ポンド、加ドル

株式会社 DZHフィナンシャルリサーチ
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週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
May 20, 2016
BOC、政策金利は据え置きか
◆英、足もとでは EU 離脱懸念が後退
◆加、山火事の原油相場・実体経済への影響に注目
◆BOC、金融政策は据え置きか
予想レンジ
ポンド円 155.00-164.00 円
加ドル円 81.50-87.50 円
5 月 23 日週の展望
26-27 日に日本で開催される主要 7 カ国(G7)首脳会議が為替相場のメインテーマとなろう。財政出
動で国際的な合意が得られるか注目されているが、各国の異なる事情により、合意に達するのは困難
との見方が多い。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を背景に、米 6 月利上げへの思惑が高まった
が、来週もこの流れが続くかどうかにも注目したい。
来月に英国の欧州連合(EU)残留・離脱を問う国民投票を控え、ポンドはその国民投票に絡んだ思
惑で上下している。英調査会社 Ipsos Mori が今週発表した電話調査によると、残留支持は 55%、離脱
は 37%となった。離脱支持の後退が明らかになり、ポンドの買い戻しが続く可能性がある。
英指標結果への反応は薄い。4 月消費者物価指数(CPI)は前年比+0.3%と、前月の+0.5%から減速
した。前月を下回るのは昨年 9 月以来となる。英 3 月 ILO 失業率(3 カ月)は横ばいの 5.1%となり、
就業率は過去最高の 74.2%と、失業率は低位安定を続けている。賃金の上昇率(ボーナスを除く)は
+2.1%にとどまり、賃金の伸びは相変わらず加速していない。来週は 1-3 月期国内総生産(GDP)の改
定値が発表される。速報値は前期比+0.4%と 10-12 月期の+0.6%から伸び率が低下した。サービス業
も勢いを弱めており、景気の実勢は統計数値以上に減速している可能性がある。
加ドルはやや上値の重い動きか。5 月 1 日にカナダのアルバータ州で発生した大規模な森林火災は今
週、防火帯を越えオイルサンド・キャンプ地帯へ拡大した。原油の供給不足懸念で NY 原油先物は 48
ドル台に上昇し、節目の 50 ドルを目指す展開となっている。6 月 2 日に開催される石油輸出国機構
(OPEC)の総会では原油の増産凍結について協議されるとの期待が台頭し、原油相場の支えとなって
いる。原油高が加ドルのサポート要因となっているが、山火事の加経済への大きな悪影響も懸念され、
加ドルの上値も重い。
来週はカナダ中銀(BOC)による政策金利の発表が予定されているが、政策金利は 0.50%に据え置か
れることが見込まれる。山火事の影響が議論されそうだが、現時点で経済への影響を把握するのは難
しく、政策決定を左右する要因にはならないか。20 日に発表される 4 月 CPI にも注目したい。前年比
で+1.7%と 3 月の+1.3%から加速することが見込まれている。1 月には BOC のインフレターゲット
(1.0-3.0%)の中間値である+2.0%に上昇したが、2014 年 3 月からほぼこの中間値を下回った水準で
推移しており、追加利下げへの懸念は払しょくされていない。
5 月 16 日週の回顧
ポンドは買いが優勢。EU 離脱懸念が緩み、ポンドドルは 1.46 ドル台に上昇し、ポンド円は 4 月末以
来の 160 円台を回復した。加ドルは原油高に支えられるも、上値は重い。米 6 月利上げ思惑の高まり
を背景としたドル高を受けて、ドル/加ドルは 4 月上旬以来の 1.31 加ドル台までドル高・加ドル安が
進み、加ドル円は 85 円台で伸びが失速した。
(了)
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