九州・沖縄の金融経済概況

2016 年 7 月 15 日
日本銀行福岡支店
Bank of Japan Fukuoka Branch
九州・沖縄の金融経済概況
(2016 年 7 月)
当資料は当店ホームページに掲載しています
<内容に関するお問い合わせ先>
http://www3.boj.or.jp/fukuoka/
日本銀行福岡支店営業課 Tel:092-725-5513
1.総論
○
九州・沖縄の景気は、熊本地震の影響により観光面などで弱い動きが続いているもの
の、営業や生産活動など供給面の正常化が進むもとで、緩やかに持ち直している。
最終需要の動向をみると、個人消費は、熊本地震に伴う営業面への影響は和らいでい
るものの、消費者マインドが依然として慎重なほか、観光面の大幅な落ち込みが続いて
おり、全体として弱めの動きとなっている。住宅投資は、熊本地震の影響により、一部に
建築工事の遅れなどがみられているものの、緩やかに持ち直している。設備投資は、高水
準で推移しているが、熊本地震の影響により、一部に投資の先送りや維持・補修投資の
実施など上下双方向の動きがみられている。公共投資は、被災地以外における大型案件に
加え、熊本地震の復旧工事もあって、持ち直しに転じている。輸出は、新興国経済の減速
などの影響は残るものの、熊本地震による供給制約が和らいでいるほか、海外向け自動
車等の増産効果もあって、持ち直している。
こうした中で、生産は、熊本地震後の操業再開や操業度を高める動きがみられるほか、
海外向けの増産効果もあって、このところ増加している。雇用・所得情勢をみると、労
働需給は着実に改善しており、雇用者所得は振れを伴いつつも緩やかに持ち直している。
6月短観における企業の業況感は、熊本地震の影響などもあって、製造業・非製造業
ともに悪化している。
先行きについては、熊本地震の復旧・復興需要や官民の各種観光支援策の効果が波及
する時期や程度について、注視する必要がある。また、海外経済や金融市場の動きが当
地経済に与える影響についても注視する必要がある。
1
<景気判断の前回との比較>
基調判断
項目
前回
今回
熊本地震の影響により観光面などで弱い
動きが続いているものの、生産活動など
の供給面を中心に下押し圧力が和らい
できている。
熊本地震の影響により観光面などで弱い
動きが続いているものの、営業や生産活
動など供給面の正常化が進むもとで、緩
やかに持ち直している。
熊本地震に伴う営業・物流面への影響は
和らいでいるものの、消費者マインドが依
個 人 消 費 然として慎重なほか、観光面の大幅な落
ち込みが続いており、全体として弱めの
動きとなっている。
熊本地震に伴う営業面への影響は和ら
いでいるものの、消費者マインドが依然と
して慎重なほか、観光面の大幅な落ち込
みが続いており、全体として弱めの動きと
なっている。
景 気 全 体
需 要 項 目
熊本地震の発生に伴い、一部に建築工 熊本地震の影響により、一部に建築工事
住 宅 投 資 事の遅れなどがみられているものの、緩 の遅れなどがみられているものの、緩や
やかに持ち直している。
かに持ち直している。
被災地以外における大型案件などもあっ 被災地以外における大型案件に加え、
公 共 投 資 て持ち直しに転じつつあり、熊本地震の 熊本地震の復旧工事もあって、持ち直し
復旧工事もみられている。
に転じている。
高水準で推移しているが、熊本地震の発
生に伴い、一部に投資進捗の遅れや維
設 備 投 資
持・補修投資の実施など上下双方向の
動きがみられている。
高水準で推移しているが、熊本地震の影
響により、一部に投資の先送りや維持・
補修投資の実施など上下双方向の動き
がみられている。
新興国経済の減速などの影響は残るもの
の、熊本地震による供給制約が和らいで
出
いるほか、一部に海外向け自動車の増産
効果もあって、持ち直しに転じている。
新興国経済の減速などの影響は残るもの
の、熊本地震による供給制約が和らいで
いるほか、海外向け自動車等の増産効果
もあって、持ち直している。
輸
産
生産設備の復旧や代替生産の進捗など 熊本地震後の操業再開や操業度を高め
から、熊本地震で生じた供給制約が和ら る動きがみられるほか、海外向けの増産
ぐもとで増加に転じている。
効果もあって、このところ増加している。
雇 用 ・所 得
労働需給は着実に改善しており、雇用者
労働需給は着実に改善しており、雇用者
所得は振れを伴いつつも緩やかに持ち
所得は緩やかに持ち直している。
直している。
生
2
2.個人消費
○
