2013 年度 応用生物学部 卒業論文概要 論文題目 メンブレンフィルター法による環境中の大腸菌の定量的回収方法 氏名 指導教員 杉原 拓 浦瀬太郎 キーワード:メンブレンフィルター法、大腸菌、回収率 【背景と目的】 環境中の低濃度の細菌(薬剤耐性菌を含む)を濃縮測定する際、メンブレンフ ィルター法を用いることが多い。しかし、定量的に細菌が回収されているかは あきらかでない。そこで、細菌濃縮時に回収率に影響を与える因子を明らかに する必要がある。 【方法】 大腸菌(クロモアガーECC 培地上で青色コロニーを作る Escherichia coli)と大 腸菌以外の大腸菌群(クロモアガーECC 培地上で赤色コロニーを作るもの, Escherichia 属以外に数属を含む)を対象に行った。 多摩大橋(中神駅)付近と是政橋(南多摩駅)付近の多摩川で採水を行い、 試料水を直接培地上に塗布したものと希釈後にメンブレンフィルター法で濃 縮測定したものを比較し、回収率を求めた。多摩大橋付近では、処理水放流前 と処理水放流後の双方で行った。 また、クロモアガーECC 培地に CTX を添加し、CTX に対して耐性を持ってい る大腸菌と大腸菌群について多摩大橋付近の処理水放流後を試料水として同 様に比較し、回収率を求めた。 【結果と考察】 是政橋付近の水を用いた場合では大腸菌は 87%、大腸菌群は 135%の回収率で あった。多摩大橋付近の処理水放流前の水を用いた場合では大腸菌は 75%、大 腸菌群は 78%の回収率であった。また放流後の水を用いた場合では大腸菌は 57%、大腸菌群は 39%の回収率であった。CTX 耐性の大腸菌は直接塗布では濃度 が低すぎ、計測されなかった。大腸菌群は 200%の回収率であった。 メンブレンフィルター上のコロニー数が多いと回収率が低くなった。これ は、コロニーがフィルター上に広がり、コロニーとして計数できないためであ った。
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