楽しさにあふれ、表現する喜びを実感できる造形活動

厚別区小学校図画工作研究項目
研究主題
楽しさにあふれ、表現する喜びを実感できる造形活動
2 研究の視点
I 研究主題について
物質的には恵まれた時代で、はあるが、めまぐるし
い社会変化の流れの中、現代の子どもたちはあふれ
(1)表現する楽しさや喜びが実感できる教材化の工
夫
・新たな素材の発掘
る情報にもまれ、核家族・少子化により地域社会の
-既存の素材の新たな扱い
つながりも脆弱となるなど、取り巻く環境は厳しい。
(見方を変えて、角度を変えて・ー)
そのような状況で、学校教育における図画工作科
・活動構成、学習計画の工夫
が担う役割は一層重要になっていくと考えられる。
それは、この教科が、自らの思いを「し、ろ」や「か
たち」で表現・鑑賞することを通して、ものの「よ
(2) 子どもの表現活動を支える教師の支援
・一人一人の細かな見取り
さ」や「美しさ」など感じる心を育てる、子どもの
-技法や道具などの適切なアド、パイス
情緒的な成長を大切にしている教科であるからであ
・環境(掲示物・板書)の工夫
る。また、場、材料、手段などを自ら選択し表現し
-活動を深めたり高めたりする場の設定
ていく、自己選択・自己決定を重視する教科である
ことも、子どもたちの生きる力の育成に大切な教科
であるとも言える。
そこで、私たちは、図画工作科の学習に子どもた
ちが自ら進んで取り組み、表現すること、そして、
自分や友達の作品の、また身の回りの様々なものの
よさや美しさを味わうことに、楽しさや喜びをもっ
E 研究の歩み
今年度も、厚別区、白石区、豊平区、清田区の 4
区合同で行うこととなった 実践研究日の授業づく
O
りから 4区の研究推進委員の協力の下に進められて
いった。
6月 2
1日 げ ( ) 全 市 研 究 集 会
て取り組む姿を目指して、研究の主題とした。
9月 6日(火)公開授業に向けての研究推進
1 研究の概要
9月 1
3日げ()公開授業に向けての研究推進
小守交と中学校の 9年間で一貫して、資質や能力
9月 2
7日(火)公開授業に向けての研究推進
を育成する観点から、低、中学年では基礎となる内
容の積み重ねを基本に、高学年では中学校へと学習
1
0月 4日
ω
ぇ)公開授業に向けての研究推進
1
1日 ( 火 ) 実 践 研 究 日
(活動)内容が繋がるように (
1
共通事項」や「評価」
授業公開と話合い、実践交流
との関わりも含めて)、教材化と教師の支援について
1
8日(火)実技研修(版画)
の研究を進めている。
1 月 24 日(火)厚別区子ども造形展 (~30 日)
友達との関わり
集団の学び
製,さ・やる気
L こま3~) る
確カミな力の育成
-小・図工 厚別1-
E 各学校研究主題一覧
①各区からの実践発表
昨年度の実践発表日に各区で、公開された授業の実
学校名
践発表を行い、交流を図った
研究主題
O
・中央区「わたしのびっくり 3D動物カードj
{
言f
農小
夢いっぱい、輝きながらの造形活動
幌 西 小 判 交 吉 伊 宏 子 教 諭 (4年生)
-北・東区(二区合同)
小野幌
豊かなかかわりを京国哉し、子どもの思いが
生きる授業
「気がつくとそこにいた、ひみつのはなし」
白 楊 小 朝 交 菊 地 惟 史 教 諭 (4年生)
楽しさあふれ、表現する喜びを実感できる
造形活動
-厚別・白石・豊平・清田 (4区合同)
青葉小
豊かな心で自分らしさを表現し、楽しさあ
ふれる造方弁舌動
厚 別 西 小 康 谷 浩 子 教 諭 (2年生)
共栄小
思いを広げ、楽しさを実感する造汗弁舌動
上野幌
「ふしぎなたまごj
・南区「ストロン星
3DJ
南 の 沢 小 中 奈 津 子 教 諭 (4年生)
も
み
じ
のE その子の良さが生き、喜びをもって取り組
む造可 舌動
a
日f
り
が
丘
一人一人が進んで活動し、生き生きと学び
あう子どもの育成
・手稲・西区 (2区合同)
「むすんで、つないで」
平和小石川恭子教諭
実践発表後、野切卓指導主事から、各区の実践
発表を受け〔共通事項〕正実践との整合性l
こっし、て
や、図画工作における評価の在り方などについてお
もみじの森小
厚別西
厚別北
大谷地東
上野幌西
厚別通
上野。開
自ら学ぶ力とともに生きる力をはぐくむ
図画工作科の学習のあり方
話があった
自分の思いをもち、進んで表現しようとす
る図画工作の学習
学習に関わり、実践上の課題やポイントなどについ
O
また、新しい学習指導要領に則った図画工作科の
てもアドバイスをいただいた。
②今年度の各区の研究推進・体制などの話合い
