H27年8月第1号_宗門総合振興計画について - 正覚寺

正覚寺報平成 27 年 8 月第 1 号(りびんぐらいぶず 8 月第 1 号)−宗門総合振興計画について−
りびんぐらいぶず
平成27(2015)年8月第1号
宗門総合振興計画について
◆はじめに
浄土真宗のお法りの流れを汲む者は、願わくばお法りが世の中広く伝わって行って欲し
いと念願している。だからどのような困難もこれに協力し完遂したいと念願していること
に変わりはない。
しかしである。去る六月十一日、急遽ご案内があって参画した総局巡回「公聴会」で聞
かされた「宗門総合振興計画」には息を飲んだ。実のところ、息が飲めなかったのである。
◆宗門総合振興計画
「宗門総合振興計画」とは何か、
平成二十七年六月一日付けで宗門が示された次の二大法要を柱にした総合計画である。
・一、新御門主継承に基づく伝灯奉告法要
・二、親鸞聖人ご誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要を展望したもので
三本の基本方針と財務計画とよりなる。
財務計画は、全国一万ケ寺平均で百四十七万円の懇志をお願いしたいとするものである。
これを耳にして突如として降って沸いた感が否めず、少なからぬ疑問を呈した。即、組
長に相談したところ「上からのお達しだからどうしようもない」との姿勢である。
今や頼みにできない者を相手にしているいとまはないので、非公式に教区内のこれとい
う役員様に相談し、「総務面談の機会を設けては貰えまいか」とお願いした。
早速、教務所長が動かれ、七月九日午後総務への面談の機会を設けて戴くことができ、
幸いにも意見具申に及ばせて戴いたのだった。
◆基本方針第一の「国際伝道」について
Q.資料間で整合性がないがどれが最新版か
A.平成二十七年六月一日発行(総局巡回用)と表紙下端に記されたのが最新版である。
Q.国際伝道の構想について聞かされたい。
A.北米と数回やりとりしたところ、日本の国際部(現在は、寺院活動支援部の国際伝道
担当の位置づけ)は、年に一回程度事務処理するだけで、国際伝道の機能が果たせていな
い。南米と北米の間のコミュニケーションも採られていない。ついては、北米には、通信
教育の機能もあるので、北米に国際伝道のセンターを置きたいという構想だ。
Q.海外開教使の福祉問題についてお訊ねしたい。M部長様、貴方は国内の宗務職員だか
ら
【URL】http://syohgakuji.web.fc2.com/ 【E-Mai l】mhkatata@pluto.dti.ne.jp
H27 年 7 月 13 日発行
Ver.3
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厚生年金がおありでしょう。海外開教使にはこれがないんですよ。
国際伝道については、海外開教使の福祉問題(退職金や年金問題をいう)を解決すること
が宗門の課題である旨、前世紀末のシンポジウム「親鸞とアメリカ」でも当時の国際部長
からアナウンスされている。宗門には立派な先輩方がいらしたであろうに、未だにこの問
題が未解決で放置されている。
今回の「宗門総合振興計画」で二百億もの予算計画をお建てになるのであれば、是非、こ
の機会にこの問題を解決して戴きたい。
A.ぜひ解決に取り組みたい。
Q.海外開教使は、現場力、経験力を有している有為の人材である。その開教使帰国する
とキャリアの継続性がないという課題がある。ぜひ、この問題を解決して戴きたい。
(考察)この問題は、独り開教使の問題ではない。語学ができ現地語で御法話ができ、企
画力もある開教使経験者は、宗門にとっても得がたい人材である。人材は、今日、「人財」
と称される。国内を視野においてさえ、日系人のお世話等の現実の問題がある。宗門は、
海外開教区への人的パワー支援ができるような部隊を養成できていなくてはならないの
ではないか。日本語しかできず、外部社会に昏い職員ばかりのこれまでの宗門が寧ろ異常
だったのである。ぜひ、開教使の人材としての継続確保の途を開いて戴くことが必要であ
る。
◆体系的な伝道学確立の必要性について
Q.宗門には、体系的な伝道学がないことが、前世紀末のシンポジウム「一つは、ハーバ
ードとの、今一つは、北米開教区開教百周年記念の」で確認されている。昨今の研究でも
事態に変わりが無い。
A.確かに伝道学がない。
