海洋深水を利用した新しい乳製品の開発 (Hー4)

平成 14年 度事業報告 。平成 15年 度事業計画 試 験研究 32
海洋深層水 を利用 した新 しい乳製品の 開発
(H14)
発酵食品部 田 中常雄 調 味食品科 田 村吉史
研究の 目的 と概要
海洋深層水は、岩内町、熊石町で取水設備 の建設が始 まうてお り、羅 日町でも建
設 が予定 されてい る こ とか ら、北海道内で も本格的な海洋深層水利活用 の時代 が来
ようとしている。 中でも羅 日町は、現状 の簡易取水装置を利用 して数多 くの製品を
開発 して来てい る。 しか し、全国的 に見て も、海洋深層水 を利用 した乳製品の開発
事例は少ない。羅 日町周辺は酪農地帯であるこ とか ら、地元 の原料乳 と海洋深層水
を組み合 わせた、高品質で差別化 された乳製品開発の気運が高 まつてい る。
一方、海洋深層水は、
含有する ミネラルによ り発酵促進効果 があると言われてい
る。そのため、本研究 では、乳製品の 中で も発酵 を伴 うチーズ とヨー グル トに着 目
し、海洋深層水 を使用するメ リッ トを探求するこ ととした。
予定 される成果】
【
羅 臼町の海洋深層水 を用いた新 しい乳製品の開発
試験研究の方法
(1)ゴ ーダチーズ
北海道中標津農業高校で製造 したゴーダチーズ (下記 4試 験区分)を 真空包装 し
て熟成 (25日目までは4°
C、 それ以降は8℃保存 )し 、経時的 に全窒素量、水溶性窒
素量 (非カゼイ ン窒素)、 TCA可
溶性窒素量 (非タンパ ク態窒素量)を 測定 して
熟成率 (水溶性窒素量/全窒素量 )な どを求めた。同時にア ミノ酸組成 の経時変化
も測定 した。
・試験区A:① 原料乳 に海洋深層水2%添 加。② ブラインに海洋深層濃縮塩水使用。
・試験区 B:① 原料乳 に海洋深層水2%添 加。② ブラインに通常塩水使用。
・試験区 C:① 原料乳は無添加で使用。 ②
ブラインに海洋深層濃縮塩水使用。
・試験区 B:① 原料乳は無添加で使用。
(2)ヨ ー グル ト
②
ブラインに通常塩水使用。
10%ス キム ミルクに 2%及 び 4%深 層水添加 したものを調製 し、乳酸菌スター
ター (TCC-4)を添加 して pH、 乳酸酸度及び生菌数を測定 した。
実験結果
(1)ゴ ーダチーズ
図 1に チーズの熟成率を示 した。 4試 験 区 ともほぼ同 じような熟成率 を示 してお
一-72-―
平成 14年度事業報告 。平成 15年度事業計画 ・試験研究 32
り、海洋深層水 を使用 した こ との メ リッ トは明確 ではなか つ た。 図 2 に 試験 区 A で
の熟成 中のア ミノ酸組成 の 変化 を示 した。 グル タ ミン酸 の増加 が顕著で あ る こ とか
ら、 図 3 に 4 試 験 区で のグル タ ミン酸 の 変化 を示 した。試験 区 A で のグル タ ミン酸
の増 加 が他 の 3 試 験 区 よ りも多 く、海洋深層水使 用 のメ リッ トが示 され た もの と思
われ る。 しか し、熟成率 を考慮 した とき、海洋深層水使用 の メ リッ トを言 うため に
は、 さ らに熟成 を続 ける必要 があ るもの と思われ た。
掛 怪 諫
試験 区 A
一
試験 区 B
一
試験 区 C
―
試験 区 D
ど 9 ヽこ 劇 佃饉 う 塾 ヽ
︵
︵
ゝ
20
一
一
試験区 A 一
試験 区 B
一
試験 区 C ―
試験 区 D
10
40
20
熟成期間 (日)
熟成 期 間 (日)
図 1 ゴ ーダチ ーズの熟成率
図 3 熟 成 中のグ ル タ ミ ン酸 の変 化
ぎ9ヽこ 劇佃趨 ヽ″区
︵
目熱成 0日 目
日熟成 12日 日
′
′
「
グ
ガ
4J'中
係
浄リ 普
4/7滞
図 2 ゴ ーダチーズ (試験区A)熟成中のアミノ酸変化
( 2 ) ヨ ー グル ト
ヨー グル トもチ ー ズ と同様 に明確 な差は認 め られなか つ たが、若干深層水 を添加
した方が p H の 低下、酸度 の上 昇及び菌数 の増加 が 早 い傾 向 にあ っ た。深層水添加
量 を比べ る と 2 % よ
りも 4 % の
ほ うが無添加 との 差 が大 きい ようだが明確 ではな
い 。今 回 の 試験 で は添加 に よるメ リッ トはは つ き りしなか つ た。
4要
約
海 洋深層水 を使 用 して ゴ ー ダチ ー ズ とヨー グル トを試作 した。海 洋深層水使用 の
メ リッ トを言 うため には 、 さ らに熟成 を続 け る必要 があ る もの と思われ た。
(共同研 究機 関 羅 日町)
―-73-―