レポート

レ ポ ー ト
女性たちがホンネで意見交換!
女性の
“働きがい”
と“働きやすさ”
向上のための秘策を探る
中部産業連盟は5月 20 日、
「明日のモノづくり
を担う女性のためのネットワーク交流会」をウイ
女性活躍推進には働き方改善が急務
ンクあいち
(名古屋市中村区)
で開催した。製造現
場に従事する女性社員と人事・総務部門の女性活
女性活躍推進やダイバーシティー推進者が集ま
躍・ダイバーシティー推進担当者が参加。女性活
るグループでは、食品や金属、機械部品、精密機
躍推進側の人事総務担当と製造現場担当者のグル
器メーカーなどさまざまな業種から参加。数百人
ープに分かれ、女性たちが抱える悩みや課題を取
規模であるが女性管理職は5名以下、女性はパー
り上げ、真の女性活躍推進に向けて何をすべきか
トタイマーや派遣社員が多く正社員は少数派など、
について意見交換を行った。
各社ともさまざまな事情を抱える。自社の女性活
今年4月から施行された女性活躍推進法も追い
躍は発展途上という参加者が多かった。
風となり、女性活躍推進のムーブメントが高まっ
最も意見が集中したテーマは、働き方改善の必
ている。そのなかでも女性の管理職登用に注目が
要性。
「女性から見ると、まだまだ男性社会が根強
集まる。一方で部下のマネジメントやワークライ
いと感じることがある」という意見に賛同する声
フバランスについての課題も多い。
が多かった。たとえば、残業を美徳とする考え方。
会議の時間が長く、業務効率が悪い…など、率直
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Vol.62 No.9 工場管理
特集 製造業女性キャリアアップの秘策
な意見も相次いだ。
「残業は結果として利益を生ま
う慎重さがある」
「そうした雰囲気を察知すると発
ない。ムダな残業が会社にとって不利益というこ
言がしづらくなる」といった声が上がった。
とに気づくべき」と警鐘を鳴らす。
一方で、
「男性上司がチャンスを与えても、消極
一方、こうした問題に解決した企業の参加者は
的な人もいる」といった女性社員における意識の
自社の取組みを紹介。
「以前、会議が夕方 17 時過
差を指摘する意見については、出産や子育てとい
ぎから始まることがあったが、それを1時間早め
ったライフイベントと仕事の両立といった不安が
た」
。家庭での女性の役割などを考慮し改革に乗り
あると分析。
「女性側は自身の希望や考え方を発信
出した企業もある。
することで周囲の理解を得ながら、仕事とライフ
改革の背景では、
「トップの意識が大きい」と口
イベントを両立する道を探るべき」といったアド
をそろえる。社長が交代したタイミングで改革が
バイスもあった。
進んだという例もあった。多能工化による平準化
の推進、残業時間の見える化など全社を挙げて取
り組んだ企業は成果が現れているようだ。
欠員した現場をカバーする社員の
負担をどう軽減するか
働き方改善のもう1つの問題として、育児休暇
製造現場に所属する社員が集まるグループでは、
や介護休暇などを取得しやすい環境づくりをすべ
管理職からリーダー層、若手までの幅広い層の参
きとの意見も聞かれた。
加者が、仕事を継続していくうえでの現状の課題
まだまだ男性中心社会?
依然として存在する機会の不平等
やキャリア形成の考えについて披露。職場の状況
と課題、悩みや不安を洗い出し、解決策を探った。
女性活躍推進について、
「企業としての理想がある
もう1つの推進側のグループで問題を洗い出し
が、言葉ばかりが先行して、理想通りに進んでい
てみると、やはり、
「経営層や男性管理職のマネジ
ない」と不安を抱えている参加者もいた。
メント能力」
「男性中心の企業風土」といったテー
具体的な話題として、
「子育て支援制度利用者と
マが話題に。
「重要なことは男性のみの場で決めら
そのほかの社員との関係性」について懸念する意
れる」
「女性社員には会議が開かれる情報すら入っ
見が挙がった。ある参加者は、
「製造ラインに女性
てこない」
「女性が発案したプロジェクトでも、い
社員が多く、産休取得者や産休明けの時短勤務者
つ間にか男性がリーダーになってものごとが進ん
がいる中でどのように現場を円滑に回すか」とい
でいた」といった機会の不平等がある現状の報告
ったマネジメントに関する悩みを明かした。一部
があった。
の社員に負担が偏ってしまいがちになることを懸
「女性社員に対する無用な気遣いがある」という
念する。
「日頃から人間関係を良好に保ち、フォロ
指摘も。「
『女性に負担をかけてはいけない』とい
ーしてもらえる雰囲気をつくっておく」
「負担を軽
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