-1- 花魁選び 大学を卒業して、手広く寿司屋を展開してきたヒゲ・じー

花魁選び
大学を卒業して、手広く寿司屋を展開してきたヒゲ・じーちゃんの先輩は、大須新天地通
商店街振興組合の理事長を務めた。
大須のアーケード街を充実させ町の発展を期した。その努力の甲斐あって、現在の大須
界隈の賑わいが創出された。
今や、日本人の若者に限らず、白、黄、黒と肌の色も多様な外国人も大勢訪れ大賑わい
となっている。
この大須の一大催し物の一つに花魁が大須の街を練り歩く花魁道中がある。この花魁道
中の花形である花魁について面白い話を語ってくれた。
当日花魁の役を務める女性は、一般公募で応募してきた女性から審査をして選ぶという。
多 い と き に は 200 名 の 女 性 の 応 募 が あ っ た そ う な 。
ま ず は 書 類 と 写 真 審 査 を し て 候 補 を 絞 り 、 候 補 に 選 ば れ た 女 性 の な か か ら 20 名 が 花 魁 と
して採用される。大須のなかのそれぞれの通りを花魁が練り歩く。
審 査 に 合 格 し た 20 名 の 女 性 が 、 満 た さ な け れ ば な ら な い 条 件 に 、 35 キ ロ の 花 魁 が 着 る
衣装に堪えるだけの体力、六寸の高下駄を履いて八の字歩きができる器用さ、さらに 2 , 3
時間小用を足さずに済ませる健康状態があるそうだ。それもそうだろう、花魁道中の最中に
ち ょ っ と 憚 り に 行 っ て き た い か ら と い っ て 、 35 キ ロ ま で の 衣 装 を 脱 い で ま た 着 付 け 直 す と い
うことは不可能だろう。
どういう女性が応募するのか。ミス名古屋、準ミス名古屋というようにどこかでミスになった
ような強者が応募し、審査に合格ということになるらしい。 1 回目の審査に落ちても、 2 度 3
度と挑戦を重ねる女性もいるそうだ。こういうことも知らずに、かなりの歳のおばさんなど体
型、顔の作りを鏡で確認しないで応募してくる怖い物知らずの女性もいるとか。
これだけの難行苦行で花魁道中を努めても、肖像権を放棄させられた上に無報酬という
割に合わない役目である。何故ここまでして花魁になりたいのか。嫁入り前にいい思い出を
作りたいというのが応募の動機だそうだ。
最後に、以上の文章にはヒゲ・じーちゃんの空想による描写があるので誤解のないよう
に。怒り心頭に発する描写があるとすれば、それはヒゲ・じーちゃんの空想によって書かれ
た文章と解釈願いたい。
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