報告書

別紙様式1
平成27年度学術研究推進経費 共同研究推進経費
プロジェクトの名称
「実践的指導力」の形成を実現するためのカリキュラム連携環境の構築
坂本
報告者氏名・所属・職名
プロジェクト担当者
(氏名・所属・職)
研究成果概要報 告 書
坂本
吉村
北村
山口
紀子・函館校・教授
紀子・函館校・教授
功・函館校・教授
博幸・函館校・准教授
好和・函館校・准教授
内藤
橋本
細谷
一志・函館校・教授
忠和・函館校・教授
一博・函館校・准教授
研究内容及び成果の概要
本事業は、専攻学生が「実践的指導力」をより確実に形成する方法について探索するものである。具体的に
は「実践的指導力」概念を、<社会変化への対応力><教材と子どもの理解をつなぐ知識基盤(Pedagogical
Content Knowledge)><バランスのとれた自己理解と協調的技能>の柱でとらえ、以下のアプローチから専
攻科目内の連携強化を試みる。
1)専攻学生が、自らの学びの経験を逐次参照しつつ、多面的な視点で教育の諸問題を考察する機会を増やす。
2)教育実習や授業観察に備えて、教材研究、子ども理解、授業研究方法の定着を図る(遠隔授業分析システム
の利用を含む)。
3)ICT環境の援用によって、協同的な学習活動の意義理解とその実行にむけた態度形成を促す。
今年度はその準備作業として、教員志望学生が入門期の履修科目でどのよ
うな学びを経験しているか把握を試みた。一例をあげると、旧来型・講義形
式の必修科目(「倫理・人権」)を聴講する際、学生のノート記述の特徴と
して次の傾向が明らかになった。
・講義の概要を表題にする際に、<中心話題を自分の語彙で示す>記述よりも
、<重要語句の抜きだし><表題の同語反復><回数のみ記載>に終始する
記述の方が多い
・自主的な<段落分け>を実施するのは、全体の3割から4割程度
・授業者による黒板での図示は、必ずしもノート記述には反映されない
これらの傾向は、後に実施予定の教育実習(教材の解釈や、授業観察を通
じた学びの場面理解)とも決して無関係ではない。指導の充実にむけ、より
丁寧な学生の実態把握が望まれるところである。
こうした学生の学びの一方で、小・中学校における授業づくりの現場では
、どんな実践的指導力が議論されているかを、学校内の研修活動や研究授業に向けた準備作業の観察から理解
しようと試みた。その結果、小・中学校における授業づくりの具体場面を理解でき、学生の「指導力」形成に
むけての展望を得ることができた。
当該研究で残された課題と今後の展望
学生の共通履修科目での学びの経験から、科目間連携にむけて基礎情報が得られた。一方で、学校現場の求め
る「実践的指導力」が何かについては、具体的な文脈に即して把握することが必要である。とりわけ、児童生徒の特別
なニーズに対応できる知識と態度、ICT活用にむけたスキル習得、外国語活動への理解と関心など、新しい課題へ
の対応力が強く求められている。これらの要求に対して、教員志望学生がもつ個別の経験を、どう結び付けて充たし
ていくのかは、引き続き検討すべき課題である。
成果の公表の状況
【著書】
【学術論文】
・山口好和,「ミドルクラス大学生・入門期にとっての「読むこと」「書くこと」そして「メディア」 -要約課題での
学習ノート類型化を手がかりに-」,平成27年度 第59回日本読書学会大会 発表要旨集,2015,p.47
・山口好和,「映像を活用した学習指導法の協議環境試案と論点整理-注目場面のずれを題材にして-」
,日本教育メディア学会研究会論文集,2015,pp.39-48
・山口好和,「学習指導法に向けて注がれる教師のまなざし」,日本臨床教育学会・北海道臨床教育学会
第5回研究大会発表要旨集録,2015,pp.31-32
・山口好和,「“メディアとしての教材”という視角で把握できる問題とは何か?-学習活動の文脈・教師の経
験・ICTデバイスの交差点を探る-」,日本教育メディア学会 第22回年次大会発表集録,2015,pp.80-8
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教育現場で活用可能な分野等
・教員志望学生の学びの経験を存分に把握することで、初任者育成の方法改善に資することができる。
・「実践的指導力」を、<授業づくり>や<授業の観察視点の形成>ととらえた場合には、本事業での知見
を学校での研修活動の充実へとつなげることが可能である。
配布又はダウン
各報告時のレポート(発表要旨・補足資料)は、随時配布可能。またウェブでは、次のURL
ロード可能な資
で関係資料を閲覧できる(提供元 http://emlab.jp/research/project2015/ )。
料
問い合わせ先
坂本紀子(電話:0138-44-4277、電子メール:[email protected])
山口好和(電話:0138-44-4251、電子メール:[email protected]