生き生きと創り出す造汗弁舌動
後半は、区ごとに集まり、メンバーの自己紹介の
人間関系力を育成する図画工作科の実践
わかる授業、楽しい授業の構築から生まれ
る豊かなかかわり
あ剖土、 23年度の研究推進体制などを話し合い、担
当の校長先生から講評をいただし、た。
2 1
0月 1
1日実践研究日
平成 23年度の授業者は、小野博史教諭と祖父江
瞬教諭(中の島小判交)に決まり、計 4回の研究推
協同的な学び文化の中の創造
進会議の中で、研究を進めていった
O
楽しさにあふれ、表現する喜びを実感でき
る造可 舌動
a
(1)題材名「表現にこめた思しリ
(
2
)題材について
、 2時間扱いの鑑賞
「表現にこめた思いj は
本来、
厚別東
一人一人が力をつける授業の創造
の題材である。これは、良さや表現を味わうだけでな
く、作品に込めた作者の思いを読み取るところまでを
町実践
含んでの時間である。
1 全市研究集会
6月 2
1 日に幌西小学校で、行われた「全市研究集
して、自分自身の「思し、Iを込めることで、作品を「表
会」では、昨年度の実践研究発表と 1
0区に分かれて
現の手段」とすることが可能と考えた。
の地区集会が行われた。
「思いを込める」部分に着目
また、自分自身が「思いを込めたI経験を経ること
実践発表では、昨年度各区で行われた授業実践の
発表があった。
しかし、本題材では、
で、より「思いを読み取る」力が付くと考えた。その
ため、
「鑑賞J にとどまらず「製作I を付加した。
-小・図工 厚別2-
前述のとおり、 「表現の手段」の獲得として本題材
を考えたときに、直接的な表現ではなく、
「込めたI
思いに気付くことが必要となる。このためには、 「
相
[鑑賞】
・美術作品や友達の作品に込められた、作者の表
現の意図や鞘敷などを感じ取っている。
手Jというものにしっかりと向き合い、考えてし、かな
[言語活動]
くては、
・美術作品や友達の作品について、友達と話し合
「込められた思しリにはたどりつかない。
表面的なコミュニケーションではなく、
「
心j がつ
ながるようなコミュニケーションを生み出す題材と
考えることができる。
(
5
)本時の目標
[関心・意欲・態度]
また、新学習指導要領で大切にしている「言語活動」
についても、
いながら自分の解釈を深め表わしている。
「見取ったものを話すj だけでなく、友
-友達の作品をよく見て、工夫や思いを味わおう
としている。
達の「思し、」に到達するため(生きた目的をもった)
[鑑賞】
のコミュニケーションが行われることから、より活発
-友達の作品に込められた、表現の意図や特徴な
どを感じ取っている。
な話合いを期待している。
6年生の後期の姿として、発表会の形でなく「対話I
の中から気付きが生まれるような話合いを目指して
[言語活動]
・友達の作品について、仲間と話し合いながら自
分の解釈を深め表している。
いきたい。
(
3
)研究主題の具体化
①表現する楽しさや喜びが実感できる樹牝の工夫
鑑賞(思いの読み取り)でも、ただ見ているの
に比べ、新しい視点での発見がある。しかし、自
分自身が「鑑賞される作品」をつくる、または、
「思いを込める j過程を通すことで、より「鑑賞j
への意欲は高まる。本時の成否の鍵は、
・子どもたちが自分自身の思いを強くもつことが
できるか。
・思いを形に変えていくことができるか。
(
6
)本時の展開 (6/7)
にかかっている。
②子どもの表現活動を支える教師の支援
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i:i槽となる。
鑑賞の t
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印象に長く買りそ
上述の 2点を本時の成否の鍵としたときに、本
視点はおのずと決定されてくる。
-強し、思いを(これまでの中で)もたせることが
,よザその作品か
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①個人で鉱苗 L'気 却し、たことゆ刀ード記入十る
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-やや高し、ハードル(思いを形にする過程)での
適切な支援。
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うとするための話合いが、形作られる。
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(
