Pictet Market Monthly

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ピクテ・マーケット・マンスリー 2016年6月発行
新興国株式市場 注目のトピックス集
Pictet Market Monthly
新興国、注目のトピックス集
5月の新興国株式市場は、中国経済に対する懸念が再び強まったことや、米国の利上げ観測が高まったこと、米ド
ル高基調となったことなど受けて、月間で下落しました。
5月の新興国株式市場
注目のトピックス
5月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で下落
しました。4月の中国の製造業景況指数や鉱工業生産、
貿易統計などの主要経済指標が市場予想を下回り、中
国経済に対する懸念が再び強まったことなどを受けて月
半ばにかけて下落しました。その後も米国で予想を上回
る 経 済 指 標 の 発 表 に 加え て 米 連 邦公 開 市 場 委員 会
(FOMC)の議事録の内容から米国の利上げ観測が高
まったことや、米ドル高基調となったことなど受けて新興
国株式市場は下落基調が続きました。月末には、4月の
米新築住宅販売や耐久財受注が市場予想を大きく上回
り、米国経済が利上げに耐えられるとの見方から新興国
株式市場も上昇しましたが、月間では下落となりました。
今後の見通し
地域
国
トピックス
ページ
中国、権威ある人物とは
2
中国、経済指標集中公表の整
理整頓
3
蔡総統に求められる台湾経済
の建て直し
4
インドネシ インドネシア、格上げはあるの
か?
ア
5
ロシア
資源国ロシアは回復を手にで
きるか?
6
トルコ
トルコ政局と欧州難民問題の
関係
7
中国
アジア
台湾
欧州
長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であ
ることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造
変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有していると
の見方には変更ありません。
しかし、短期的には米国の金融政策動向や米ドル相場
の動向などが、新興国株式の株価を左右する可能性が
あると考えられます。また、引き続き、中国の経済・政策
動向にも注視していく必要があると考えられます。ただし、
その他の新興国では景気回復がみられる国もあり、また、
インフレ率も概ね低下または落ちつきを見せていること
から、金融引き締め姿勢を緩めたり、あるいは追加利下
げを実施することなどにより景気回復の下支えにつなが
る可能性もあると考えます。
ルセフ大統領の弾劾手続き進
南米
ブラジル 展、暫定政権の政策動向にも
8
注目
アフリカ
グローバル
南アフリカ 商品価格を南アに尋ねる
日本政府も原油価格の上昇を
予測
9
10
(将来の市場環境の変動等により、コメントの内容が変更され
る場合があります。)
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
1
11
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新興国株式市場 注目のトピックス集
中国、権威ある人物とは
最近人民日報の「権威ある人物」の発言が当局の意図
を伝えているのではと市場でも注目されているようです。
ただし「権威ある人物」の正体は不明で、信頼度の点で
問題があるかもしれませんが、念のため発言内容を確
認します。
人民日報:匿名の当局者による警告
債務依存からの転換の前触れか
中国共産党機関紙の人民日報は2016年5月9日、中国が直
面する課題に取り組むために必要な政策を詳しく説明する
匿名の当局者の長編インタビューを掲載しました。こうした形
式の記事はこの1年足らずで3回目(2015年5月、2016年1月)
となり、「権威人士(権威ある人物)」が中国の政策意図を解
説しています。今回の内容は過剰債務への警告をするもの
で、長期的な経済の健全な発展に向けて借入れに依存する
ことを戒めています。
どこに注目すべきか:
人民日報、権威人士、新規人民元融資額
中国では年1回開催される全国人民代表大会(全人代、日本
の国会に相当)などで公表される当局の政策に注目が集ま
りますが、欧米に比べ頻度は少ない印象です(言語の問題も
考えられますが)。そのような中、最近人民日報の「権威ある
人物」の発言が当局の意図を伝えているのではと市場でも
注目されているようです。ただし「権威ある人物」の正体は不
明で信頼度の点で問題があると見られますが、念のため発
言内容を確認します。
発言の内容を振り返ると、足元の景気回復については、固
定資産投資という古い手段に依存した結果に過ぎないとし
ています。また、必要に応じて固定資産投資は続ける必要
はあるが、ゾンビ企業の淘汰など供給サイドの改革も並行し
て進めるべきと述べています。
発言の内容は習近平政権の指針に近く、発言元は習近平
氏周辺と見る向きもありますが、基本の指針を忘れないよう
