2016 年 3 月 16 日 日本銀行福岡支店 Bank of Japan Fukuoka Branch 九州・沖縄の金融経済概況 (2016 年 3 月) 当資料は当店ホームページに掲載しています <内容に関するお問い合わせ先> http://www3.boj.or.jp/fukuoka/ 日本銀行福岡支店営業課 Tel:092-725-5513 1.総論 ○ 九州・沖縄の景気は、緩やかに回復している。 最終需要の動向をみると、個人消費は、一部に弱めの動きがみられるほか、足もとで は消費者マインドがやや慎重化しているものの、雇用・所得環境が着実に改善するもと で、全体としては緩やかに持ち直している。住宅投資は、緩やかに持ち直している。設備 投資は、増加している。公共投資は、緩やかに減少している。輸出は、新興国経済の減 速などの影響が続く中、弱い動きとなっている。 こうした中で、生産は、新興国経済の減速などの影響が続く中、高めの水準ながらこ のところやや減少している。雇用・所得情勢をみると、労働需給は着実に改善しており、 雇用者所得は緩やかに持ち直している。 先行きについては、海外経済や金融市場の動向とそれらが企業や家計のマインドに及 ぼす影響を注視する必要がある。 <景気判断の前回との比較> 基調判断 項目 前回 景 気 全 体 今回 緩やかに回復している。 緩やかに回復している。 一部に弱めの動きがみられるほか、足も 一部に弱めの動きがみられるものの、雇 とでは消費者マインドがやや慎重化して 用・所得環境や消費者マインドが着実に いるものの、雇用・所得環境が着実に改 個 人 消 費 改善するもとで、全体としては緩やかに 善するもとで、全体としては緩やかに持ち 持ち直している。 直している。 需 要 項 目 住 宅 投 資 緩やかに持ち直している。 緩やかに持ち直している。 公 共 投 資 緩やかに減少している。 緩やかに減少している。 設 備 投 資 増加している。 増加している。 新興国経済の減速の影響や海外向け自 新興国経済の減速などの影響が続く中、 出 動車の生産減少などから、弱い動きとなっ 弱い動きとなっている。 ている。 輸 生 産 雇 用 ・所 得 半導体関連を中心に新興国経済の減速 新興国経済の減速などの影響が続く中、 などの影響が続く中、自動車の持ち直し 高めの水準ながらこのところやや減少して の動きも鈍化しており、全体として高めの いる。 水準ながらこのところやや減少している。 労働需給は着実に改善しており、雇用者 所得は振れを伴いつつも緩やかに持ち 直している。 1 労働需給は着実に改善しており、雇用者 所得は緩やかに持ち直している。 2.個人消費 ○ 個人消費は、一部に弱めの動きがみられるほか、足もとでは消費者マインドがやや慎 重化しているものの、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、全体としては緩やかに 持ち直している。 ▽個人消費関連の動向 非耐久消費財 耐久消費財 百 貨 店 売 上 高 化粧品や飲食料品は引き続き堅調に推移しているものの、足もとでは消費 者マインドがやや慎重化していることなどから高額品販売の増勢が鈍化し ており、全体として持ち直しの動きに一服感がみられる。 スーパー売 上 高 引き続き衣料品の動きが鈍いものの、飲食料品や化粧品など生活用品の 販売は堅調に推移しており、緩やかな増加が続いている。 コンビニエンスストア売 上 高 新規出店効果に加え、新商品投入や販売促進強化による集客力向上もあ って、着実に増加している。 家 売 季節家電に引き続き動意がみられているほか、高単価・高機能商品を選好 する動きも続いており、白物家電やテレビを中心に底堅く推移している。 乗用車新車登録台数 一部に新型車投入効果がみられるものの、横ばい圏内の動きとなっている。 電 販 (含む軽自動車) サービス 旅 行 ・ 観 光 旅行取扱額は、国内向けが堅調に推移しているものの、海外向けはテロを 含めた政情不安の影響から落ち込んだ状態が続いている。この間、観光面 では、外国人観光客が引き続き増加しているほか、世界遺産登録効果など もあって、国内観光客も堅調に推移している。 3.住宅投資 ○ 住宅投資は、緩やかに持ち直している。 1月の新設住宅着工戸数は、貸家の増加を主因に前年を幾分上回った。 4.公共投資 ○ 公共投資は、緩やかに減少している。 2月の公共工事請負金額は、国や県発注分の増加を主因に前年を上回った。 5.設備投資 ○ 設備投資は、増加している。 12月短観における2015年度の設備投資(除く電気・ガス)は、非製造業が前年を下回 る一方、製造業は前年を大幅に上回っており、全産業でも前年を3割方上回る計画(全 産業:+29.9%、製造業:+72.4%、非製造業:▲5.6%)となっている。 1月の建築物着工床面積(民間非居住用、後方3か月移動平均)は、2か月連続で前 年を上回った。 2 6.輸出 ○ 輸出は、新興国経済の減速などの影響が続く中、弱い動きとなっている。 1月の輸出額(九州経済圏)は、アジア向けを中心に前年を下回った。 7.生産 ○ 生産(鉱工業生産)は、新興国経済の減速などの影響が続く中、高めの水準ながらこ のところやや減少している。 ▽主要業種の生産動向 械 自動車は、国内向けの増産に伴い、緩やかに持ち直している。船舶は、増加して いる。 電 子 部 品 ・デバイス 中国経済の減速の影響がみられる中、新型スマートフォン向けの受注も減少して おり、生産水準が低下している。 はん用 ・生 産 用 ・業 務 用 機 械 高水準で推移しており、中国経済の減速などを受けた減産前の水準に復してい る。 化 学 国内向けの需要は引き続き堅調な一方、新興国や資源国向けで弱い動きが広 がっており、このところ生産水準が低下している。 鉄 鋼 全体として高水準ながら、海外向けで生産水準を引き下げる動きがみられてい る。 品 堅調な国内需要を背景に、増加している。 輸 送 食 機 料 8.雇用・所得 ○ 雇用・所得情勢をみると、労働需給は着実に改善しており、雇用者所得は緩やかに持 ち直している。 労働需給をみると、新規求人の増加が続く中、有効求人倍率は上昇基調をたどってい る。 12月の雇用者所得総額は、1人当たり現金給与総額の増加を主因に前年を上回った。 9.物価 ○ 1月の消費者物価指数(九州地区、生鮮食品を除く総合)の前年比は、0%台前半と なった(1月:+0.3%)。 10.金融 ○ 1月の預金残高をみると、個人・法人預金を中心に前年を上回った。 ○ 1月の貸出残高をみると、法人向けや個人向けを中心に前年を上回った。 ○ 2月の企業倒産をみると、件数・負債総額ともに前年を下回った。 以 3 上
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