ENS):500hPaは、東シナ海にサブHの本体から切り離されたH循環があって、西から沖縄・奄美と西日本を覆う。
日本の東にある寒冷渦の中心は27日にはサハリン付近まで北上し、バイカル湖の東の寒冷渦の周りを回る流れに取り込まれる。
その後東シナ海のH循環は東に、千島の東のリッジは西に勢力を広げ、北・東日本では27日頃までの低気圧性循環の流れが、
28日以降高気圧循環の流れに変わる。また、28日から29日にかけて、バイカル湖の東の寒冷渦をまわる5820m付近のトラ
フが日本海北部からオホーツク海へ北東進する。地上は、太平洋高気圧は明瞭ではなく、千島の東に中心を持つ高気圧が日本付
近に張り出す形が続き、期間前半は約2日の周期で日本海に低気圧が予想され、南から湿った空気が日本付近に入る。天気は、
西日本と沖縄・奄美は期間を通して東シナ海のサブH圏内で基本的に晴れベースによりだが、暖湿気により大気の状態が不安定
となり広範囲で雨の降る日がある。北・東日本は、期間の前半は、日本海の低気圧や日本の東の気圧の谷の影響を受け雨の降る
日があるが、次第に気圧の谷の影響は弱まり晴れ間が多くなる。
●500hPa基本場(週間予報支援図)
:実況の日本付近は、東シナ海に寒冷渦によってサブHの本体から切り離されたH循環があって、
西から沖縄・奄美と西日本を覆い、千島の東には優勢なリッジがある。それらの間の日本の東には寒冷渦があって、北・東日本
はこの谷場となっている。予報期間は、東シナ海のH循環は東に、千島の東のリッジは西に勢力を広げ、日本の東のトラフは浅
くなり30N付近で切離する。中国東北区にはトラフが進む。日本付近は正偏差。
●28~29日:5820m付近のトラフが沿海州からサハリン付近に進むのに伴い、日本海北部で低気圧が発生し北東進する。北日本
では雨が降り、雨量が多くなるおそれがある。低気圧と千島の東の高気圧との間で気圧の傾きが大きくなり(または低気圧が発
達して)、荒れた天気となるおそれもある。東日本から沖縄・奄美にかけては高気圧に覆われて晴れるところが多いが、南から
の暖湿気により東日本を中心に雲が広がりやすく、にわか雨の降る所もある。
●30~8月1日:日本付近は地上では千島の東の高気圧に広く覆われる形となるが、中国東北区付近がトラフ場となり、日本付近
には南から暖湿気が入りやすく、全国的に大気の不安定な状態が続く。また、500hPa寒気も期末にかけて次第に南下する傾向が
あり期間終わりにかけて大気の不安定な状態はさらに強まるおそれがある。
●沖縄・奄美:太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多い。
・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:28~29日頃、北海道付近に低気圧を予想しているメンバーは5~6割で、発達させている
ものもある。また、期間終わりに、日本の南海上に熱帯じょう乱を予想しているメンバーは約2割程度あるが、位置は区々で今
のところ発達させているものはない。
・ スプレッド:2日目に0.01拡大した他は昨日資料より縮小した。特定高度線は、29日5880m線の東への張り出しの予想にバラつ
きが大きい。
・ 降水頻度分布:高降水頻度域は、27日北・東日本に新たな領域が予想された。
・ 予想T850時系列:昨日からの変化は小さい。北日本は、はじめ弱い負偏差でその後弱い正偏差。東日本は、はじめ負偏差でその
後平年値近傍。西日本と沖縄・奄美は、平年値近傍で推移する。
2.防災事項等
・ 西・東日本では、猛暑日近くまで気温の上昇する所がある。沖縄・奄美や北日本も含めて、全国的に熱中症などに注意。
・ 28~29日は、北日本で大雨となるおそれがある。
3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照)
・ 北日本では、北海道付近の寒冷渦は北上し、代わって500hPa 5760~5820mのトラフが接近する。このため、次第に雨が降りやすく
なるが、このトラフおよび伴う降水の予想は、初期値による変化が大きい。
・ 東日本は、26日から、500hPa正渦度移流の場、下層南風により湿りの多い場が続く。大気の状態が不安定で、曇りや雨となる。
・ 西日本や南西諸島は、5880m高度線に見られる500hPa高気圧に覆われ、概ね晴れる。
4.全般週間天気予報(案)
・ 北日本と東日本は、湿った空気や気圧の谷の影響で雲が広がりやすく雨の降る日があるが、期間の後半は高気圧に覆われて晴れる
所もある。
・ 西日本と沖縄・奄美は、高気圧に覆われて晴れる日が多いが、期間のはじめは湿った空気や気圧の谷の影響で曇りや雨の降る所が
ある。
・ 最高気温・最低気温ともに、北・東日本では概ね平年並だが期間のはじめ年より低い所がある。西日本は平年並か平年より高いが、
期間のはじめは平年より低い所がある。沖縄・奄美は、平年並か平年より高い。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの
形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。