日米の金融政策を巡り、進む円高

楽読
(ラクヨミ)
2016年8月19日
Vol.
1,131
日米の金融政策を巡り、進む円高
足元の為替市場において、米ドル(対円)が100円を一時下回るなど、円高が進む展開となっています。主要
通貨の対米ドルの騰落率をみると、他に比べて円の上昇が目立っています。
その背景には、日銀のさらなる金融緩和への期待が後退したことが挙げられます。マイナス金利の拡大は金
融機関の収益を悪化させる可能性があるほか、市場が期待するヘリコプターマネー政策の導入は法的な制
約に加え、黒田日銀総裁が何度も否定していることなどから、今後の金融緩和の拡大に対し市場では懐疑
的な見方が拡がっています。また、米国では、低いインフレ率や低調な設備投資などを背景に、利上げはす
ぐに行なわれないとの見方が拡がっています。7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録によると、利上
げの判断には今後の経済指標を待つ必要があるとFOMCメンバーが合意しており、速やかな利上げは示唆
されませんでした。
しかし、米国の経済指標は、個人消費や雇用市場を中心に概ね好調が続いており、米国株式市場も、主要
株価指数が過去最高を更新するなど堅調に推移しています。そうしたことを背景に、一部のFOMCメンバー
が、9月の利上げもあり得ると述べ、市場の利上げの織り込み不足を指摘するなど、利上げに積極的な意見
も目立ち始めています。一方、9月の日銀・金融政策決定会合では、これまでの金融緩和の総括的な検証を
行なうとしており、追加金融緩和、または緩和の枠組みの見直しなどが行なわれるとの見方もあります。こう
したことなどから、日米の金融政策の動向を巡って、為替市場では変動性が大きくなりやすい環境となってい
ます。
なお、足元の注目点として、8月26日に行なわれる、FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長によるジャ
クソンホール会議での講演があります。仮に早期の利上げを示唆するような発言があれば、為替相場は米ド
ル高(円安)方向に反転する可能性も考えられます。
(円)
米ドル(対円)の推移
主要通貨の対米ドル騰落率
(2016年1月初~2016年8月18日)
125
(2016年5月31日~2016年8月18日)
20%
円安・米ドル高
120
各通貨
高
10%
0%
-10%
115
円高・米ドル安
各通貨
安
-20%
円
110
豪ドル
カナダドル
ユーロ
英ポンド
(ご参考)今後の日米の金融政策・イベント
105
日付
予定
8月25日 経済シンポジウム(ジャクソンホール)、
~27日 イエレン議長の講演(26日)
100
9月5日
95
16/1 16/2 16/3 16/4 16/5 16/6 16/7 16/8 (年/月)
黒田総裁の講演
9月20日 日銀・金融政策決定会合
~21日 FOMC(米連邦公開市場委員会)
(報道など信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成)
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