DLC膜のsp2/(sp2+sp3)比高精度定量化

分析事例C0379 2015/03/31 2015/03/31
DLC膜のsp2/(sp2+sp3)比高精度定量化
XAFSによる高精度解析
測定法 :XAFS
製品分野 :電子部品・製造装置・部品・日用品
分析目的 :化学結合状態評価・構造評価
概要
コーティング材料として幅広い分野で用いられているDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜はミクロな視
点から見ると、ダイヤモンド構造に対応するsp3混成軌道を有する炭素元素と、グラファイト構造に対応
するsp2混成軌道を有する炭素元素が混ざり合って構成されています。
DLC膜の特性を決める一つの指標として、sp2/(sp2+sp3)比が挙げられます。
XAFSによってDLC膜のsp2/(sp2+sp3)比の高精度定量化が可能です。
データ
従来の手法では分離の精度が不十分であったDLC膜のsp2/(sp2 +sp3)比をXAFSによって高精度に評価
することが可能です。また、測定モードによって検出深さを数nm(部分電子収量法)から十数nm(全電子
収量法)まで変えることができ、深さ方向の情報を得ることも可能です。
DLC膜のC-K端XANES
σ* C-C
π* C=C
直接光イオン化
π*
C=O
※表面汚染由来、計算時には除外しています。
σ* C-H
280
285
290
295
300
305
310
315
320
Photon Energy(eV)
直接光イオン化による吸収(
部分)を階段関数で表し、
C-K端XANESとの差スペクトルについて、ピークフィッティングを行いました。
それぞれのピーク面積及び標準試料から得られた係数を用いてsp2/(sp2+sp3)比の算出が可能です。
DLC膜のピークフィッティング結果
sp2/(sp2+sp3)比
ピーク面積
π* C=C
π* C=O
σ* C-H
σ* C-C
1.27
0.40
0.99
7.48
36%
係数を用いて算出
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