にというメッセージと思われます。特に過剰債務への懸念は
負債比率の上昇が将来的に金融リスクが高まることにつな
がると警告しています。
確かに、中国の債務にはやや気になる面も見られます。例
えば、新規人民元建融資は2016年1-3月期の合計は約4.6
兆元とリーマンショック後の2009年1-3月期の約4.6兆元に並
ぶ数字となっています(図表1参照)。また中国全体(非金融セ
クター)の債務合計のGDP (国内総生産)に対する比率は上
昇し負債水準がやや気になる米国並みの水準となっていま
す(図表2参照)。パタッと投資をやめることはかえってリスクを
高めることになるとも考えられますが、少なくとも中国の債務
の増加のスピードについては調整が必要と思われます。
一方で、例えば不動産在庫の解消は出稼ぎ労働者に都市
戸籍を付与する(都市化政策)ことで解決を提言するなど現実
的な対応が多く示唆されています。
発言の影響は不透明ですが、いずれにせよ過剰な債務に依
存した経済成長の見直しに注意が必要かもしれません。
図表1:中国新規人民元建融資額の推移
(月次、期間:2007年4月~2016年3月、兆人民元)
3
兆元
人民元建新規ローン
2
1
0
07年4月
10年4月
13年4月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:非金融セクター債務対GDP比率の推移
(四半期、期間:2008年10-12月期~2015年7-9月期)
260
%
230
200
中国
ドイツ
米国
170
140
08年12月
10年12月
12年12月
14年12月
出所:国際決済銀行(BIS)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※コメントは2016年5月11日時点
ピクテ投信投資顧問株式会社
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中国、経済指標集中公表の
整理整頓
公表されたデータで、中国の資金調達は減少に転じ、
投資は減速、当局が成長の下支え姿勢から距離を置
いた可能性も考えられますが、投資には一部過熱感も
見られたことから、スピード調整は悪い話ではないとも
考えられます。
中国4月の統計集中公表:ファイナンス規模
は予想を下回り、投資に減速感も
中国人民銀行(中央銀行、人民銀)が2016年5月13日発表し
た4月の経済全体のファイナンス規模は7510億元(約12兆
5,300億円)と市場予想(1兆3,000億元)、前月(2兆3,360億
元)を下回りました(図表1参照)。また、4月の人民元建て新
規融資は5,556億元と予想(8,000億元)を下回りました。
一方、中国国家統計局が14日発表した4月の工業生産は前
年同月比6%増と、市場予想(6.5%)、前月(6.8%増)を下回りま
した。また、1-4月の都市部固定資産投資は前年同期比
10.5%増と市場予想(同11%増)を下回りました(図表2参照)。
どこに注目すべきか:
ファイナンス規模、固定資産投資、人民元
中国当局が13、14日に公表した様々なデータを要約すると、
資金調達は増加から減少に転じ、投資や工業生産等の
ペースは低下しました。当局が積極的に成長を下支えする
姿勢からやや距離を置いた可能性も考えられます。しかし、
投資などに一部過熱感も見られたことから、仮にスピード調
整であるならば、悪い話ではないとも考えられます。
まず、中国の一部の市場では過熱感が見られました。例え
ば、不動産販売を見ると、1-4月期(床面積ベース)は前年同
期比で36.5%と1-3月期の33.1%を上回っています。また過剰
在庫を抱え、他国からも生産抑制を求められている中国の
鉄鋼メーカーが(4月は低下するも)生産を増加させました。
しかし、これら過熱する市場は維持可能とは考えにくい状況
です。拡大する中国の債務問題に懸念が高まっており、債
務による過剰な経済支援はリスクが高いと思われるからで
す。今日のヘッドライン5月11日号でも取り上げた中国共産
党機関紙の人民日報に掲載された「権威ある人物」も中国
は不良債権および高まる債務水準に伴う他のリスクと向き
合う必要があると指摘しているように、スピード調整はむしろ
必要であったと見られます。
ただし、「権威ある人物」もパタッと投資をやめるべきなどと
は言っておらず、むしろ適度な需要刺激策実施の必要性に
言及しています。要するに、投資から消費へという構造改革
の流れを止めることなく、ブレーキ(投資などの抑制)とアクセ
ル(景気刺激策)を使い分けるバランスが求められていると
見られます。あえて悲観的に考えるならば金融緩和と規制緩
和により不動産市場などが過熱したことで、今後、金融緩和
が打ち出しにくいという面は懸念されるかもしれません。
しかし、中国当局は銀行融資に関して融資の抑制要因を取
り除くよう通達を出すなど投資の鈍化への配慮も示していま
す。また、市場に影響を与えることなく人民元安が進行して
おり、今後輸出を下支えする可能性もあるなど、以前と環境
が異なる面も見られる点にも注目が必要と思われます。
中国の債務水準が懸念される中、当面、景気と構造改革の
