*グローバル投資環境 No.1354 * ご参考資料 髙木証券投資情報部 長期インフレ見通し改善で利上げ 南アフリカの金融政策~ 「休止」余地 2016年5月20日作成 *南アフリカ準備銀行は19日に理事会を開催し、政策金利を ▼政策金利及びインフレ率(%) 7.00%で据え置いた。同準銀はそれまで5.00%としていた政策 政策金利 7.00% 金利を、2014年1月以降断続的に累計で200ベーシス引き上げ ており、とりわけ3月17日に開かれた前回理事会までは3会合連 続で合計100ベーシスの利上げを実施していた。 4月 *ヘッドラインCPIは2月の7.0%から、3月が6.3%、4月が6.2%に 6.2% 改善したが、声明文はこれを一過性の動きと断じており、食品と 消費者物価 ガソリン価格に対する圧力が増大しているほか、4月にみられた 通貨ランドの回復も短命だったと述べている。準銀は最新のCPI 予想について、短期の見通しはやや悪化した(2015年実績の 4.6%に対して2016年の予想は3月時点の6.6%から6.7%に引 ▼準銀の経済見通し き上げ)一方、中期の見通しは幾分改善、インフレターゲットの上 2016 2017 2018 限(6%)を上回る期間は長引くものの、前回予想よりは短期化が GDP +0.8% +1.4% +1.8% 3月 見込まれ、2017年の第3四半期の間にレンジ内におさまると予想 予想 CPI +6.6% +6.4% +5.5% するが、ピークについては2016年第4四半期の7.3%で予想を変 コアCPI +6.2% +5.7% +5.2% えていない。また、コアCPIの予想は2016年が改善している一方、 5月 GDP +0.6% +1.3% +1.7% +6.7% +6.2% +5.4% 2017年、2018年の予想は3月から変わっていない。 予想 CPI コアCPI +5.9% +5.7% +5.2% *景気について声明文は、「国内の経済成長には引き続き失望 であり、経済が成長サイクルの谷間に到達しつつある兆候がみら ▼為替推移(南アフリカランド) れるものの、回復は緩慢かつダウンサイドリスクを伴うだろう」と述 (円) (ランド) べており、2015年の成長率が1.3%だったのに対して、準銀は 対米ドル(右軸)↓ 2016年の見通しを3月時点の0.8%から0.6%へ引き下げたまた、 2017年は1.4%、2018年は1.7%への回復を見込むが、前回予 想に比べて0.1ポイントずつの下方修正となっている。 ↓対円(左軸) *声明文は金利据え置きの背景について、「過去の会合における 利上げが長期のインフレ見通しの改善に寄与しており、金融政策 の遅効性等を考慮すれば、引き締めサイクル休止の若干の余地 があると判断したため」と述べているが、6名の委員中5名が金利 据え置きに賛成した一方、1名の委員は25ベーシスの利上げを 主張している。また、政策の先行きについては、「引き続きインフ ▼格付け一覧 レマンデートに焦点を当てつつ、経済状況にも注意する。インフレ 外貨建 自国通貨建 ムーディーズ Baa2 Baa2 の変化に対する対応が必要な場合に、適切に行動することを躊 S&P BBBBBB+ 躇わない」と述べている。 フィッチ BBBBBB *ところで、大手格付け会社のムーディーズは、3月8日以降、南 ▼10年国債利回り(%) アフリカの格付け「Baa2」の格下げ方向での見直し作業を行って いたが、去る5日6日に格付け据え置きを発表した。一方、S&Pも 現在見直し作業中であり、その結果は来月上旬に発表される模 様だが、S&Pの現在の格付けは自国通貨建てが「BBB+」、外貨 建てが「BBB-」であり、外貨建てについては、1段階の格下げで も「投資不適格」となる。ちなみに、格下げられた場合、外貨建て 格付けはムーディーズの格付けを2ノッチ下回ることは、通常では 考えにくいように思われるが、10年国債利回りは足下で上昇傾向 にあり、債券市場は「投資不適格」のリスクに備えているようだ。 (文責;勇崎 聡) 1/1 (南アフリカ統計局・中央銀行及びBloombergのデータより髙木証券作成) 《ご注意いただきたいこと》当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさるようお願い いたします。当資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、その正確性・完全性を保証するものではありませ ん。株式、債券、投資信託等は、価格の変動や発行者の信用状況の悪化等により投資元本を割り込むおそれがあります。また、当資料の いかなる部分も一切の権利は髙木証券に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転 送等を行わないようお願いいたします。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよく お読みください。 商号等:髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第20号 【広告審査済】 加入協会:日本証券業協会 髙木証券インターネットホームページ:http://www.takagi-sec.co.jp/
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