2011 年度 3EC 応用物理 I (力学) 補助プリント No.4 力学的エネルギー保存則について 群馬高専 一般教科 (自然科学) 小林晋平 2011. 6. 14. 1 講義内容のまとめ • 保存力の定義とポテンシャルエネルギーの関係 • 力学的エネルギー保存則の証明 • ポテンシャルエネルギーの具体例 2 練習問題 以下では全て 1 次元の運動のみを考えるものとする.また g は重力加速度の大きさ,G は万有引力定数を 表す. (1) 保存力の定義を述べよ. (2) 保存力 F とポテンシャルエネルギー U の関係を数式で示せ. (3) 質量 m の物体に保存力しか働かないとき,運動方程式をポテンシャルエネルギー U を使って書け. (4) 前問の運動方程式の両辺に v を掛けて時間で積分し,力学的エネルギー保存則が成り立つことを証明せよ. (5) 鉛直上方に向かって x 軸を取る.質量 m の物体に働く重力の大きさを求めよ. (6) 前問で,x 軸方向の単位ベクトルを ex とするとき,物体に働く重力 F を,ex を使って表せ. (7) 重力は保存力だと考えられる.その理由を述べよ. (8) 定義に従って,重力によるポテンシャルエネルギー U を求めよ.ただし座標原点 x = 0 をエネルギーの 原点とする. (9) x = h0 の地点から物体を初速 v = 0 で自由落下させた.力学的エネルギー保存則を用いて,地点 x = h1 における物体の速さを求めよ. (10) 摩擦のない水平面にばね定数 k のばねをおき,一端を壁に固定した後,他端に質量 m のおもりをつけた. ばねが自然長であるときのおもりの位置を座標原点に取り,ばねが伸びる方向に沿って x 軸を取る.ばね の伸びが x であるときの復元力の大きさはいくらか. (11) 前問で,復元力 F を x 軸方向の単位ベクトル ex で表せ. (12) ばねの復元力は保存力だと考えられる.その理由を述べよ. (13) 定義に従って,ばねの復元力によるポテンシャルエネルギー U を求めよ.ただし自然長のときをエネル ギーの原点とする. (14) おもりを x = x0 まで引っ張った後,速さ v = v0 を与えて放した.おもりの速さが v = v1 になる地点の 座標 x を,力学的エネルギー保存則を使って求めよ. (15) 前問を,おもりが単振動することから位置 x, 速度 v を求めるという方法で計算してみよ(かなり面倒で あることを確認して欲しい). 1 (16) 1 次元空間のある場所に質量 M の物体 A が静止している.そこから離れたところに質量 m の物体 B が あるとする.A から B に向かって x 軸を取り,A は座標原点 x = 0 にあるものとする.B が A から x だけ離れた点にあるとき,A から B に働く万有引力の大きさはいくらか. (17) 前問の万有引力 F を x 軸方向の単位ベクトルを ex で表せ. (18) B が A から受ける万有引力は保存力だと考えられる.その理由を述べよ. (19) 定義に従って,万有引力による B が持つポテンシャルエネルギー U を求めよ.ただし x = ∞ をエネル ギーの原点とする. (20) 前問で, x = x0 をエネルギーの原点とするとき,ポテンシャルエネルギー U はどのように変更されるか. (21) 物体 A を地球,B をその周りを回る人工衛星だとしよう.地球の半径を R とするとき,地球の表面上に ある B が持つポテンシャルエネルギーはいくらか. (22) 地表から B を速さ v = v0 で打ち上げた.地球の中心からの距離が x = r に来たとき,B の速さはいく らか. (23) B が無限遠方まで飛んで行くには,初速 v0 がいくら以上であればよいか. (24) 地球の表面に置かれた質量 m の物体が感じる万有引力と,地表近くで物体が感じる重力 mg とを比較す ることで,重力加速度 g の大きさを G, R などで表せ. (25) 前問で,G や R に具体的な値を代入して,g がおよそ 9.8 m/s2 になることを確認せよ(G などの数値は 自分で調べること). (26) 重力 mg の正体は,地球からの万有引力だとすると,なぜ地表近くにおける重力によるポテンシャルの形 と万有引力によるポテンシャルの形はだいぶ異なるのか,説明せよ. [参考] [1] 戸田盛和著『力学』(物理入門コース 1), 岩波書店 2
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