Q.伝道学がないとどういうことになるか、
一つには、開教使に徒に負担を掛け、積極果敢な取組みの内には、時として浄土真宗のお
法りが危うくなる事態がないとは云えない。
今一つには、お聖教の翻訳で Text 情報量は足りても.状況理解(Context)が伝えられなけ
れば、異教徒からみても対話が始まらない。ところが、信心正因
称名報恩のご常教は、
他力信心獲得時点以降の結論のみを対象とし、宗門内だけに理解される教学表現に終って
いる。これでは、伝道機能上制約があるのみならず、異教徒との対話の可能性もない。
実は、この問題を解決するため、去る六月二日の第五十一回龍谷教学会議で、「伝道最
前線を支える教学上の試論」と題して一つの研究成果を発表させて戴いた。これを機に宗
門内に、伝道教学確立の気運が盛り上がり、願わくば、現代社会伝道最前線に機能する伝
道学が確立されることを念願するものである。
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当院報四月第一号から七月第三号に至るまではその着想とロジックを確認したもので
ある。是非お目通しを戴きたい。
◆当院の経験した現代人の質疑に端を発して誕生した「ふとあおぎみるおすがたは」は、
どの現場でも御門徒さんにお慶び戴いている。ところが、ご常教には、これを支える教学
がない。折角行巻に「出体釈」があり、六字釈に「発願廻向釈」があるのに、御常教はこ
れを見て見ぬふりをしている。これではいけないというのが今回研究発表の契機であった。
◆総合振興計画の原資について
総合計画の都度、原資を百%懇志に仰ぐというのは末寺の実状を顧みていないのではな
いか。お聴聞の活動を第一に取り組んでいるいわば健康体の末寺でも、これから自坊での
七百五十回忌法要を勤める末寺が少なくなく、本堂等の各種修復工事で多大の物入りの時
期に当っているからである。御門徒さんは、厳しい経済社会の真っ只中で苦しんでいる。
この上、御門徒さんに懇志をお願いするようなことは住職としては誠に忍びない。
宗門は、原資を末寺の懇志に期待するのみという考え方から脱却し、自ら事業原資を捻
出する取組みはできてもよいのではないか。それを柱に、残りは末寺に協力を仰ぎたいと
いうのであれば理解できるが、初めから懇志に頼るのは戴けない(※→後書き2)。
ご本山での法要では、今日感激が薄い。一過性のイベントに終ってしまい易い。
寧ろ、御門主はお若いのだから、全国の末寺に、事前準備ぬきで赴いて戴き、各地の御
門徒さん方とご一緒にお正信偈をあげ、短く御法話をして戴き、座談会で締める全国行脚
して戴ければ一遍に人気が上りますよ。
総務様方もそれぞれに自ら汗して全国各地に浄土真宗のご法義行脚を展開し、御門徒さ
んを発掘する取組みに着手して戴いてはどうでしょう。合掌。
(後書き)1.総務面談にご尽力戴いた皆様方、当日お話をお聞き下さった副総務様、行事部長様には厚くお
礼申し上げます。改めて申し上げにくいことをこの機会に申し添えることをお許し戴きたい。
2.宗門にとっては何が一番大事か、伝道最前線で新たな御門徒さん発掘、育成のお聴聞の営みが機能してい
るかどうかではないであろうか。何か事があれば,末寺に懇志を仰ぐという相変わらずの体質から脱皮するには、
まずは中央組織が率先垂範して末寺では賄いきれない手薄の社会最前線に赴いて、御門徒さん獲得の為に汗水
垂らして戴くことでなくてはならないのではあるまいか。いかなる事業計画も、その上での御立案でなくては
なるまいかということなるのであります。
また、傘下の宗務職員には、地域では連続研修会等の共同事業を疎かにしてはいまいか、宗務庁舎を訪問す
るお客様に対しては、PC を覗いたまま腰を上げ得ない姿勢ではなく、まずは「いらっしゃいませ」と立ち上
がることができるよう生活指導して戴くことこそ総務様のお仕事ではないかと窺うものであります。合掌。
◆お聴聞の会(ご法話会)
八月二日(日)二十時より
◆正覚寺歓喜会(お盆の集い)
八月二十三日午前十時より
当日は、百回忌の法要を兼ねて営ませて戴きます、お客僧は、平野正信様です。
著作編集兼発行元(本願寺派 正覚寺内)〒520-0501 大津市北小松四五二番地
℡077-596-0166、FAX077-596-0196 住職 堅田 玄宥
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