市場調査部レポート - マネースクウェア・ジャパン

2016 年 7 月 1 日(金)発行 No.025
市場調査部レポート
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マンスリー・アウトルック(2016/7)
7 月の為替相場展望
日米欧金融政策に要注目!
<相場環境>
BREXIT の余震はしばらく続きそう。EU 離脱交渉のタイミングや内容が不透明なため。7 月は、日米欧の金
融政策会合が開催される。米国の利上げ観測は大きく後退、BOE は総裁が金融緩和を示唆。日銀や ECB
も追加緩和の可能性あるが、市場が両中銀の政策手詰まりを見透かせば、通貨安は一時的に終わるか、
逆に通貨高に振れる可能性も。米国の二大政党の党大会も大統領選挙の行方を考える上で興味深い。
<主要通貨の動向>
・【米ドル】 ドル/円、100 円を強く意識する相場展開になりそう
・【ユーロ】 ユーロ/ドル、7 月はレンジ相場主体の展開に?
・【ポンド】 ポンド/円、金融緩和でさらなる下押しも?
<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】 豪総選挙と CPI に注目!!
・【NZ ドル】 CPI で、RBNZ の金融政策見通しはどう変化するか?
・【カナダドル】 引き続き原油価格に注目
・【トルコリラ】 TCMB は単純化措置をさらに進めるか
・【南アランド】 SARB の利上げが、必ずしもランド買いにつながらない可能性も!?
◆主要経済指標・イベント
◆OIS(翌日物金利スワップ)に基づく金融政策見通し
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≪相場環境≫
英国の国民投票は、BREXIT(EU 離脱)という衝撃の結果となりました。金融市場はやや落ち着きを取り
戻しつつあるようにも見えますが、リスクオフを誘発する材料には事欠かないように思われます。
例えば、英国と EU との離脱交渉がいつ、どのように始まるのか、英国の政局がどのように進展するか、残
留派が主流だったスコットランドや北アイルランドでどのような動きが出てくるか、そして何より英国が EU とどの
ような関係を構築しようとするのか、英国以外で反 EU の動きが活発化するのか、多くの不透明要因が残さ
れています。
なお、キャメロン首相が表明したように、新首相がリスボン条約第 50 条を発動するのであれば、交渉開
始は 10 月以降ということになります。交渉開始前にも紆余曲折があるかもしれません。保守党の党首選は
9 月 9 日までに結果が出るようです。そして、10 月 2 日に始まる保守党の党大会で新党首(=新首相)が
誕生する予定です。
7 月の注目イベント
7 月は、日米欧の金融政策会合が開催されます。金融政策を取り巻く環境は英国民投票によって一変
したように思われます。
米 FRB の利上げ観測は大きく後退しました。6 月 30 日時点の FF レート(政策金利)先物に基づけば、
2017 年末までに利上げが実施される確率は 40%程度まで低下しています。つまり、2016 年だけでなく、
2017 年も「利上げなし」が市場のメインシナリオになったということです。また、2016 年末までをみれば、利
上げが 9.2%、利下げが 7.2%織り込まれており、利上げと同程度に利下げが予想されています。
現時点での米利下げ観測はやや行き過ぎのように思われますが、事実が後から付いてくることにならな
いか、注意したいところです。仮に、6 月分の雇用統計やその他の経済指標が堅調であっても、早期利上げ
観測が高まる可能性は低そうです。一方で、それらの統計が軟調となれば、利上げ観測が一段と後退、利
下げ観測が高まるなどして、ドルに一段の下押し圧力が加わる可能性もありそうです。
6 月 30 日、BOE(英中銀)のカーニー総裁は、BREXIT(EU 離脱)の悪影響に関して「夏に何らかの金融
緩和が必要になる公算が大きい」と語りました。これにより、にわかに利下げ観測が高まりました。
日銀や ECB も追加緩和に踏み切るかもしれません。ただし、市場が両中銀の政策手詰まりを見透かす
ようであれば、追加緩和による通貨安(とくに円安)は一時的に終わるか、あるいは逆に反動で通貨高方向
に振れる可能性も否定できません。
その他、7 月は米国の民主党と共和党の党大会が開催されます。党大会に向けて、クリントン氏とトラン
プ氏の政策や副大統領候補選びが注目されますが、相場材料にはなりにくいかもしれません。ただし、英国