バランスをとる難しい課題への対応が求められそうです。
図表1 :中国経済全体のファイナンス規模と融資の推移
(月次、期間:2007年4月~2016年4月)
3.5 兆人民元
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
07年4月
人民元建新規ローン
経済全体のファイナンス規模
10年4月
13年4月
16年4月
図表2 :中国都市部固定資産投資と工業生産の推移
(月次、期間:2011年4月~2016年4月、固定資産投資は前年同期比)
30 %
25
20
15
10
5
11年4月
都市部固定資産投資
工業生産(月次、前年比)
13年4月
15年4月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※コメントは2016年5月16日時点
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蔡総統に求められる
台湾経済の建て直し
台湾で8年ぶりとなる政権交代で、懸案となっていた対
中関係について蔡総統は、過去を踏まえ、安定的な発
展を進めると述べ、現状維持を打ち出すことで無難に
切り抜けました。今後注力するのは経済の建て直しと見
られます。
台湾蔡英文総統:就任演説で「一つの中国」
に言及せず
台湾独立志向を持つ民主進歩党(民進党)の蔡英文氏が
2016年5月20日に第14代総統に就任しました。その後の台
湾株式市場(加権指数)は3%を上回る上昇率となるなど、蔡
総統就任の影響は小幅に止まっています(図表1参照) 。中
国は「一つの中国」原則と、その原則を確認したとされる
「1992年コンセンサス(合意)」の受け入れを迫っていました
が、蔡総統は、就任演説で「一つの中国」原則に言及せず、
92年に中台双方の窓口機関が会談した「歴史の事実」を「尊
重する」と述べるにとどめました。
3つ目は、台湾経済の構造に変化が見られないことです。台
湾は電子部品の輸出に依存するビジネスモデルを発展させ
たとは言い難い状況です。短期的にはiPhone7に関連した注
文による回復が期待されますが、中長期的なビジネスモデル
の改善も必要と思われます。また、なかなか実現できていな
い、台湾が独自のブランドと独自の技術で製品を送り出すと
いう課題も残っています。ただ、鴻海精密工業(ホンハイ)が
シャープを買収するなど変化の兆しも見られます。
台湾は今後、経済パートナーの拡大が必要で、国民党から
民進党への政権交代は台湾がどの方向に向かうべきかを国
民が選択した結果と考えられます。中国との関係を保ちつつ、
台湾が他国との関係をどう強化するかに注目しています。
どこに注目すべきか:
台湾政権交代、TPP、iPhone7、ブランド
図表1:台湾加権指数の推移
(日次、期間:2015年5月25日~2016年5月24日)
台湾で8年ぶりとなる政権交代で、懸案となっていた対中関
係について蔡総統は、過去を踏まえ、安定的な発展を進め
ると述べ現状維持を打ち出すことで無難に切り抜けました。
そこで今後は経済の建て直しに注力すると見られます。
見直しが必要な点の1つ目は中国との依存関係が強すぎる
ことです。台湾のGDP(国内総生産)成長率は足元3四半期
連続でマイナスとなっています(図表2参照)。一方で、台湾の
GDP成長率の推移を振り返ると、リーマンショック後、台湾経
済は急速に回復しました。経済危機に対応して中国が巨額
の財政政策を実施、台湾も恩恵を受けた面が見られ、2008
年に国民党の馬政権が成立、中国との関係が強化された
のは幸運だったとも見られます。しかし、足元の台湾経済の
不振は中国の成長率の低下を反映しており、時間をかけて
中国との依存関係を見直す必要もあると思われます。
次に、台湾は中国経済以外との経済連帯協定に遅れが目
立つことも問題と見られます。実際、台湾は主要国では中国
以外ではシンガポールやニュージーランドと協定を結んでい
る程度です。その意味で、蔡総統が就任演説で、環太平洋
戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を求める方針を表明
したことは、台湾にとって重要度が高いと見られます。
10000
指数
台湾加権指数
9000
8000
7000
15年5月
15年8月
15年11月
16年2月
16年5月
図表2:台湾のGDP(国内総生産)成長率の推移
(四半期、期間:2006年1-3月期~2016年1-3月期、前年同期比)
20
%
台湾GDP成長率
(前年同期比)
10
0
-10
06年3月
09年3月
12年3月
15年3月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企
業の売買を推奨するものではありません。
※コメントは2016年5月25日時点
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4
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新興国株式市場 注目のトピックス集
インドネシア、
格上げはあるのか?
