Q&A

第2回講義の質問
Q. Hantzsch法以外のピリジン合成法はあるのか?
A. めちゃめちゃいっぱいあります。(専門的過ぎるので省略)
普通のピリジンの工業的合成法の一例を見つけました。
Q. キノリンとイソキノリンの反応で、求電子置換反応と求核置換
反応は両方の化合物でも起こるのか? 位置選択性は?
A. 当然起こります。位置選択性は図の通り。
求電子置換は電子豊富なベンゼン環側、求核置換は
電子不足なピリジン環側で起こります。
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1
Q. ケトン、イミン、エナミンの変換の反応機構は?
A. 脱水縮合と互変異性です。
詳しくはボルハルト下巻959–963pを見て下さい。
Q. 4-メトキシピリジンと3-メトキシピリジンのそれぞれ共役酸に
ついての酸性度の説明がよくわからんかった。 (7人)
ピリジン環に効果的に電子供与
3
pKa
6.62
I効果とM効果
両方が関与
(I効果<M効果)
Q. ピロールが芳香族で6π電子なのかもう1回説明してほしい。
Q. N原子上の電子はどうなってるの?
ピリジン環に
電子供与
できない
3
各C原子のp軌道から1つ
4π電子
N原子p軌道から2つ
4.88
I効果のみ
関与
2π電子
共役酸の酸性度大(pKa小) = 共役塩基の塩基性度小
p軌道
誘起効果(I効果)と共鳴効果(M効果)の兼ね合いと思われる
誘起効果の度合いは置換基の位置によらずほぼ同じ
共鳴効果の度合いは置換基の位置で全然違う
(4位メトキシ基はピリジン環に電子供与できるが3位は無理)
sp2軌道
合計: 6π電子
Q. なぜピロールのNが塩基性を持たないのかがわからない。
A. ピリジン環に対してNが非共有電子対の2電子を供与して
芳香族性を獲得するのに使われるため、塩基として機能
しうる非共有電子対がないから。
Q. この表現の意味は? (2人)
テストで書いてもいい?
Q. 塩基性度の順番がよくわからなかった。
Q. 説明を文章にしてください。
OKです
これ
sp2
sp2
sp3
炭素原子の電気陰性度: sp > sp2 > sp3
付加反応と脱離反応を
まとめて描いただけ
塩基性度は逆の順に
大きくなる
窒素原子の電気陰性度: sp > sp2 > sp3
ピリジン:環の外向きsp2軌道に非共有電子対
ピロール:環のp軌道に非共有電子対あるけど
芳香族性の獲得に使われる
塩基性あり
塩基性なし
Q. 酸性や塩基性の強さを簡単に見分ける方法は?
pKa
pKaがちっちゃいほど酸性度大
共役酸のpKaがでかいほど塩基性度大
Q. Paal-Knorr合成法で出たでかいピロールの使い道は?
Q. NBSが反応するときの反応機構は?
A. Br原子上で求核置換反応が起こるので、見かけ上
Br+みたいな感じに機能します。
CH3CO2NO2(NO2+源)が反応するときも同様の機構です。
O
A. ポリピロール類です。
陰イオンを捕捉できます。
Hとハロゲンイオンが
ハロゲン結合を作ります。
O
H
N
N
Br
+
N
Br
N
R
R
O
O
NBS
O
NH + Br
O
N
R
Br
N
Br
R
Q. NBSを1当量だけ入れるとどうなるの?
A. たぶんBrが0個、1個、2個入ったものが混合物で取れます。
他にもニトロ基や塩素原子を含む
小さな化合物を捕捉するのが知られています。
Chemical Communications, 2000, 1207-1208より転載
Q. スライド速すぎて写しきれんやないかー! (7人)
Q. 電子の流れはどの程度覚えるべきですか?
A. すみません。再掲するので許してください。
DMAP=4-(dimethylamino)pyridineです。
ただしnifedipineの構造を写せなかった人は考えて下さい。
プリント2-3左下
A. 授業で扱った程度で十分です。
↓
Q. Hantzsch法でエステル部分は他の官能基でもOK?
A. カルボニル基が望ましいです。α位の水素の
酸性度を下げる効果が必要です。
中間体の共鳴構造
ここ
O
H
RO
O
Q. 誘起効果がいまいち理解できません。
A. 電気陰性度を考えましょう。ボルハルト上巻361p参照。
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Q. 「cat.」って何?
A. 「catalytic」の略で「触媒量」のことです。
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Q. 反応名を答えるときはカタカナでもいいですか?
A. OKです。アルファベットかカタカナ。
テストで綴りやカタカナを間違えると–1点です。
Q. 右の化合物って簡単に入手できるのですか?
A. 適当に描いただけ。合成は難しそうです。
でも調べたら中国、ドイツ、ウクライナで買えるそうです。
Q. 求電子置換と求核置換の違いは?
CO2H
Q. オゾン分解でSMe2の役目は?
A. 還元剤。余ったオゾンを還元して安全に反応を停止します。
Q. 電子密度と求核性の関係は?
A. 芳香環上で置換反応が起こるとき、外から入ってくるものが
求電子剤なら求電子置換、求核剤なら求核置換です。
Q. COの試薬でどれくらい儲けた?
A. 試薬を50gいただいただけです。
開発した試薬を広く社会に使って欲しいため、特許は取らず
試薬会社にお願いして発売してもらいました。
A. 大まかに相関があります。電子密度が大→求核性も大。
Q. キノリンとイソキノリンはほぼ同じでいい?
A. 物性や反応性ですか?似たような化合物です。
Q. 「α,β-不飽和エステル」と「エノン」は同じ?
A. アルケンの炭素にエステルが結合してるかケトンが
ついてるかの違いです。
Q. 高校の化学の先生が大学生だったとき、研究室の天井に穴を
あけるくらいの爆発が起きる化学反応が起きたらしいのですが、
現実的にありえますか?
A. ありえます。
研究室でも油断すると事故が起きます。
Na発火とかニトロ系、アジド系の爆発が多いです。
私は学生のときに爆発でドラフトを1個吹き飛ばしました。
Q. ボルハルト以外のおすすめの教科書や参考書は?
A. 教科書ならウォーレン(微妙に書いてる内容が違う)
参考書ならMarch(英語、辞書みたいに使える)と
有機人名反応(赤い本)あたりがおすすめです。
Q. いちばん好きな(心動かされた)反応は何ですか?
A. 好きな反応は自分で開発したカルボニル化反応。
安全、簡単、実用的と3拍子揃った使える反応です。
心動かされた反応は時計反応と呼ばれる類のものです。
反応が起きる瞬間が予測できる反応の一種で、高校の
化学の先生が実演してくれたのが印象に残っています。
ベロウゾフ・ジャボチンスキー反応
(金属塩の酸化還元反応により色の変化が半永久的に起こる)
ヨウ素デンプン反応を応用(反応する瞬間を予測)