総合東京病院通信 Vol.16

Southern TOHOKU Healthcare Group.
Tokyo General Hospital
南東北グループ 医療法人財団 健貢会
総合東京病院通信
〒165-0022 東京都中野区江古田3-15-2
TEL. 03-3387-5421
( 代)
2014.2
Vol.
16
南東北グループ 医療法人財団 健貢会
総合東京病院通信 Vol.16
●平成26年2月発行
●編集・発行/総合東京病院
特 集
関関
節
節の
破
リ壊
が
ウ進
マみ
、
チ強
い
痛
み
を
伴
う
膝関節センター長
龍 順之助
手指の変形
自身の免疫異常が原因の疾患
関節リウマチとは、全身の関節に痛みと
腫れといった炎症が生じる疾患です。原因
はまだはっきりしていませんが、患者さん
の体に何らかの免疫異常が生じ、自身の免
疫が関節を攻撃してしまうことで発症する
リウマチの病態
といわれています。
症状の多くは手や指、手首の関節から起
こってきます。症状が進行しやすい人の場
合、こうした関節炎を放置したままにする
と、次第に関節軟骨が消失し、骨も壊され
てしまいます。手や指、手首の関節の場合
は、変形によって手仕事や日常の生活に支
障をきたすこともあるでしょう。下肢の関
節に症状が出ることもあり、膝関節や足首
の痛み、腫れ、変形によって歩けなくなる
こともあります。
一度関節リウマチで関節が破壊されてしま
うと、完全に元の状態にまで戻すことは困難
であり、早期に発見して、治療を開始するこ
とが重要です。関節の症状と血液検査をもと
に診断し、薬物療法や手術療法、リハビリテー
肛 門外 来 開設
消化器外科 篠田知太朗医師が診察 毎週木曜日 午後
おしりの痛み、出血、違和感、何か出ている気がする。このような症状でお悩みの方は
いらっしゃいませんか?当院では毎週木曜日の午後に肛門外来を開設しています。
専門医による診察、治療をおこなっておりますので、お気軽にお問い合わせください。
※この冊子は左開きが「総合東京病院通信」、右開きが「江古田の森だより」です。
特 集
関節の破壊が進み、強い痛みを伴う 関節リウマチ
ションなどの治療を行っていきます。実際に患
者さんが受ける治療は一人ひとりの状態によっ
て大きく異なっており、医師はそれぞれの患者
さんに治療を組み合わせて対応します。
進歩の進む薬物療法で症状を抑える
治療の基本となるのは、関節に生じる炎症を
抑え、痛みを軽減する薬物療法です。リウマチ
の症状を根本から抑える抗リウマチ薬、疼痛や
炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬およびス
テロイドホルモンなどがあり、病気や体の状態
にあわせて組み合わせていきます。現在では、
関節の破壊を防止することを目指し、有効な薬
剤を早期から積極的に使っていくようになって
きました。
最近の薬物の進歩の中でも特に重要なのが、
生物が生成したタンパク質を利用して作る生物
学的製剤の開発です。この薬剤は、関節炎や骨
の破壊に関係する分子の働きを阻害すること
で、症状の抑制や改善を目指します。生物学的
製剤の普及により、関節リウマチの治療は大き
く発展し、症状が好転もしくは消失している状
態(寛解状態)を目指すことも十分可能になっ
てきました。
変形した関節を手術で再建する
薬物療法が進歩したとは言え、一度変形し、
日常生活にも支障を来すようになった関節に
は、手術療法で対応する必要もあります。手術
療法は、炎症のある滑膜を切除する滑膜切除術
や、関節の一部を削って形を整える関節形成術、
傷んだ関節を人工物に置き換える人工関節置換
術などが挙げられます。
そのうちの人工関節置換術は、関節が大きく
変形し、十分に機能しなくなった症例に対す
る重要な選択肢です。指や肘、肩、膝、股関節
と、多くの関節に対して行われます。人工関節
置換術もまた、大きく進歩した治療の 1 つです。
特に、膝や股関節の人工関節は、材質の向上や
形態の改良、手術技術の向上などにより、以前
よりも長期にわたってよい状態を維持できるよ
うになってきました。現在では、人工関節を
2
重度のリウマチ膝
(術前の右膝・左膝)
人工膝関節置換術後
(右膝・左膝)
20 年以上使うことも十分見込めるほどになっ
ており、適切な施設で経験豊かな医師による
手術を受けることで、
「一生持たせる」ことを
目標にできるといえます。あわせて、可動域
や耐久性も以前より向上しており、日常生活
だけでなく、旅行や軽いスポーツなども行え
るようになってきました。こうしたことから、
基本的に 60 歳以上の人にしか行われなかっ
た以前に比べ、どうしても必要なら若い人に
対しても行われるようになりました。
このように、現在では関節リウマチに対し
て、幅広い治療で症状を抑え、傷んだ関節を
補うこともできるようになってきました。治
療は今も進歩しており、今後さらに新しい治
療が登場して、症状を大きく改善させること
もありえるでしょう。患者さんもまた、十分
な知識を持ち、最新の治療を行える経験豊富
な医師を主治医として選ぶことが大切です。
良い医師による適切な治療を受け、QOL(生
活の質)を維持していきましょう。