24kV SF6 ガス絶縁リングメインユニットにおける開閉器の静電界

COMPUTER SIMULATION TECHNOLOGY
24kV SF6 ガス絶縁リングメインユニットにおける開閉器の静電界シミュレーション
3 次元電磁界解析を電力工学分野に応用した事例として、ABB(ABB Distribution, Skien, ノルウェー)[1]
の中電圧向け SF6 ガス絶縁リングメインユニット負荷開閉器のシミュレーションをご紹介します。
本事例の CAD モデル画像は、ABB 社(ABB, Bad Dättwil, スイス)のご厚意により掲載します。
負荷開閉器は、負荷状態の電気回路に流れる電流を遮断するための装置です。この装置について電磁界シミ
ュレーションを行い、放電が起きるおそれのある箇所を特定します。この情報は、たとえば固定部品と回転
部品の間隔を最適化する場合に役立ちます。
放電箇所の特定を目的とする本事例の場合、形状を簡略化するのは適さず、したがって CAD データのインポ
ート機能が重要になります。インポートしたいファイル形式に対応していることはもちろん、インポートに
問題が生じたパーツに対し自動修復が行われることも大切です。
図 1:Pro/Engineer からインポートした負荷開閉器の形状
Pro/Engineer から CST EM STUDIO(CST EMS)に直接インポートし、自動修復機能を適用した開閉器モデ
ルを図 1 に示します。本事例ではすべての部品が正確に配置されているアセンブリファイルをインポートし
ました。
シミュレーションに必要な設定として、インポートしたモデルに材質と励起源と境界条件を定義します。静
磁界シミュレーションでは、材質として完全導体(PEC)または誘電体が定義できます。
図 2:中相 19.6kV、外側 -9.8kV の瞬間電圧における電荷分布(計算結果プロット)
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電流遮断される瞬間の電位(本事例では中相に 19.6kV、外側に-9.8kV)を各導体に設定し、領域全体の電位
分布を計算した結果を図 2 に示します。電位分布に基づき、各部品の材質が金属か誘電体かの判別が可能と
なります。
図 3:曲面比(curvature ratio)と異方性を定義して細分化したメッシュ
シミュレーションの精度は、ソルバー次数とメッシュに大きく左右されます。メッシュは形状を可能な限り
忠実に表現していなくてはなりません。ここでは四面体メッシュを選択した上に、丸みを帯びた形状をメッ
シュで近似表現する設定を行います。つまり、曲面形状のメッシュ細分化機能(curvature refinement)を構造
全体のメッシュに対し適用し、丸みを帯びた部分のメッシュの質がどこも同じになるようにします。さらに
異方性のメッシュ細分化機能(anisotropic curvature refinement)も併せて適用し、円筒面のメッシュが外周方向
だけ細分化されるようにします。
上記機能を用いて生成したメッシュを図 3 に示します。
図 4:メッシュビューに電界分布を重ねて表示
上記のメッシュ設定は優れたメッシュを生成するばかりでなく、メッシュ自動適応機能を適用した結果も改
善する働きがあります。
シミュレーションから得られた電界分布を、メッシュ表示の上に重ねたプロットを図 4 に示します。
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図 5:放電評価用の電気力線
シミュレーションでは電気力線の算出も重要です。電気力線により放電電圧や放電電流の経路の予測が可能
となります[2]。
電気力線を計算するためには力線の起点を指定する必要があるのですが、CST EM STUDIO(CST EMS)
では構造の表面を選択することで簡単に指定できます。ひとつのブレードの表面を選択した例を図 5 に示し
ます。
マウスで任意の場所をポイントすることにより電界強度がインタラクティブに得られます。データをテキス
ト形式で出力し、外部ツールで放電現象を評価することも可能です。
まとめ
CST EM STUDIO による静電界解析例として負荷開閉器のシミュレーションをご紹介しました。CST EM
STUDIO には、電界値やキャパシタンスマトリクスを抽出するポスト処理機能や、パラメトリック計算と最
適化モジュールも内蔵されています。
参考文献
[1]http://www05.abb.com/global/scot/scot235.nsf/veritydisplay/134c08f362080c33c12577ba00420459/$file/safering_24kv
_e.pdf
[2] A. Blaszczyk, H. Boehme, A. Pedersen, M. Piemontesi: Simulation based spark-over prediction in the medium voltage
range, ISH Bangalore 2001
[3] http://scee2012.ethz.ch/abstracts_new/SCEE12_Abstract_67_talk_Sterz.pdf
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