アジアの主な国は主要な格付け会社から投資適格以
上の格付けを取得しています。インドネシアはS&Pが
BB+としておりジャンク級の格付けとなっていますが、同
国の環境は改善しており、投資適格級となる可能性も
あると見られます。
インドネシア格付け:主要格付け会社3社のう
ち1社はいまだにジャンク級格付けだが
インドネシアの現時点の長期債格付け(自国通貨建て、外貨
建て共に)は、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・
サービス(ムーディーズ)とフィッチ・レーティングス(フィッチ)か
ら投資適格格付け(BBB格以上)を取得しています。しかし、
スタンダード&プアーズ(S&P)はインドネシアの長期債格付
けを、投資非適格(ジャンク債)となる、BB+としています。
どこに注目すべきか:
一人当たりGDP、経常赤字、金融政策
図表1:インドネシア一人当たりGDPの推移
(年次、期間:2006年~2014年は実績値、2015年~18年予想値)
4,500
ドル
※予想は
IMFの予想
2006年
2009年
3,500
予想
実績
2,500
1,500
500
2012年
2015年
2018年
出所:IMFのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:インドネシア経常収支対GDP比率の推移
(年次、期間:2005年~2015年)
2
%
黒字
拡大
4
経常収支対GDP比率
0
赤字
拡大
フィリピン、マレーシア、タイ、そしてインドなどアジアの主な
国は主要な格付け会社から投資適格以上の格付けを取得
しています。インドネシアはS&PがBB+としておりジャンク級
の格付けとなっていますが、同国の環境は改善しており、格
上げにより3つの格付けすべてが投資適格級となる可能性
もあると見られます。
まず、インドネシアの格付けを確認すると、ムーディーズは
長期債格付けをBaa3(BBB-に相当)とし、フィッチはBBB-と
しています。一方、S&Pはインドネシアの格付けをBB+と投
資適格から1段階低い水準としています。ただし見通しにつ
いてはインドネシアを2015年5月に安定的から強含み(ポジ
ティブ)へ引き上げていますが、投資適格格付けとするには
いくつかの懸念を述べています。
懸念の一つが一人当たりGDP(国内総生産)の伸びが鈍化し
ていることで(図表1参照)、インドネシアと比較されるフィリピ
ンの一人当たりGDPが伸び続けているのに比べると見劣り
がする状況です。インドネシアのGDP成長率は2010年には
前年同期比で7%近い伸びを示していましたが、2015年中頃
までGDPは低下傾向であったことが一人当たりGDPが軟調
であったことの背景と見られます。ただし、GDPに回復の兆
しが見られ、国際通貨基金(IMF)の予想でも、同指標は今
後改善が見込まれています(図表1参照)。
経常赤字の拡大も格上げを抑制する要因と見られます(図
表2参照)。経常赤字の拡大に伴い通貨ルピア安の進行も見
られ、(ヘッジ無しの)ドル建債務拡大懸念などが指摘されて
います。ただし、インドネシア政府がインフラ投資を拡大、海
外からの投資拡大を促進するなどの対応により、ルピアは落
ち着きを取り戻し、また商品価格の動向を受け貿易収支が改
善したことを受け経常赤字も縮小傾向です。
最後に、金融政策の枠組み改善が予定されていることです。
インドネシア中銀は2016年8月から主要政策金利を中銀参照
金利(現在6.75%)から7日物リバースレポ金利(現在5.5%)へ変
更すると共に、上限・下限金利の主要政策金利からの幅を上
下等しくするなど現在の制度に比べわかりやすく格付け会社
も新たな金融制度をプラスに評価する可能性があります。
景気の先行きや米国の利上げなど不透明要因はあるものの、
インドネシア格上げの条件は整いつつあるように思われます。
-2
-4
2005年
2008年
2011年
2014年
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※コメントは2016年5月27日時点
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5
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資源国ロシアは
回復を手にできるか?
