フィードバック制御に基づく定在波型熱音響エンジンにおける自励発振条件の特徴付け Characterization of spontaneous-oscillation condition based on feedback control for thermoacoustic standing-wave engine 長岡技術科学大学 ☆ 櫻井一晃新保尚敬小林泰秀山田昇研究背景熱音響自励発振が開始する臨界温度比の把握・システムの評価や改善設計を行う上で重要周波数応答に基づく臨界温度比の予測[Biwa et al 2010] 臨界状態 = 音響パワーの生成と散逸がバランス直接計測により臨界状態を議論することは行われていない本研究では臨界温度比の音響パワーによる特徴付け研究背景(続き) 問題点自励振動は微小振幅で継続しにくいため時間応答に基いた臨界状態の判別は困難そこでフィードバック制御で管内圧力振幅を一定値に維持フィードバック制御応用例【自励発振前・圧力振幅一定】スピーカ駆動電圧を計測 [角島ほか 2013] 【自励発振後・圧力振幅ゼロ】ゲインとむだ時間を調整 [井原・琵琶 2012] 本研究では・自励発振前後の領域・圧力振幅の目標値を複数設定研究目的・不安定状態である自励発振の開始をフィードバック制御により安定化・臨界温度比を含む前後の領域で音響パワースピーカ消費電力を直接計測これらを根拠に自励発振臨界状態の特徴付けを行う実験装置 A/D p2 p1 Wspk PA loudspeaker sensor2 565 ・sensor1,2 の出力p1,p2 より Two Sensor法で音響パワーWtotalを計測・スピーカに接続された抵抗器(10Ω) tube の両端電圧vi,vsより loudspeaker スピーカ消費電力Wspkを計測 pressure sensor stack 1312 mm D/A u TC 164 ・スピーカと2 つの圧力センサを搭載 PC vs vi 502 ・コア部の熱交換器により TC は常に27 ℃に保持 A/D TH core 360 定在波型熱音響エンジン sensor1 Wtotal SUS,φ=47.8 mm Toptone,S32U10-1 PCB,106B51 CPI600,l=50 mm,φ=47 mm 実験方法実験条件・p2 の圧力振幅目標値7条件(0, 14, 27, 54, 81, 135, 203 Pa) ・スタック温度比TH/TCを 1 から1.6 まで0.05 刻みで13点ヒータを指定温度に設定,自励発振が起こるかを確認圧力振幅を目標値に維持自励発振無し：スピーカで加振自励発振あり：消音制御音響パワーWtotal・スピーカ消費電力Wspk を計測温度比との関係を調べる実験方法(続き) 制御系概要・自励発振無し Asin(ωt) 補償器ゲインG = 0,スピーカ入力電圧A を調整 (開ループ制御) ・自励発振あり補償器ゲインG ,遅れ時間τ を調整 (フィードバック制御) u + Ge-sτ p2 実験結果 TH/TC =1～1.35 (Aを調整) ・スピーカ消費電力Wspkと温度比 Wspk [W] 0.2 0.1 TH/TC = 1.35付近でゼロに収束目標値が大きいほど電力が必要スピーカの音波はスタックによって増幅増幅率は温度比が大きくなるほど上昇目標値大 0 1 1.1 1.2 1.3 TH/TC 4 ・スピーカ入力電圧Aと温度比 203 Pa 135 Pa 81 Pa 54 Pa 27 Pa 14 Pa 0 Pa 3 amp A [V] 温度比が大きくなるほどスピーカの入力電圧減少 203 Pa 135 Pa 81 Pa 54 Pa 27 Pa 14 Pa 0 Pa 2 1 0 1 1.1 1.2 TH/TC 1.3 実験結果(続き) TH/TC =1.35～1.6 (Gを調整) 【目標値ゼロ】 Wspkは常にゼロ自励発振抑制には電力不要温度比が小さくなるほどゲイン減少 (τ は全ての条件で8.5 ms ) 目標値大 0 1.4 1.5 1.6 TH/TC 60 gain G ・補償器ゲインGと温度比 0.02 0.01 TH/TC = 1.35付近でゼロに収束【目標値非ゼロ】目標値が大きいほど電力が必要 203 Pa 135 Pa 81 Pa 54 Pa 27 Pa 14 Pa 0 Pa 0.03 Wspk [W] ・スピーカ消費電力Wspkと温度比 0.04 40 203 Pa 135 Pa 81 Pa 54 Pa 27 Pa 14 Pa 0 Pa 20 0 1.3 1.4 1.5 TH/TC 1.6 実験結果(続き) 自励発振臨界状態圧力振幅を一定とした時のスピーカ消費電力が極小となる温度比 0.2 Wspk [W] 臨界点前後の領域共にスピーカ消費電力Wspkが臨界点付近で０に収束 203 Pa 135 Pa 81 Pa 54 Pa 27 Pa 14 Pa 0 Pa 0.1 0 1 1.1 1.2 1.3 TH/TC 1.4 1.5 1.6 実験結果(続き) 音響パワーWtotal による特徴付け ×10-3 0.6 203 Pa 135 Pa 81 Pa 54 Pa 27 Pa 14 Pa 0 Pa Wtotal はp2 に比べて大きく変動し判定が困難全体的には右上がりの傾向 Wtotal [W] 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 今後の課題 Wtotal の測定精度を向上音響パワーによる特徴付け 0 0 50 100 p2 [Pa] 150 200 まとめ・音響パワー,スピーカ消費電力を基準とした臨界状態の特徴付けを試みた. ・フィードバック制御に基づき,臨界温度比前後の領域で圧力振幅を目標値に追従させる制御系を構築し実験を行った. ・結果,圧力振幅を一定とした時のスピーカ消費電力が臨界温度比で極小となることを実験的に示した.