民投票の結果を受けて、米国内でも「ポピュリズム(大衆迎合主義)」が一段と強まってトランプ氏が勢いを
増すのか、それとも逆に、投票結果判明後の混乱を他山の石として、「ポピュリズム」が下火になるのか、大
変興味深いところです。足元では後者の流れになっているように見受けられますが、まだまだ予断を許しま
せん。
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7 月の注目イベント
2日
豪総選挙
8日
米雇用統計(6 月分)
14 日
BOE 金融政策委員会
18-21 日
21 日
米共和党大会(クリーブランド)
ECB 理事会
25-28 日
米民主党大会(フィラデルフィア)
26-27 日
米 FOMC
28-29 日
日銀 金融政策決定会合
<チーフエコノミスト 西田明弘>
<主要通貨の動向>
【全体観・米ドル】 ドル/円、100 円を強く意識する相場展開になりそう
先月 23 日、EU 離脱の是非を問う国民投票実施という、まさに一大国家イベントを終えた英国。
結果は今さら言うまでもなく離脱派の“まさかの”勝利に終わり、英国民だけでなく、世界中の耳目が集ま
ったお祭り騒ぎもやや落ち着き、次なる焦点は次期首相選びに移ってきました。
そこで一旦立ち止まって、24 日の<まさかの坂>ともいえる相場の動きの原因は何だったのでしょうか。
6 月 30 日付けの WSJ に書かれていた記事によると、先月 24 日の“Black Friday”(暗黒の金曜日)となり
得たのは、「自分が好む結果に賭けた投資家(人間)が多過ぎたためで、これは市場における“投影バイア
ス”(“認知バイアス”)の典型的な例」とのこと。
実際、国民投票の前まではほぼすべての主要な世論調査の結果や、多くの市民・市場参加者、そして
“伝説の相場師”と呼ばれるジョージ・ソロス氏までも公然と「Brexit(英国の EU 離脱)すべきでない」といった
是非論で見ていたのに対して、アルゴリズムや HFT(超高速取引)といったシステマチックトレードにはそのよう
なセンチメントやバイアスは一切なかったことで、「Brexit 相場の勝者は機械、敗者は人間」という結果にな
ったとも言えます。
そのあたりを“陰鬱博士”(Dr.Gloom)と呼ばれるマーク・ファーバー氏は鋭く指摘し、「Brexit 決定後の市場
の動きは過剰反応」「(24 日に大相場となったのは)『Brexit は望ましくない』とする市場参加者の固定観念
が招いた結果」「Brexit は市場の反応ほど劇的なものではない。市場参加者が残留 GOOD、離脱 NG と考え
ていただけ」といったコメントを残しています。
「Brexit は各国の追加緩和の“絶好の言い訳”になる」と言い切るファーバー氏ですが、今月 14 日に開
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催される英 MPC(金融政策委員会)や 21 日に開催される ECB 理事会、そして 28-29 日の日銀金融政策
決定会合において“絶好の言い訳”となり得るのでしょうか。大いに注目が必要です。
英国民投票後初めて開催された EU 首脳会議(欧州議会)で、キャメロン英首相がリスボン条約第 50 条
に基づく正式通知を行わず、9 月以降に持ち越したことはすなわち、Brexit ショックに伴う「第 2 波」「第 3 波」
についてはしばらく“ビハインド・ザ・カーブ”(=意図的な先延ばし)と捉えることも可能で、足もとの相場は
徐々に落ち着きを取り戻すと捉えてもいいのではないでしょうか。(あくまで時間制限付きという条件ではあり
ますが)。
閑話休題。以下、ドル/円・月足チャート+フィボナッチリトレースメントをご覧ください。
2011 年 10 月に付けたドル/円の過去最安値である 75.57 円と、昨年 6 月高値である 125.86 円を結
んだフィボナッチリトレースメント 50%押し水準が 100.72 円。7 月においても当該ライン、より大まかに言えば
100.00 円を強く意識する相場展開となりそうです。
100.00 円ラインを下抜けた場合の下値メドはフィボナッチリトレースメント 61.8%押し水準の 94.78 円、ま
た戻り高値のメドは同 38.2%押し水準の 106.65 円付近と想定し、7 月におけるドル/円の月間コアレンジを
95.00~107.00 円と予想します。<チーフアナリスト 津田隆光>
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【ユーロ】 ユーロ/ドル、7 月はレンジ相場主体の展開に?