原油価格の回復傾向に伴い、ロシア経済にも底打ちの
兆しが見られます。ただし、ロシア経済の本格的な回復
には原油価格の持続的な回復と西側諸国による経済
制裁の解除が必要と見ています。
ロシア2016年1-3月期GDP:前年同期比で
1.2%減と予想より軽微な落ち込み
ロシア連邦統計局が2016年5月16日に発表した1-3月期GDP
(国内総生産)は前年同期比1.2%減少し、市場予想(同2%減)
を上回り、2015年10-12月期の同3.8%減からマイナス幅が縮
小しました(図表1参照)。ロシア経済は2015年から景気後退
(リセッション)となりましたが、今期のマイナス幅が最も小さく
なっています。
どこに注目すべきか:
ロシアGDP、ルーブル、準備金、制裁解除
原油価格の回復傾向に伴い、ロシア経済にも底打ちの兆し
が見られます。ただし、ロシア経済の本格的な回復には原
油価格の持続的な回復と西側諸国による経済制裁の解除
が必要と見ています。
まず、ロシア経済が悪化した要因を振り返ると、原油安と経
済制裁の影響が大きいと思われます。例えば、原油安の消
費への影響を見ると、原油安に伴うルーブル安を受け消費
者物価指数(CPI)が2015年に急上昇した際、小売売上高が
急減するなど消費は落ち込みました(図表2参照)。通貨安や
インフレ率の上昇を受け政策金利を17%にまで(現在は11%)
引き上げたことも景気に悪影響を与えています。
西側諸国の経済制裁もルーブル安に影響し、また資金調達
を細らせたことで投資にも悪影響を与えたと見られます。
反対に言えば、今後ロシア経済が回復を維持できるかを占
う上で注目すべき点は、原油価格の動向、経済制裁の解除
の有無、加えて政治動向と見ています。
まず、50ドル回復を目前とする原油価格ですが、今後も回復
が続くか注視も必要です。50ドル越えとなると石油メーカー
の中には採算ラインを回復、再び生産を拡大させる可能性
も考えられるからです。
次に気になるのは、ロシアの財政です。原油価格下落によ
る歳入の減少をロシアは過去の好調時の余裕資金を蓄えて
おいた準備金(予備基金)でやりくりしています。しかし残高
は450億ドル程度で、2015年に約380億ドル取り崩しているこ
とから、年内、遅くとも2017年には底をつく可能性があります。
既に公務員の給与は抑えられるなど綱渡りの運営となって
います。今の所プーチン政権は高い支持率を維持している
模様ですが、2018年3月には大統領選挙も予定されており、
財政の建て直しの必要性は高まっているなか、プーチン大
統領は産油国の増産凍結などに参加、原油価格の回復を
画策しており、成功には程遠いもののある程度、原油価格の
落ち着きに寄与したようにも見られます。
一方、西側諸国の経済制裁解消の目処がついているように
は見られません。シリアからの撤退も言葉だけといった印象
で西側に協力的とは言いがたい状況です。しかし、ロシアの
台所事情は苦しく、西側から制裁解除を引きだすウルトラC
を模索しているのかもしれません。
図表1:WTI原油価格とロシアGDP(国内総生産)の推移
(日次、期間:2011年5月2日~2016年5月16日、GDPは四半期)
10
120 ドル/バレル
%
100
5
80
60
0
WTI原油価格(左軸)
40
GDP(前年同期比、右軸)
-5
20
11年5月
13年5月
15年5月
※WTI原油価格:ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引される
原油先物(軽質スイート原油先物)の期近物価格で構成
図表2:ロシア消費者物価指数と小売売上高の推移
(月次、期間:2011年4月~2016年4月、前年同月比)
10
※小売売上高は2016年3月分まで
%
%
5
0
※インフレ率が上昇
-5
し小売売上高が急減
-10
小売売上高(左軸)
CPI(右軸)
-15
11年4月
13年4月
15年4月
18
15
12
9
6
3
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※コメントは2016年5月17日時点
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新興国株式市場 注目のトピックス集
トルコ政局と欧州難民問題の関係
ダウトオール前首相が辞任に追い込まれた5月月初か
ら通貨リラ安などが進行しています。トルコ国内の政治
の混乱ならば珍しい話ではありませんが、トルコは欧州
の難民問題に深く関与しているだけに注視が必要です。
メルケル首相:エルドアン大統領との会談で
民主主義の後退に懸念を表明
世界人道サミットが開催されているトルコで2016年5月23日ド
イツのメルケル首相とトルコのエルドアン大統領が会談、メ
ルケル首相はトルコの司法制度やメディアの独立への懸念
を表明しました。国際協調を重視し、大統領権力拡大につな
がる憲法改正に消極的であったダウトオール前首相が辞任
に追い込まれたことがドイツの懸念の背景です。トルコ側は
難民流入の抑制を巡る欧州連合(EU)との協力関係は維持
すると表明する一方で、合意撤回も辞さない構えをちらつか
せるなど政治的駆け引きが活発化する様相となっています。
