奄美ブロック研修医 勉強会 名瀬徳洲会病院 2015.6-7 J-2 中野 航一郎 86yr old Male C.C. 動けない 高血圧、喘息、COPDの既往のあるADL自立の方。 来院5日前から階段の上り下りで息切れを自覚していた。 来院当日、朝食後から会話困難、動けない、といった症状 が生じたため妻が救急要請。近くの総合病院へ搬送され COPD急性増悪の診断となる。入院治療困難とのことで、 ソルコーテフ100mg DIV, ベネトリン 0.5ml 吸入し当院へ 転院搬送となる。 PMH ・HTN+, DM-, DL-, PUD-, BA+ ・heart-, liver-, kidney・COPD 近医通院中 ・BPH ・手術歴なし ・アレルギーなし Social History ・喫煙歴:1pack x 35yrs (55歳で禁煙) ・飲酒歴:寝る前に焼酎1杯 ・職業歴:雑貨小売店 (自営業) Medicine ・バイアスピリン 100mg ・アムロジピンOD 5mg ・イルベタン(ARB) 100mg ・キプレス(抗アレルギー薬) 10mg ・フリバス(αブロッカー) 50mg ・メコバラミン100mg ・アドエア250ディスカス 1日2回 Physical Examination Vitals : JCS : 0, BT : 37.6 ℃, BP : 138/106 mmHg, HR : 93 bpm, SpO2 : 100% (O2 5L) 眼瞼結膜蒼白なし・眼球結膜黄染なし 咽頭発赤なし 頸部リンパ節触知せず・鎖骨上窩の陥凹あり, シーソー呼吸 肺胞呼吸音:両側で減弱、複雑音:wheeze著明 心音:雑音なし 腹部:平坦・軟、圧痛なし、グル音正常 下腿浮腫なし Laboratoy Data ABG(O2 5L) pH 7.47 pCO2 27.5 mmHg pO2 140.0 mmHg HCO3 19.7 mmol/l BE -2.7 mmol/l Lac 0.5 mmol/l GOT 133 IU/l Na 136 mEq/l GPT 55 IU/l K 4.1 mEq/l LDH 387 IU/l BS 133 mg/dl CK 5811 IU/l BUN 32.4 mg/dl CRP 1.55 mg/dl Cr 1.52 mg/dl eGFR 34 ml/min/l UA 9.3 mg/dl WBC 7490 /μl Neut 83.8% Hb 9.6 g/dl Hct 28.6 % MCV 104.4 fl MCHC 33.6 % Plt 21.3 x 10^5/μl What’s Your Diagnosis? 前島 健志 26歳 新婚、 日本人 COPDのPhysical 〈視診〉 胸鎖乳突筋の肥厚 呼気延長 口すぼめ呼吸 JVP上昇 ばち指 手背の静脈の怒張 〈触診〉 Short Trachea Campbell徴候 (tracheal tug) Hoove徴候 〈打診〉 心濁音界の消失 〈聴診〉 呼吸音が遠い early inspiratory crackle IIp亢進 Epilogue COPD急性増悪として治療を開始 A: なし B: ベネトリン吸入 4回/day C: PSL 10mg/day 呼吸状態は徐々に改善。PSLは9日間の投与で終了。 Day 8にHOT導入し退院となる。 What’s Your Diagnosis? 保田 真宏 30歳 潔癖症、腹やばい Eosinophilia ・白血病など血液疾患 ・リンパ腫 ・寄生虫 ・アレルギー性鼻炎 ・薬剤性好酸球増多症 ・副腎不全 ・膠原病 ・好酸球性多発 血管炎性肉芽腫症 など ROS 陽性:発熱 陰性:体重減少(47kg前後)、食欲不振、倦怠感、 寝汗、皮膚症状、嗅覚異常、鼻汁、嘔吐、腹痛、 鼓腸、便秘、出血傾向、輸血歴 History Taking ・生まれてからずっと奄美 ・若い頃はさとうきび畑を経営 ・1年前まで畑で野菜を作っていた ・現在はタバコ、米を売っている ・屋敷に住んでいて洋式水洗トイレを使用 ・妻と二人暮らしで妻が料理をする History Taking 2 ・周囲に坂道なし ・階段があり、入院前は階段の上り下りが 苦しかった ・便は2日に1回の硬〜普通便 Additional Laboratoy Data CEA 3.4ng/ml CA19-9 5U/ml PSA 2.2 ng/ml HTLV-1 <16 P-ANCA (-) C-ANCA (-) フェリチン 235 ng/ml Vit. B12 2696 pg/ml ACTH 74.8 pg/ml cortisol 15.8 μg/dl Eosinophilia (再掲) ・白血病など血液疾患 ・リンパ腫 ・寄生虫 ・アレルギー性鼻炎 ・薬剤性好酸球増多症 ・副腎不全 ・膠原病 ・好酸球性多発 血管炎性肉芽腫症 など ファイナルアンサー? 勝俣 健太 25歳 漢方中毒、遅刻魔 糞線虫 便培養 CONTROL 糞線虫 糞線虫 Stronglyoidiasis ・経皮感染 ・自家感染 ・風土病 ・HTLV−1 ・消化器症状 自由世代 寄生世代 真・Epilogue COPD急性増悪に対するステロイド治療により、 免疫抑制が発生し、もともと寄生していた糞線 虫が顕在化した一例と考えた。 イベルメクチン(200μg/kg 2週間間隔 計2回投与) の投与を行った。 Ivermectin Ivermectin Ivermectin Clinical Pearl ・ステロイドの免疫抑制をあなどることなかれ The END 参考文献 ・Stou, et al., 沖縄の寄生虫病2題, 琉球大学医学会雑誌 10(3-4): 139-140 ・Asato R, Nakasone T, et al., Current status of strongyloides infection in okinawa, japan. Jpn. J. Trop. Med. Hyg., Vol. 20, No.2, 1992, 169-173 ・Hirata T, Zaha O, et al., 糞線虫の生態と病態を探る, 化学と生物 Vol.39, No.8, 2001, 513-517 ・Ishihara K, Sakihara M, et al., Strongyloidiasis hyperinfection after oral corticosteroid therapy for acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease. 日本内科学会雑誌 第98巻 第12号, 2009, 152-154 ・Centers for Disease Control and Prevention. DPDx: Strongyloidiasis.
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