ユーロ/ドルについては、週足テクニカルチャートを中心に見ていきたいと思います。以下、ユーロ/ドル・週
足・ボリンジャーバンド+DMI をご覧ください。
上記チャートからは、1) 21MA の方向性が横向き、2) ADX が 25.05 となっており、週足レベルではレンジ
相場(横ばい基調)を示唆しています。
今月 21 日、ECB 理事会の開催が予定されていますが、ECB は先般の英国民投票やその後の政局混迷
を受け、景気刺激プログラムにおける債券購入のルール緩和を検討、つまり QE(量的緩和)拡大に対して前
向きな姿勢を示しています。
このままポンド安や英国のリセッション(景気後退)が続けば、輸出産業中心のドイツ経済を中心にユーロ
圏経済の打撃ともなり得るため、ECB による QE 拡大の可能性は否定できませんが、今のところ 7 月での政
策変更の可能性は低そうというのが市場のコンセンサスとなっています。
7 月に政策変更がない限り、ユーロ/ドルは 1.0950~1.1500 ドルを月間コアレンジとするレンジ相場が継
続しそうです。<津田>
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【ポンド】 ポンド/円、金融緩和でさらなる下押しも?
ポンド/円についても、週足テクニカルチャートを中心に見ていきたいと思います。以下、ポンド/円・週足・
ボリンジャーバンド+DMI をご覧ください。
上記チャートからは、1) 21MA の方向性が下向き、2) ローソク足が-2σラインの下方に位置、3) –DI>
+DI となっていること、さらには 4) ±2σラインの方向性に相反性が見られることから、下落速度がさらに加
速する可能性も視野に入れるべきと考えます。
6 月 30 日、離脱派の象徴的存在と目されていたボリス・ジョンソン前ロンドン市長の“まさかの”敵前逃亡
もあり、レイムダック化が懸念される英国政治の混迷にさらに拍車を掛ける可能性も指摘されています。
同日、カーニーBOE(イングランド銀行)総裁が、英国の EU 離脱選択の影響に対処するため、数ヵ月以内
に金融緩和を実施する可能性について明らかにしており、早ければ 14 日の MPC(金融政策委員会)で結論
が出る可能性もありそうです。
政局混迷とともに、BOE の次の一手に注目が集まる中、ポンド/円のさらなる下落を視野に入れておいた
方が無難と言えそうです。
7 月のポンド/円の月間コアレンジを 126.00~150.00 円と予想します。<津田>
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<資源国・新興国通貨の動向>
【豪ドル】 豪総選挙と CPI に注目!!
豪州では 7 月 2 日に総選挙が実施されます。世論調査では、与党の保守連合と最大野党の労働党の
支持率が拮抗しており、接戦になると予想されています。ただ、英国民投票を受けて、金融市場が動揺、世
界経済の不透明感が高まったことから、与党有利との見方もあるようです。
保守連合、あるいは労働党のいずれかが過半数を獲得できれば、政治的な不透明感が解消されて、豪
ドルが上昇するかもしれません。一方、どの政党も過半数を獲得できず、「ハング・パーラメント(宙ぶらりんの
議会)」に陥った場合、政局の不透明感から、豪ドルが下落する可能性があります。
7 月 5 日の RBA(豪中銀)の政策金利発表については、一部に 0.25%の利下げ観測があるものの、据え
置きとの見方が有力です。
7 月 27 日に豪州の 4-6 月期の CPI(消費者物価指数)が発表されます。RBA は今年 5 月に利下げを
実施した際、インフレ率が予想外に低かったことを理由に挙げました。CPI でインフレ圧力の弱さが確認され
れば、RBA は 8 月の会合で追加利下げに踏み切るかもしれません。豪ドルにとって重石になりそうです。一
方、CPI が強ければ、RBA の早期利下げ観測が後退し、豪ドルに上昇圧力が加わる可能性があります。
<アナリスト 八代和也>
出所:Bloomberg より作成
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【NZ ドル】 CPI で、RBNZ の金融政策見通しはどう変化するか?
