マーケットレポート 4月下旬以降の金融市場動向について ~日・米・欧で

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マーケットレポート
2016年5月9日
4月下旬以降の金融市場動向について
~日・米・欧で金融政策が現状維持となる中、米ドル安傾向強まる~
4月は21日にユーロ圏、27日に米国、28日に日本と、相次いで金融政策の据え置きが発表されました。
ECB(欧州中央銀行)、日銀は追加金融緩和の可能性を否定しなかったものの、当面は現状の政策効果
の浸透を注視する方針としました。FOMC(米連邦公開市場委員会)では前回3月に利上げ見送りの理由
とされた「世界経済と金融市場の動向が米経済にとってリスク」との表現が声明文から削除された一方、
景気判断は「緩やかなペースで拡大」から「減速」に下方修正されました。また次回6月の利上げを示唆す
る文言も見られず、金融市場では米当局が追加利上げに慎重との見方が強まりました。為替市場では米
ドル安傾向が強まり、米ドル/円は日銀の追加金融緩和が「ゼロ回答」となった失望から、5月3日のアジア
市場では一時105円台半ばまで大幅な円高が進行しました。ユーロも一時1ユーロ=1.16米ドル台前半と
約8ヵ月ぶりの高値をつけました。
この間、日・米・欧の株価は総じて軟調に推移しました。米国では2016年1-3月期の企業業績が予想を
上回り、NYダウも18,000米ドル台を回復するなど高値圏となる中、2016年1-3月期の実質GDP成長率が
大幅に減速するなど低調な景気指標が続いたことから、利益確定目的の売りが加速しました。日本では
円高進行による企業業績の悪化懸念、欧州では銀行株や鉱業株の下落が株価指数の重石となりました。
日・米・独の10年国債利回りは、概ね低位でのもみ合い推移が続きました。
◆今後の注目ポイント
米国の追加利上げを巡って米景気指標の動向が注目されます。5月6日発表の4月雇用統計では非農
業部門雇用者数が前月比+16.0万人と伸び悩みましたが、賃金上昇率は加速しており雇用情勢は底堅さ
を維持しました。現時点では6月の利上げ観測はやや後退しており、2016年1-3月期に減速が目立った個
人消費や設備投資が持ち直しに向かうかが鍵となりそうです。日欧では追加金融緩和観測が残存するも
のの、実施には時間を要するとの見方もあり、当面は財政政策の動向に注目が集まりそうです。日本で
は5月下旬のG7(日米欧7ヵ国)サミット前に経済対策の策定が予想されており、その実現へ向けて16年
度の補正予算では5~10兆円程度の大規模な財政出動への期待が高まっています。対策の具体的な内
容や規模が明らかになれば株式市場での物色意欲が高まるものと期待されます。一方、欧州では難民
問題への対応で歳出拡大が続くものの、依然としてドイツなどは財政出動に消極的なスタンスを維持して
います。財政政策への期待から相対的に日本株式への投資意欲が高まる場面もありそうです。
以上
各国市場および為替の推移
日米欧の主要株価指数、米ドル/円の推移
(2016年4月20日~2016年5月6日、日次)
内外金融市場
日経平均株価 (単位:円)
株式
NYダウ(米) (単位:米ドル)
FTSE100(英)
DAX(ドイツ)
日本10年国債利回り
債券
米国10年国債利回り
英国10年国債利回り
ドイツ10年国債利回り
為替
米ドル/円(単位:円)
ユーロ/円(単位:円)
商品 WTI原油先物(単位:米ドル)
REIT
東証REIT指数
S&P先進国REIT指数(除く日本)
5月6日
終値
16,106.72
17,740.63
6,125.70
9,869.95
-0.12%
1.78%
1.42%
0.14%
107.12
122.17
44.66
1,898.82
264.75
4月20日比
変化幅
▲
▲
▲
▲
799.82
355.64
284.56
551.34
0.02
▲ 0.07
▲ 0.06
▲ 0.01
▲ 2.72
▲ 1.92
2.03
11.07
5.73
106
日経平均株価
騰落率(%)
▲
▲
▲
▲
▲
▲
4.73
1.97
4.44
5.29
NYダウ(米)
104
FTSE100(英)
DAX(ドイツ)
102
米ドル/円
100
2.48
1.55
4.76
0.59
2.21
98
96
※2016年4月20日を100として指数化
94
4/20
4/25
4/30
5/5
(月/日)
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