渦点近似法による渦糸の運動の解析とモデルの比較 渡邉 優(畑上研究

渦点近似法による渦糸の運動の解析とモデルの比較
渡邉 優(畑上研究室)
渦糸とは、渦巻状に自転している流体が細長い紐状になって伸びているも
ので、竜巻等が例として挙げられる。本研究では渦糸の運動を記述をする2
つのモデルを考え、それらを3個の渦糸が存在する場合に適用し、渦糸の運
動の様子を数値計算により調べた。また、その中の1つの渦糸の渦の強さを
変えることにより、それぞれの渦糸の間の距離がどう変化するかについて調
べることによって、渦の強さが変化した場合の効果について考察した。さら
に、モデルの間での渦糸の運動の違いについても調べた。
時間
における
番目の渦糸の位置を
、その強さを
とすると
、粘性を考慮しないモデルは
と表される。ここで、
である。また、粘性を
考慮したモデルとして、人工粘性を
として、以下のようなモデルを考える。
以上の2つのモデルに対して3つの渦糸の初期状態として
として4次のルンゲ・クッタ法を用いて数値的に渦糸の運動を計算した。
なお、粘性を考慮したモデルにおける人工粘性
に固定し
を
から
まで
は
とし、
ずつ変化させて、渦の強さによる効果を
調べた。
それぞれのモデルについて動画を用いて運動の様子を見てみると、計算初
期の
付近の渦糸の運動は、粘性の有無に関わらず原点付近にとどまっ
たあとに半径
の円周上を一周して再び原点に戻るような運動を繰り返す
が、十分時間が経過したあと(
付近)では、渦糸の運動は粘性の有無
によって大きく異なっていることが分かった。
また、
が大きくなると
付近での
と
の間の平均的な距離は
大きくなることが分かった。これは3番目の渦糸によって誘起される速度場が
大きくなるためであると考えられ、粘性を考慮に入れたモデルでは、
の間の距離や
と
を大きくした時の距離の変化が小さくなることが分かった。