2016年度初級経済史(後半) 後発国の経済発展 第1回 市場経済の発展と政府の役割 イントロダクション 2016/06/09 荻山正浩(法政経学部) 資料は下記からダウンロード可 http://www.le.chiba-u.ac.jp/~ogiyama/ 1 講義の目的 資本主義(経済発展):イギリスの産業革命からスタート 工業化による経済的な豊かさの実現 経済発展の世界的な展開 西欧圏:イギリスから他の欧米諸国へ 非西欧圏:欧米に遅れていくつかの地域で成功 日本:欧米に遅れて経済発展を達成 目的:後発国にとって経済発展に必要な条件を考える 2 経済発展の世界的な展開 西欧:欧米先進国、いずれも経済発展に成功 非西欧圏:一部のみ先進国へ、多くは経済発展の途上 所得水準 先進国 欧米諸国、シンガポール、韓国、日本 先進国の壁 新興国 中国、ロシア、インド、ブラジル 途上国 3 USドル 2014年時点の1人あたりGDP(付加価値生産額) 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 出所:IMF, World Economic Outlook Database, October 2015 4 経済発展の成否 世界の現実:先進国、新興国、途上国 経済格差:経済発展は無条件に進行するわけではない 1人あたりの所得(経済発展の進展度) 先進国 新興国(中進国の罠) 途上国 時間 5 日本の経験 後発国の経済発展:必要な条件を考えるヒント 2つの課題 1. 市場経済の発展 2. 政府の役割 講義プラン 第1回 市場経済の発展と政府の役割(イントロダクション) 第2回 市場経済の発展 第3回 政府の役割 第4回 日本の経験(1):社会体制の変化と政府の形成 第5回 日本の経験(2):後発工業化のプロセス 6 経済発展とは 1. 1人あたり所得が顕著にかつ持続的に上昇すること 2. 生活水準の上昇によって人口が増加すること (後に少子高齢化で人口は減少へ) 工業化:経済発展の原動力 工業化以前:自給自足の比重の高い農業社会 工業化:農業の比重の減少と商工業の比重の増加 市場経済の発展:工業化の進展と同義 7 市場経済の発展 社会構造の変化:自給自足から社会的分業へ 産業や職業の分化:市場での財・サービスの交換 経済的な豊かさを生み出す原動力 財・サービス 農家 生産物 自給自足 A B 貨幣 市場 耕地 C 8 市場経済の進展度の違い 政府の機能:市場経済の発展を促進 市場経済の発展度 (政府の機能) 先進国 電子取引、金融商品など 途上国 市場(いちば)、バザールなど 時間 9 政府の役割:広義の政府(行政・立法・司法) 一定領域を対象として域内の個人や組織を統括する機関 政府の機能:市場経済の発展を促進 外国 侵略 交渉 領土 防衛 外国 政府 市場 市場経済の発展 を促進 貿易 企業 個人 取引 10 国家体制と経済発展:成功と失敗 政府の弱体化や崩壊:経済発展の頓挫 1790年代 イギリス 成功 1850年代 1820年代 ドイツ 1860年代 1880年代 日本 ベルギー アメリカ ロシア オスマントルコ 帝国の瓦解 清朝中国 王朝の崩壊 アフガニスタン、イラク 政府の弱体化 失敗 11 後発国の経済発展 成否のカギを握る要因:市場経済の発展と政府の役割 課題:両者がどう関係しているか 参考文献などについては、各回の講義資料で指示 12
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