個人消費は、熊本地震に伴う営業面への影響は和らいでいるものの、消費者マインド
が依然として慎重なほか、観光面の大幅な落ち込みが続いており、全体として弱めの動
きとなっている。
▽個人消費関連の動向
非耐久消費財
耐久消費財
百 貨 店 売 上 高
訪日外国人客の減少や高額品の消費抑制など、熊本地震の影響が続いて
いるものの、営業面の正常化が進んでいるほか、化粧品や飲食料品の売上
が上向くなど、全体として持ち直しつつある。
スーパー売 上 高
消費者マインドは依然として慎重ながら、熊本地震による営業面への影響
が和らいでいるほか、気温が高めに推移したことに伴い季節商品に動意が
みられるなど、持ち直している。
コンビニエンスストア売上高
新規出店効果や各種販促施策などから、着実な増加が続いている。
家
気温が高めに推移したことに伴いエアコン等の販売が増加しているほか、
熊本地震に伴う買い替え需要もあって、白物家電やテレビを中心に堅調な
動きとなっている。
電
販
売
乗用車新車登録台数
(含む軽自動車)
サービス
旅 行 ・ 観 光
普通・小型車は新型車投入効果から持ち直しているものの、軽自動車が燃
費不正問題の影響から大幅に落ち込んでおり、全体としてやや弱い動きが
続いている。
当地発の旅行取扱額は、熊本地震の影響により国内向けを中心に旅行を
控える動きがみられており、減少が続いている。この間、観光面において
も、熊本地震による観光地の被災や消費者マインドへの影響などから、熊
本県や大分県を中心に、国内・外国人観光客ともに大幅に落ち込んだ状態
が続いている。
3.住宅投資
○
住宅投資は、熊本地震の影響により、一部に建築工事の遅れなどがみられているもの
の、緩やかに持ち直している。
5月の新設住宅着工戸数は、貸家・分譲の増加を主因に前年を上回った。
4.公共投資
○
公共投資は、被災地以外における大型案件に加え、熊本地震の復旧工事もあって、持
ち直しに転じている。
5月の公共工事請負金額は、独立行政法人等発注分の増加を主因に前年を上回った。
5.設備投資
○
設備投資は、高水準で推移しているが、熊本地震の影響により、一部に投資の先送り
や維持・補修投資の実施など上下双方向の動きがみられている。
6月短観における2016年度の設備投資(除く電気・ガス)は、製造業・非製造業とも
に前年を小幅に上回る計画(全産業:+1.4%、製造業:+1.9%、非製造業:+0.6%)
となっている。
5月の建築物着工床面積(民間非居住用、後方3か月移動平均)は、3か月連続で前
年を下回った。
3
6.輸出
○
輸出は、新興国経済の減速などの影響は残るものの、熊本地震による供給制約が和ら
いでいるほか、海外向け自動車等の増産効果もあって、持ち直している。
5月の輸出額(九州経済圏)は、アジア向けを中心に前年を下回った。
7.生産
○
生産(鉱工業生産)は、熊本地震後の操業再開や操業度を高める動きがみられるほか、
海外向けの増産効果もあって、このところ増加している。
▽主要業種の生産動向
械
自動車は、操業再開に加え、海外向け新型車の増産効果もあって、熊本地震前
を上回る水準まで増加している。船舶は、高水準横ばい圏内の動きとなってい
る。
電 子 部 品 ・デバイス
主力企業が多く集積する熊本県を中心に熊本地震前の水準をなお下回っている
が、操業再開や操業度を高める動きもあって、持ち直している。
はん用 ・生 産 用
・業 務 用 機 械
操業再開や操業度を高める動きなどから、持ち直している。
化
学
新興国や資源国向けが持ち直していることから、生産水準を高めている。
鉄
鋼
新興国や資源国向けで弱い動きが続いていることから、生産水準が低下した状
態が続いている。
品
国内需要は引き続き堅調ながら、熊本地震の影響が残存していることから、低め
の生産水準で推移している。
輸
送
食
機
料
8.雇用・所得
○
雇用・所得情勢をみると、労働需給は着実に改善しており、雇用者所得は振れを伴い
つつも緩やかに持ち直している。
労働需給をみると、新規求人の増加が続く中、有効求人倍率は上昇基調をたどってお
り、5月は過去最高水準となった。
4月の雇用者所得総額は、常用労働者数の減少などから、前年を下回った。
9.物価
○
5月の消費者物価指数(九州地区、生鮮食品を除く総合)は、ほぼ前年並みとなった
(5月:▲0.1%)。
10.金融
○
5月の預金残高をみると、個人・法人預金を中心に前年を上回った。
○
5月の貸出残高をみると、法人向けや個人向けを中心に前年を上回った。
○
6月の企業倒産をみると、件数は前年を下回ったものの、負債総額は前年を上回った。
以
4
上