解答例

2015 年度前期 有機化学2 第17回 「芳香族性」復習問題
学籍番号___________ 氏名___________
1. ベンゼンの C1‒C2 結合と C2‒C3 結合はどちらが長いか(または同じ長さか)、
理由をつけて答えなさい。
ベンゼンは左図のような共鳴混成を持っており、左右対称で
ある。従って、C1-C2 結合と C2-C3 結合の長さは等しい。
2. 下の化合物について、芳香族性を持つものには○、反芳香族性を持つものには
、どちら
でもないものには―をつけなさい。いずれも平面構造であると仮定する。
○
−
○
○
3. 次のケトンは、ケト・エノール互変異性を起こすが、通常のケトンと異なりエノール型の
方が安定である。エノール型の構造式を書き、安定である理由を説明しなさい。
O
H
H
O
OH
H
H
H
エノール型になることにより、6πの芳香
族性が現れて安定化を受けるため。
4. イミダゾール(下図)は芳香族性を持つ化合物である。(1) 2つの窒素原子がそれぞれどの
ような混成軌道を持ち、そこにどのように電子が入っているかを述べなさい。(2)
この分
子が芳香族性を持つことを説明しなさい。
(1) 2つの窒素原子はともに sp2 混成。左の窒素原子では、ローンペアが sp2 軌道
の1つに入り、p 軌道に残りの価電子1個が入る。右の窒素原子では、ローンペ
アが p 軌道に入る。(2) 2つの窒素原子と3つの炭素原子の p 軌道が重なり合って分子軌道
を作る。そこに6個の電子(3つの炭素原子と左の窒素原子から1つずつ、右の窒素原子か
ら2つ)が入り、6π系となるため、ヒュッケル則から芳香族性を持つ。
5. 下の化合物において、矢印で示した C‒Br 結合は容易に切断される。反応式を書き、切断が
–
+
容易に起きる理由を説明しなさい。
(ヒント:生成するのが Br , Br のどちらか考えること。)
Br
Br
Br
Br
O
Br+
+
Br
O
Br
Br
Br+として切断される。この時生成するアニオンが、
Br
Br
芳香族性を持つフェノラートアニオンで、安定であ
るため、この反応は容易に進行する。
Br
O
Br
Br
O
Br