報告書

別紙様式1
平成27年度学術研究推進経費 共同研究推進経費
プロジェクトの名称
石井鶴三の造形理論と近代彫刻の論理構築に向けた基礎研究
報告者氏名・所属・職名
プロジェクト担当者
(氏名・所属・職)
研究成果概要報 告 書
福江 良純 ・ 釧路校 准教授
福江 良純 ・ 釧路校 准教授
研究内容及び成果の概要
本研究は、彫刻家石井鶴三(1887~1973)の造形論を読み解き、論理の体系化を図るとともに、それをも
って近代日本彫刻史の再評価を最終的な目的とする。
石井の制作と言説とは、一つに結ばれた造形の方法論を構成しており、石井の見解が近代芸術の理解に果
たした功績は多大である。しかしながら、彼の造形論には人文科学との整合性に未整理な部分も多く、それ
が美術史上の主要概念となるまでには至っていない。この現状に鑑み、本研究は石井の言説を造形論として
系統立てる作業を行いつつ、彼の主要作品の中でも、今年度は特に木曽教育会が保管管理する島崎藤村像関
連史料の調査と検証に力を傾注した。
具体的な作業及び成果の概略は以下の通りである。
1 石井の造形の精粋と言える「彫刻いろはがるた」の読み解きを具体的な作品に即して展開。1件の学会発
表の業績および造形論の基礎概念を得る。
2 笹村草家人「藤村先生木像制作覚書」の翻刻。島崎藤村先生像制作事業を弟子の一人として記録し、作
品関連史料の意義についても言説を残した笹村草家人による手記。今回、初めて翻刻された貴重な業績であ
り『釧路論集』に全文を掲載した。
3 デジタル技術を駆使した木彫島崎藤村像の制作工程の再現と検証。木取りによる木片がすべて保管され
ている木彫島崎藤村像の木彫理法については、かねてより研究を継続しているところであるが、今般、東京
藝術大学保存修復彫刻研究室との連携により、2体の木彫島崎藤村像とそれぞれの石膏原型のデジタル形状計
測を行い、それぞれの3次元CG画像を完成させた。これらの画像は、今後切り落とされた全ての木片の形状
データと統合されることによって、木彫制作の制作過程をCGのうちにシュミレーションすることを可能に
するものとなる。これは、近代造形の感性の特性を概念化し得るだけでなく、これまで測りがたかった造形
感性の定量的検証の途を拓く画期的な研究に発展する可能性を孕むものである。
当該研究で残された課題と今後の展望
計測の完了していない全木片を計測し、制作工程全体を再現することで近代造形の方法論を考究する。
成果の公表の状況
【著書】【学術論文】福江良純、雲岡梓、翻刻 笹村草家人「藤村先生木像制作覚書」
、釧路論集、47号、
2015
教育現場で活用可能な分野等
美術分野で教員が造形の指導を行う際に依って立つ造形の原理として有用である。
配布又はダウン 資料あり:『釧路論集』抜き刷り50部。
ロード可能な資
料
問い合わせ先
代表者:福江良純
電 話:
FAX :
mail :[email protected]