(日次、期間:2015年5月25日~2016年5月23日)
3.1リラ/ドル
3.0
2.9
2.8
2.7
2.6
2.5
15年5月
※1bp=0.01%
低 信用力 高
ダウトオール前首相が辞任に追い込まれた5月月初から通
貨リラ安が進行するなど「トルコ売り」となっています(図表1
参照)。トルコ国内の単なる政治の混乱であるならば珍しい
話ではありませんが、トルコは欧州の難民問題に深く関与し
ているだけに注視が必要です。
まず、EUは増え続ける欧州への難民の受け入れに苦慮、流
入を抑制する方向へ方針を転換、トルコとの協力関係を進
めてきました。EUとトルコが最終的に2016年3月に合意した
内容はEUへの違法な移民をトルコに送還することです。ま
たトルコにとどまることとなる難民の学校建設等の資金の拠
出を決定しています。見返りにEUはトルコに対しトルコ国民
のビザ免除を6月に前倒しにすることなどを柱にしています。
次に、合意の動きは難民の流入に効果があったのかを見る
と大きな成果が上がっています。難民流入抑制の方針は
2015年秋ごろからドイツとトルコ(ダウトオール首相(当時))
の間で協力関係が進展、トルコとEUは共同行動計画(上記
2016年3月の合意内容やトルコ国境警備の強化などを含む)
が公表されています。当時の欧州への難民の主なルートは
トルコからギリシャが大半だったため、欧州への難民流入の
数は激減しています(図表2参照)。
図表1:リラ(対ドル)とトルコの5年CDSスプレッドの推移
安 リラ 高
どこに注目すべきか:
共同行動計画、ビザ免除、英国のEU離脱
ただし、EU側にもイスラム圏の大国トルコにビザなし渡航の
自由を与えることに加え、エルドアン政権への抵抗感が強く、
トルコとの関係を進めてきたメルケル首相に対し批判が強
まっています。学者肌のダウトオール氏が辞任したあと、メル
ケル首相がトルコと新たな信頼関係を築けるかに注目です。
欧州の懸念に英国のEU離脱を問う国民投票がよく話題とな
りますが、英国国民のEUに対する不満を見ると国境政策を
指摘する割合が高いなど実は難民問題の側面も見られます。
このように、欧州の様々な問題に関わる難民問題を占う上で、
トルコの動向にも注視が必要と見ています。
bp 350
300
リラ(対ドル、左軸)
CDSスプレッド(右軸)
15年8月
15年11月
250
200
16年2月
※CDS(クレジット・デフォルト・スワップ):信用リスクを対象としたデリバティ
ブ商品のことでスプレッド上昇(低下)は信用力悪化(改善)の目安
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:ギリシャ、イタリア経由難民流入数の推移
(月次、期間:2015年10月~2016年4月)
25 万人
20
イタリア ギリシャ
15
10
5
0
15年10月
15年12月
16年2月
16年4月
出所:UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を使用しピクテ投信投資顧問作成
※コメントは2016年5月24日時点
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新興国株式市場 注目のトピックス集
ルセフ大統領の弾劾手続き進展、
暫定政権の政策動向にも注目
2016年5月12日、ブラジル上院はルセフ大統領の弾劾
手続きの継続を賛成多数で可決しました。ルセフ大統
領の停職により大統領代行となったテメル副大統領に
よる政策動向に注目が集まっています。
ブラジル上院:弾劾手続きの継続について賛
成多数で可決
2016年5月12日、ブラジルの上院はルセフ大統領に対する
弾劾手続きの継続について賛成多数(賛成55、反対22)で可
決しました。弾劾手続きの継続が決まったことで、ルセフ大
統領は最大で180日間の停職となり、大統領の職務はテメル
副大統領が代行することになります(図表1参照)。
今後については、上院で弾劾裁判が開催され、上院の3分の
2(54議席)以上の賛成により、ルセフ大統領は失職すること
になります。
テメル氏は同日、就任後初の記者会見を行い、失業者が
1,100万人に達し、物価上昇率もほぼ2桁という経済状況に危
機感を表明、暫定政権を「救国」のための政府と位置づけま
した。テメル氏は早速組閣に取り組み、財務相にエンリケ・メ
イレレス前ブラジル中銀総裁を任命しました。
どこに注目すべきか:
弾劾手続きと暫定政権の動向
ルセフ氏の弾劾手続きの継続の賛成が55となり、弾劾裁判
での最終的な可決に必要な54議席を上回ったことから、ル
セフ氏の失職が視野に入ってきました。
今後について、テメル氏率いる暫定政権がブラジル経済を
回復できるかどうかに焦点をあてると、次の点に注目が必
要と考えます。
まず、組閣の顔ぶれです。この点ではプラスの期待もありま
す。例えば、財務相に任命されたエンリケ氏は今後、財政健
全化など市場に歓迎される政策を打ち出す可能性があり、
市場に一定の期待が見られます。ただし、他の閣僚ポストは
未定の部分も多く、最終的な評価は今後の決定を見る必要
があります。