NZ ドル/米ドルは 6 月に一時 0.72 米ドル台半ばへと上昇、昨年 5 月以来の高値をつけました。RBNZ(NZ
中銀)が 6 月の会合で、追加利下げの可能性に言及したものの(政策金利は 2.25%に据え置き)、インフレ
見通しを上方修正し、過熱気味にある住宅市場に警戒感を示したことが、背景です。FRB(米連邦準備理
事会)の年内利上げ観測が後退したことも、NZ ドル/米ドルの支援材料となりました。
7 月の NZ ドルは、18 日に発表される NZ の 4-6 月期 CPI(消費者物価指数)が最大の相場材料となり
そうです。1-3 月期の CPI は前年比+0.4%と、RBNZ のインフレ目標の下限である+1%を下回りました。
RBNZ は CPI 上昇率が今後徐々に加速すると見ており、6 月の金融政策報告では、4-6 月期の CPI を前年
比+0.6%との見通しを示しました。今回の CPI 発表では、前年比+0.6%が強弱の判断のひとつの目安にな
るかもしれません。
市場の金融政策見通しを反映する OIS(翌日物金利スワップ)では、RBNZ が次回 8 月 11 日に政策金利
を据え置く確率が 47.6%、0.25%の利下げを決定する確率が 52.4%織り込まれています(6 月 30 日時
点)。「据え置き」と「利下げ」で見方が分かれていることが確認できます。
CPI の結果を受けて、市場の RBNZ の金融政策への見方が変化する可能性があります。NZ ドルにとって、
RBNZ の利下げ観測の後退はプラス材料、利下げ観測の高まりはマイナス材料です。<八代>
出所:Bloomberg より作成
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【カナダドル】 引き続き原油価格に注目
7 月のカナダドルは、引き続き原油価格の動向に影響を受けやすいとみられます。下のグラフは、米ドル/
カナダドルと原油の代表的な指標である WTI 先物を重ねたものです。両者は似た動きをすることが確認でき
ます。
出所:Bloomberg より作成
原油価格は今年 2 月に一時、1 バレル=26 米ドルへと下落した後、反発傾向にあります。資源国通貨で
あるカナダドルにとって、原油価格の上昇はプラス材料、原油価格の下落はマイナス材料です。原油価格
の反発傾向が続けば、カナダドルは対米ドルで堅調に推移しそうです。ただし、クロス円であるカナダドル/円
は、ドル/円の影響も受けるため、ドル/円の動向にも注意する必要があります。
7 月 13 日の BOC(カナダ中銀)政策金利発表については、現行の 0.50%に据え置かれるとの見方が有
力。市場の金融政策見通しを反映する OIS(翌日物金利スワップ)では、据え置きの確率が 94.4%、0.25%
の利下げの確率が 5.6%織り込まれています(6 月 30 日時点)。注目点は、前回 5 月の会合時の声明で、
「現在のスタンスは依然として適切」とされた金融政策に関する文言が変化するのかどうかです。文言が変
化した場合、カナダドルが反応する可能性があります。<八代>
【トルコリラ】 TCMB は単純化措置をさらに進めるか
トルコリラにとって、7 月最大の相場材料は 19 日の TCMB(トルコ中銀)の政策金利発表になりそうです。
TCMB は前回 6 月の会合では、3 つの政策金利のうち、1 週間物レポ金利(主要政策金利)と翌日物借
入金利を据え置く一方、翌日物貸出金利を 0.50%引き下げました。
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当時の声明では、5 月と同様に「世界の金融市場のボラティリティが最近やや高まった」との見解を示した
ものの、「単純化に向けた措置を講じることを決定した」とされました。TCMB は 3 つの政策金利を最終的に
一本化する「単純化」を今年 3 月に開始、前回まで 4 会合連続で翌日物貸出金利を引き下げました。
トルコの 5 月の CPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+6.58%、コア CPI 上昇率は前年比+8.77%でし
た。いずれも TCMB のインフレ目標である+5%を上回ったものの、CPI 上昇率は 4 月からほぼ横ばい、コア
CPI 上昇率は 4 月の 9.41%から大幅に鈍化しました。
金融市場が落ち着いた状態が続けば、TCMB は単純化措置を今後さらに進めるとみられます。7 月の会
合では、翌日物貸出金利が引き下げられる可能性があります。その場合、トルコリラの重石になるかもしれま
せん。<八代>
出所:Bloomberg より作成
【南アランド】 SARB の利上げが、必ずしもランド買いにつながらない可能性も!?
