研究紹介

高エネルギー加速器研究機構 大型シミュレーション研究 09-12
反対称化分子動力学を用いた核構造と核物質に関する研究
scamd グループ: 研究責任者 延与佳子(京大)
反対称化分子動力学という手法を用いて、不安定原子核および安定原子核の
構造研究および反応を行っています。
原子核の励起状態には奇妙が構造が見られます。例えば、軽い原子核では核子がいくつ
かのグループに分かれたクラスター構造が現れます。中性子が多い不安定原子核(中性子
過剰核)では、余分な中性子がクラスター構造の形成に重要な役割を果たします。
例えば、7Li(リチウム7)原子核では、3H+4Heクラスターが
発達することが知られています。リチウム7より中性子が2個
多いリチウム9で、クラスター構造が現れるかは興味深い
課題です。我々は反対称化分子動力学の方法を用いて
リチウム9の構造を調べました。計算結果は、
3H+4Heクラスターと余分な中性子から成る構造が励起状態に
現れる可能性が示唆しています。
3H
4He
余分な
中性子
図2:計算結果
図1:リチウム9の励起状態の構造
(上)陽子の密度を引いた中性子分布
(下)陽子の密度分布