次に、暫定政権のまとまりです。テメル氏の政策ですが、報
道などからは、省庁をスリム化し、民間部門の活動余地を広
げる意向があるように思われます。このような政策はブラジ
ルの構造問題である高コスト解消への期待という点で市場
は前向きに評価する可能性はあるといえます。特に、社会保
障制度の赤字が予算編成のネックとなる中、例えば社会保
障省の今後の動向などが注目点となるかもしれません。
そこで暫定政権が構造改革に一枚岩で取り組めるかどうか
が重要なポイントになると見られます。議会ではルセフ大統
領弾劾に反対したテメル氏に対する抵抗勢力が存在する上、
暫定政権の中でも足並みが揃わなければ、かえって政治混
乱が深刻化する懸念も考えられる点に注意が必要です。
暫定政権の動向を占う上で、財政目標策定の動きに注目し
ています。テメル暫定政権は2016年財政目標(プライマリー
バランス(基礎的財政収支)の対GDP(国内総生産)比率:現
行は0.4%)を早急に策定する必要がありますが、過去、議会
では財政目標の策定に手間取っており、暫定政権が一枚岩
で動けるかどうかの試金石となりそうです。
ルセフ氏の弾劾手続きは今後も混乱する局面があるかもし
れませんが、最終的に上院で弾劾が可決される可能性が高
いとみられます。ただし、ブラジル経済の本格的な回復のた
めには、弾劾手続きの進展だけでは不十分であり、暫定政
権が取り組むべき課題は多くあるものと考えられます。
図表1:ブラジル大統領弾劾裁判関連の流れの概略
年月日
2015年後半
2016年3月17日
2016年3月29日
2016年4月11日
2016年4月17日
2016年4月26日
2016年5月6日
2016年5月12日
ブ ラ ジ ル弾劾裁判関連の流れ
予算の違法執行で野党が大統領弾劾の請求
下院の大統領弾劾の特別委員会メンバー選出
ブラジル民主運動党(PMDB)連立離脱
下院特別委員会で採決可決(賛成38、反対27)
下院が弾劾の採決可決(賛成367、反対137)
上院特別委員会設置、弾劾裁判審議開始
上院特別委員会で採決可決(賛成15、反対5)
上院が弾劾の採決可決(賛成55、反対22)
2016年5月12日
ルセフ大統領は180日間の停職、テメル副大
統領が代行に
予想:2016年後半 上院で弾劾採決(可決は54議席以上)
出所:各種報道等のデータを参照しピクテ投信投資顧問作成
※コメントは2016年5月13日時点
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新興国株式市場 注目のトピックス集
商品価格を南アに尋ねる
南ア中銀は、商品価格下落等に伴うランド安によるイン
フレ率上昇に対応して政策金利を引き上げてきました。
金融政策を左右する要因の1つである商品価格に対す
る南ア中銀の商品価格に対する考え方を、声明等から
探ります。
南ア中銀:政策金利を7%に維持、インフレ懸
念を維持するも、景気支援を重視
南アフリカ準備銀行(中央銀行)は2016年5月19日、政策金
利を大方の市場予想通り7.0%で据え置きました(図表1参照) 。
インフレ期待が高止まりしているものの、利上げは避けた格
好です。南ア中銀は商品価格下落に伴うランド安を背景とし
たインフレ懸念を受け、2015年7月以来合計1.25%、2014年
1月以来で合計2%の利上げを実施してきています。
南ア中銀は、商品価格下落等に伴うランド安によるインフレ
率上昇に対応して政策金利を引き上げてきました。一方で
南アの2016年の経済成長率を南ア中銀や国際通貨基金
(IMF)は1%未満と予想しています。南ア中銀にとり商品価格
の動向は金融政策を左右する要因の1つでもあるため、声
明等から南ア中銀の商品価格に対する考え方を探ります。
まず、通貨ランド(対ドル)の変動要因を簡単に振り返ります
(図表1参照)。ランドは2016年1月に主に商品価格の下落を
受け最安値となっています。その後商品市況が反転したこと
と米国利上げ懸念が後退したことでランドは4月末まで上昇
傾向となりました。しかし、4月末から再びランド安となってい
ます。理由は状況が逆転したためで、例えば(原油などと異
なり)鉄鉱石など一部商品価格の上昇が反転したこと、また
4月の小売売上など米国の経済指標の一部が改善し、再び
利上げ懸念が台頭したことです。
次に、南ア中銀が商品市況の動向をどのように想定してい
るかを見ると、2016年に徐々に回復に向かうと見ています
(図表2参照)。南ア中銀は原油を除いた商品価格指数を算
出しています。実績値を見ると2015年の落ち込みが最大と
なっています。一方、2016年の予想値は改善が想定されて
います。また2016年の予想について3月時点と5月を比べる
と、予想は上向きになっており、2016年の商品価格の回復
の予想が早まった印象です。仮に商品価格が南ア中銀の
図表1:南アランド(対ドル)と政策金利の推移
(日次、期間:2013年5月20日~2016年5月19日)
17 ランド/ドル
15
13
安 ランド 高
どこに注目すべきか:
南ア中央銀行、商品価格、米国金融政策
想定通りならランドの下落要因が1つ減ることも期待されます。
なお、南ア経済のネックとなっていたスト頻発や電力供給不