SARB(南ア中銀)が 7 月 21 日に政策金利を発表します。
SARB は、ランド安や食料品価格の上昇などを背景としたインフレ見通しの悪化を理由に、2015 年 7 月
以降、計 4 回の利上げを実施。前回 5 月の会合では、政策金利を 7.00%に据え置いたものの、6 人の政
策メンバーのうち 1 人が 0.25%の利上げを主張。クガニャゴ総裁はその時の会見で、「インフレ見通しは依
然として上向き」「インフレ期待は居心地が悪いほど高水準」と指摘し、「対応が必要な場合、SARB は適切
に行動することを躊躇しない」と述べ、追加利上げの可能性を示しました。
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南アフリカでは、ランド安や食料品価格の上昇などを背景にインフレ圧力が強く、5 月の CPI 上昇率は前年
比+6.1%と、SARB のインフレ目標の上限である+6%を 5 か月連続で上回りました。
一方で、主力輸出商品価格の下落や干ばつなどにより、南アフリカ経済は低迷。1-3 月期の GDP 成長率
は前期比年率換算 1.2%減と、マイナス成長に転落しました。利上げは、景気をさらに冷えこませる恐れが
あります。
対米ドルでのランド安は足もと落ち着いています。5 月の CPI 上昇率は SARB の目標を上回ったとはいえ、
4 月の前年比+6.2%から若干鈍化しました。SARB は 7 月の会合で、政策金利を現行の 7.00%に据え置く
可能性が高そうです。一方、利上げが決定された場合、南アフリカ経済の先行き懸念が強まるかもしれませ
ん。利上げが必ずしもランド買いにつながらない可能性もあります。<八代>
出所:Bloomberg より作成
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<執筆者>
西田 明弘(にしだ あきひろ)
市場調査部 チーフエコノミスト マクロ経済・マーケット全般
1984 年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを
経て、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテ
ジストとして高い評価を得る。2012 年 9 月、マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。市
場調査部チーフアナリストに就任。現在、M2J の WEB サイトで「市場調査部レポート」、
「市場調査部エクスプレス」、「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、TV・雑
誌など様々なメディアに出演し、活躍中。
津田 隆光(つだ たかみつ)
市場調査部 チーフアナリスト マーケット全般、米ドル担当
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。主に国際商品市況の
マーケット業務に従事し、2008 年 1 月マネースクウェア・ジャパン入社。シニアテクニカ
ルアナリストとして独自のアレンジを取り入れた各種テクニカル分析レポートを執筆する
傍ら、セミナー講師やラジオ NIKKEI 番組コメンテーターなどを務める。2016 年 4 月、
市場調査部チーフアナリストに就任。
八代 和也(やしろ かずや)
市場調査部 アナリスト 豪ドル、NZドル、トルコリラ、南アランド担当
2001 年、ひまわり証券入社後、コールセンター、為替関連の市況ニュースの配信、レ
ポートの執筆など FX 業務に携わる。2011 年 12 月、マネースクウェア・ジャパンに入
社。市場調査部に所属し、豪ドルや NZ ドルといったオセアニア通貨にフォーカスした
「オセアニア・レポート」を執筆している。FX に携わり 13 年。
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