4
)題材の目標
I[児童対比、
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①個人で指;声し
[関心・意欲・態度]
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-美術作品や友達の作品をよく見て、形や色、表
わされている内容などを味わおうとしている
.自分の思いを工夫して表わそうとしている。
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-小・図工 厚別3-
v 成果と課題
(7)鑑賞の評価についての実践交流会
中の島小判交 6年 2組の子どもたちが書いたカー
ドを見ながら、お互いに鑑賞の評価について交流し
1 成果
小野教諭と祖父江教諭の御少なチームワークが発
合う機会を設けた。前半を小グループで、後半に全
揮された授業だ、った
体交流を行った
んで培った力が、お互いの作品を見合う場面で大い
O
O
また、日頃から鑑賞に取り組
[全体交流]
に発揮されていた。自分の表したいメッセージを作
形」と分けて記入するよ
・このカードには、「色J I
品に表すのは、子どもたちにとって難易度の高い課
うになっているが、 lつにまとめても良いのでは
題だ、ったが、どの子も自分なりの技法を用い、色や
ないか。
形などを工夫することができていた。
・「メッセージはOOJ では難しいので、「どんな感
また、担任教師が事前に色や形、技法から感じる
じを受けたか ?J くらいで良いのではないか。
イメージを子ど、もたちに定着させていたことや、言
(例:寂しそう、楽しいなど)
語活動として、作品に込める思いを文章化してワー
・「鑑賞二表現の多様性を知ること」と考えるなら
ば、気付けた子どもはA評価で、あろう。
クシートに書き込ませたり、交流の司会を子どもた
ちで、行ったりしたことは、今回の実践の中で有効に
・日頃の積み上げが必要なので、自分の生活経験と
働いたと考える。
い。(あくまでも図画工作的な観点で評価を行う。
2 課題
「表現」と「鑑賞」を一体イ七させた授業として、
大変革新的で、あったが、「言吾活動jの在り方に課題
書かれた文章だけで見取るのは国語の評価になり
がし、くつか見出され、意見も出された
比較しながら考えられるようにしていきたい。
・「言語活動」は、国語の評価にならないようにした
0
・子どもが司会をしたのは、良かったが、作品の製
がち)
・「色J I
形」から感じ取ったこと十「それはなぜか
(理由)Jが書けていればA評価であろう。
作者自身で、あったことをもっと生かせなかった
だろうか。 作品をつくった子どもたちには思いが
-教師の関わりで、子どもたちの活動(感じたこと
あったので、対話を進める機会で、あったと考える
を評価カードに記入する)を価値付けし、良い感
・製作者が司会をしたことで、鑑賞する側の考えが
性を実感させることも大切であると考える。
0
多少限定的になってしまった部分もある。作品を
鑑賞して、自由に思ったことを発言できる場を作
3 実技研修会「版画の基礎・基本』
っていきたい。
講師に大谷地小学校の益村豊校長教諭を招し、て、
-製作の動機付けやテーマが多岐にわたっていたの
4区合同で実施した。低学年のローラーやスタンプ
で、話合いもまとまらなかったので、はない。「共
での造形遊び、中学年の紙版画、そして高学年の木
通意識j が必要なのではないだろうか。
版画と、一時間の中で密度の濃い研修会となった。
子どもたちにとって版画で表現をするというこ
「言語活動j の大切さが浮き彫りになる中で、今
とは通常の絵画よりも見通しをもたせにくい。子ど
回の実践のキーワードは「対話」であろう。各グワレ
もたちに時間をかけずに作業の流れを伝えるため
ープの中で、対話は行われていた。それを全体のも
には、事前の場作りが有効であることなど、多くの
のにするためには、どうつなげていくのか、どう深
ことを学んだ。参加者人数も 30人以上おり、研修
めていくのかが課題であろう。そのための教師の関
会の人気を改めて実感した。
わりも大切なものとなってくる。また、「表現」と「鑑
賞」を一体化させるためにも子どもの表現力、コミ
ュニケーション能力を培う活動を積み上げていく必
要である。
これからも、より多くの部員に参加を呼び荘け、
「実技研修会」や「子ども造形展」などを通して、
互いの研修を深め、子どもたちに還元してし、く研究
活動を続けていきたい。
-小・図工 厚別4-