中枢神経系内広範囲局所薬剤送達技術 - 橋渡し研究加速ネットワーク

東北大学病院臨床研究推進センター
Clinical Research, Innovation and Education Center, Tohoku University Hospital
文部科学省橋渡し研究加速ネットワークプログラム
革新的薬剤送達法を用いた新たな中枢神経局所治療法
超音波を併用した対流強化薬剤送達(CED)機器一式の開発
東北大学大学院神経外科学分野 冨永悌二
研究概要
私たちはCEDを用いた抗癌剤(塩酸ニムスチン)による悪性脳腫瘍の新規治療法、MRI画像誘導
下の投薬技術を確立し、悪性脳腫瘍に対する臨床研究を進めてきた。本事業では、さらに有効な
薬剤送達を目指し、開発した超音波印加型CED装置による投薬技術の効率化・安定化、圧駆動型
薬剤投与ポンプシステムの構築を行い、より効率的な薬剤局所送達システム作製を進めている。
超音波印加型CED装置を中心とした薬剤送達システムの臨床応用に向け非臨床POCの確立を目
的とし、薬事承認に向けて研究を行う(先進医療承認に向け3月にPMDA開発前相談予定)。現時
点で、超音波印加型CED装置で従圧注入を可能とし、MRI耐用化に成功した。現在、機器の非臨
床POC確立(デバイスのMRI耐用化、脳内局所投薬における現行CEDで薬剤分布容積1.5倍)に向
けた動物実験を施行中である。
開発デバイス概要
背景:基礎となる技術
橋渡しシーズB本年度の開発
脳内への新たな薬剤送達法
〜対流強化薬剤送達法(CED)
CEDとは?:convection‐enhanced delivery
目的:脳内局所に広範な薬剤送達を行う
超音波併用による薬剤送達の効率化
臨床研究にてCEDの限界(腫瘍を覆うことが困難)
⇩
さらに効率的な薬剤分布を得るためのシステム開発を実施
東北⼤学医学系研究科
神経外科学分野
冨永 悌⼆
進捗の概要
超音波印加CED機器
一式の開発
本年度の機器開発成果
・超音波印加型薬剤投与装置のMRI耐用化
・微小圧センサー導入による圧測定、圧駆動型薬剤投与ポンプの開発
現在、動物実験による検証中(非臨床POC確立)
デバイスのMRI耐用化
MRI耐用化のため超硬合金(WC‐Co)からジルコニアセラミックスへ変更
針以外の部品のMRI耐用性評価
MRI耐用材料の比較
ゲルにPZT,ホーンを包埋し3TeslaMRIで撮影
従圧式注入ポンプ作製
注入ルート内の圧をfeedbackし従圧注入するシステムを構築
注入圧制御システム(圧センサ + 流量ポンプ)
評価項目
1. 一定圧制御可否(制御圧201 mmHg)
→制御可能
2. 一定圧制御時の圧力値のばらつき確認
→設定値に対し±1 mmHg以内
3. 圧力制御の過渡応答性(201 mmHg→210 mmHg)
→+3 mmHg/1 minのオーバーシュート
候補材料
・ジルコニアセラミックス
・WC‐Ni
・共晶体
牽引なし、アーチファクト許容内
評価により使用可能であることを確認
注入圧制御システム評価結果
+3 mmHg/1 minのオーバーシュート
ジルコニアセラミックスの試作
デバイス外観
±1 mmHg以内
201mmHgに制御
水中での音場強度測定
水中
φ = 0.65 mm
L = 40 mm
針部分をセラミックスに変更
以前の針と同様の波形が取得可能
動物脳への
投薬研究
非臨床POC確立に向け現在、動物(ラット、カニクイサル)
脳内への投薬研究を実施中.