Economic Indicators 定例経済指標レポート

Market Flash
重みが違う「2017年度中」の後ろ倒し
2016年7月27日(水)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】
・7月米CB消費者信頼感指数は97.3と6月から概ね横ばい。現況(116.6→118.3)が改善した一方、期待
(84.6→83.3)が小幅に低下。目下の水準は2015年の98.0を僅かに下回るものの、金融市場の混乱が影響
した2月(94.0)をボトムに改善傾向にあり、消費者の楽観的な姿勢が見て取れる。足もとで実際の消費
が強さを取り戻していることと整合的で、BREXIT騒動が米消費者に無縁であることを窺わせる。雇用統計
の先行指標として有用な雇用判断指数は+0.7と3ヶ月ぶりにプラス圏を回復した。
CB消費者信頼感指数
CB消費者信頼感指数(雇用判断)
20
140
10
120
0
100
-10
80
-20
60
-30
40
-40
雇用機会が「十分」との
回答から「不十分」との
回答を差し引いたもの
-50
20
07
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(備考)Thomson Reutersにより作成
(備考)Thomson Reutersにより作成
・6月米新築住宅販売件数は前月比+3.5%、59.2万件と市場予想(56.0万件)を上回り、景気後退後の最高
を記録。MBAモーゲージ申請指数の上昇と整合的で、消費者の旺盛な住宅購入意欲が窺える。
・7月リッチモンド連銀製造業景況指数+10と6月から20ptの改善を記録。ISM換算では55.3と1年ぶり
の高水準に回帰。これまでに出揃った地区連銀サーベイをISMに換算したうえで合成した指数は50.8と
4ヶ月ぶりに50を回復した。
新築住宅販売件数
(千件)
1000
60
850
55
700
50
ISM・地区連銀サーベイ
ISM
45
550
地区連銀平均
40
400
35
250
07
08
09
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成 太線:3MA
15
07
08
09
10
11
12
(備考)Thomson Reutersにより作成
16
13
14
15
16
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は横ばい。この日発表された企業決算の幾つかが利益確定売りを誘発し、NYダウは小幅に
下落。一方、S&P500は小幅高で引け。WTI原油は42.92㌦(▲0.21㌦)で引けた。
・前日のG10 通貨はJPYが最強でそれに資源国通貨(NZD、AUD、CAD)が追随した一方、CHFを筆頭に欧州通
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
貨が軟調に推移。USD/JPYは日銀の追加緩和観測がやや後退する下、ヘリマネポジションの手仕舞いと相俟
って104前半まで水準を切り下げた後、104後半に切り返した。EUR/USDは小動き。GBP関連では利下げに慎
重な姿勢を示していたウィール委員が、急落を示した7月英PMIを受けて認識を変更、早期の金融緩和
の必要性に言及した(※同委員は8月MPC後に退任が決まっている)。
・前日の米10年金利は1.561%(▲1.2bp)で引け。米株高一服、原油安を受けて金利低下。欧州債市場では、
英国(0.822%、+1.2bp)、ドイツ(▲0.027%、+1.4bp)が小幅に金利上昇となり、イタリア(1.249%、
+1.3bp)、ポルトガル(3.038%、+0.8bp)がこれに追随。反対にスペイン(1.111%、▲0.3bp)は金利
低下。3ヶ国加重平均の対独スプレッドは概ね横ばい。
【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株は海外時間に進んだUSD/JPY上昇を受けて高寄り後、もみ合い。
・ここ数日は、日銀の金融政策を巡る観測報道からUSD/JPY、日本株が大きく変動している。新聞各紙、通信
社の観測記事では「政府の景気対策と足並みを揃える」との見方から日銀が追加緩和に前向きであるとい
う報道(たとえば27日付け日経新聞)が伝えられる一方、「物価の基調を支える所得から支出への前向き
な循環メカニズムが維持されている」との見方から追加緩和に慎重であるという報道(26日付ロイター)
も伝えられており情報が混在。この他、黒田総裁のヘリマネ否定発言も市場が大きく動かした。こうした
一連の報道にUSD/JPYが反応している現状に鑑みると、為替市場で日銀の行動が大きな関心事となっている
ことに疑いの余地はない。
・そうした下、筆者は日銀が「追加緩和なし」を選択し、それを受けて円高・株安が進む可能性が高いとみ
ている。エコノミストの約8割が追加緩和を予想しているとはいえ、追加緩和を決定する際の最重要ファ
クターである物価目標達成時期の後ろ倒しが見込まれないことを重視している。4月の展望レポートで示
された「2017年度中」とされている目標達成時期が「2018年3月まで」を意味しているのは自明だが、そ
れは「総裁任期中」までと換言できる。言わずもがな、それを後ろ倒しするということは、黒田総裁の任
期中に物価目標が達成できないことを意味するので非常に重い意味を持つ。原油価格が安定しているにも
かかわらず、4月に変更したばかりの達成時期をたったの3ヶ月で再度変更するとは考えにくい。であれ
ば、追加緩和の可能性は低いという結論が導き出される。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
2