安は、最近格付け会社から前向きな評価を受けるなど改善
に向かっていることもランドにとって追い風となり、結果として
インフレ率低下に貢献することも期待されます。
ただし南ア中銀の利下げには、米国の利上げペースを巡る
観測がランド安を引き起こすリスクへの配慮も必要と思われ
ます。米国の動向を注視する展開が必要と思われます。
%
7.5
7.0
ランド(対ドル、左軸)
南ア政策金利(右軸)
6.5
2016年1月
最安値
6.0
5.5
11
2016年4月~
米国景気回復観測
9
13年5月
14年5月
15年5月
5.0
4.5
16年5月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:南ア商品価格指数の実績値と予想値の推移
(年次、期間:2013年~2015年は実績値、2016年~2017年は予想値)
5
2.0 1.0
%
予想
実績
0
-5
-10
-9.0
-6.4
3 月から5月で
-9.8
-15
-19.3
-20
2013年
2014年
2015年
-13.2 上方修正
2016年3月予想
2016年5月予想
2016年
2017年
※南ア商品価格指数:南アの主要輸出商品(除原油)価格の貿易加重で構成
出所:南ア中銀HPを参照しピクテ投信投資顧問作成
※コメントは2016年5月20日時点
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新興国株式市場 注目のトピックス集
日本政府も
原油価格の上昇を予測
日本政府はエネルギー白書の中で、原油価格につい
て上昇する余地が大きいとの予測を示しました。新興国
を中心とした需要の増加やこのところの投資抑制による
供給の伸び抑制が価格上昇につながるものと考えます。
日本政府:原油価格は上昇する余地がある
と予測
2016年5月17日に、日本政府は「平成27年(2015年)度エネ
ルギーに関する年次報告(エネルギー白書)」を閣議決定し
ましたが、その中で今後の原油価格について「上昇する余地
が大きい」との予測が示されています。なお、米国エネル
ギー省(EIA)や世界銀行なども、今後、原油価格が上昇をす
るとの予測を発表しています。
どこに注目すべきか:
需要と供給、投機筋の動き
足元の原油価格は、米国における生産の減少やナイジェリ
アやリビア、ベネズエラなどの地政学リスクの高まり、世界
的な需要見通しの改善などを背景に上昇基調にあります
(図表1参照)。今後についても原油の需給環境改善が価格
の下支え要因となると見られます。
例えばEIAが発表している世界の(原油などの)液体燃料の
生産量と消費量の推移を見ると、2014年から2015年にかけ
ては生産量と消費量の差(ギャップ)が大きくなっていました
が、足元は縮小傾向にあり、2017年第3四半期には消費量
が生産量を上回ると予測されています(図表2参照)。需給
環境の改善が予測されている背景には、中国やインドなど
の新興国における需要の増加が見込まれていることや、
2014年半ば以降の原油価格低迷により開発投資が減少し
たことで供給量の増加を抑制する可能性などがあり、このこ
とは多くの機関が原油価格が上昇するとの予測を発表して
いる根拠のひとつとなっています。
ただし、次の2つの変動要因にも注意が必要です。
1つ目は、足元、原油価格が1バレル50ドルに近づいている
ことから、米国でシェールオイルが増産される可能性がある
ことです。2つ目は、投機的な動きも原油価格の動向を左右
する要因として注目されます。2月半ば以降、原油価格上昇
に伴い買いポジションも増加していましたが、直近では利益
確定の売りなどから、減少しています(図表3参照)。
したがって、50ドル近辺では利益確定の売りなどにより価格
が大きく変動する可能性もありますが、需給環境の改善など
を背景に、中長期的には原油価格が上昇する余地もあると
みています。
図表1:WTI原油価格の推移
(日次、期間:2014年5月16日~2016年5月17日)
120 ドル/バレル
100
80
60
40
20
14年5月16日
15年5月16日
16年5月16日
※WTI原油価格:ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引される
原油先物(軽質スイート原油先物)の期近物価格で構成
図表2:世界の液体燃料の生産量と消費量の推移
(四半期、期間:2011年Q1~2017年Q4、2016年Q2以降は予測)
100
100万バレル/日
生産量
95
消費量
EIA予測
90
85
2011年Q1
2013年Q1
2015年Q1
2017年Q1
図表3:非石油事業者のNY原油先物ポジション(ネット)
(週次、期間:2014年5月20日~2016年5月10日)
50
万件
30
10
14年5月20日
15年5月20日
出所:ブルームバーグ、EIAのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
※コメントは2016年5月18日時点
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