月経前症候群 月経前症候群とは 月経前、3~10 日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消 失するものをいいます。 原因はなんですか? 排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞 ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。この黄体期の後半に卵胞ホ ルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こ すことが、月経前症候群の原因と考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物 質はストレスなどの影響を受けるため、月経前症候群は女性ホルモンの低下だけが原因で はなく多くの要因から起こるといわれています。 どんな症状がありますか? 精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、 自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、 腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります。 → HUMAN+ p17 診断方法は 上記症状が月経前に毎月あらわれ月経開始後から和らぐことから診断は容易ですが、出 現症状を記録し、月経周期との関連を確認し、精神神経疾患等でないことを確認します。 治療法は A. 薬によらない治療法 まず、症状日記をつけ病状を理解し、ストレスから自分を解放するメインテナ ンスの時期ととらえてもらうとよいと思います。月経前症候群の症状と付き合 うために、自分のリズムを知って気分転換を図ったり、自分が心地よいと思え るようなセルフケアを探してみることをお勧めします。 B. 薬による治療 1. 排卵抑制療法(排卵を抑える治療法) 1. 排卵が起こり女性ホルモンの大きな変動があることが原因の一つですから、 排卵を止め女性ホルモンの変動が無くなることで症状が軽快します。ホルモ ン量の少ない低用量経口避妊薬(OC、低用量ピル)や低用量エストロゲン・ プロゲスチン配合剤(LEP)などのホルモン薬で排卵を止めます。これらの ホルモン薬は、服用している期間だけ一時的に排卵を止めるものですから、 将来の妊娠には影響を与えません。 2. 症状に対する治療法 1. ① 痛みに対しては鎮痛剤。 2. ② むくみなどの水分貯留症状に対しては、利尿剤や抗アルドステロン療法 (尿量を増やす治療法) 。 3. ③ 精神神経症状や自律神経症状に対しては、精神安定剤や選択的セロトニン 再取り込み阻害薬物療法(脳内の活性物質セロトニンを維持する治療法) 。 3. 漢方療法 個人の証(症状や体質)に合わせて、漢方薬を使用します。加味逍遥散、当帰 芍薬散、温経湯、抑肝散、桂枝加竜骨牡蛎湯などがよく使用されています。
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