酪農と農村地区の持続可能性

IDFホームページ/http://www.fil-idf.org/ファクトシートより
IDF文書を仮訳
IDFファクトシート2013年12月
酪農と農村地区の持続可能性
先進国、発展途上国にかかわらず農村地区の持続可能性に酪農は、世界的に大きく貢
献しています。環境的に生存できる酪農業が地区、地域およびその国全体の経済に貢
献します。
発展途上国では大半の生乳が小規模の酪農家により生産され、農村地区の雇用と食糧
確保に貢献しています。
酪農業はヨーロッパ、北米およびオセアニアにまたがる先進諸国の経済にも多大な貢
献をし、各国の雇用と輸出収益をもたらしています。
酪農業は農村地域に社会的な便益と自然資源の保護という役割も担っています。
地球全体の人口増加と発展途上国の所得向上とともに、乳製品需要が増える中で、将
来にわたって酪農乳業が農村地域の持続可能性に貢献する機会がますます多くなって
います。
農村社会に利益をもたらす酪農乳業
酪農業は農村地区の経済に大変有益な効果をもたらします。酪農乳業は雇用を創出し、
投資を誘引し、一連のサービス産業を引き寄せます。
食糧農業機構(FAO)によれば、発展途上国の農村地区で生産された生乳100リット
ルについて、処理と流通産業のかたちで5人分の雇用が創出されると推計されていま
す。オーストラリアでは、酪農生産者が稼いだ収入1ドルにつき、2.5ドルが地域
共同体の経済に寄与しています。酪農業はしばしば農村や過疎地域の人口を支え、学
校や保健施設ほかのインフラ設備を発展させ保持することに貢献しています。
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生計を支える
世界の酪農業は世界の食糧システムの重要な一部です。乳製品の供給は雇用を通じて
世界のすべての国民と地域共同体の生活を支えています。
酪農業は搾乳作業が労働集約型であるが故に、農場に係る雇用を相当量提供していま
す。乳を加工処理して乳製品をつくることも雇用機会をさらに創出しています。これ
らの雇用は大都市というよりも地域共同体にその基盤が有ります。
先進国、発展途上国の隔てなく、数百万のヒトが直接あるいは間接的にその生計を酪
農業に依存しています。世界的にみると、7億5千万人に相当する1億5千万の小規
模な酪農世帯が生乳生産に従事しています。
貧困の緩和
発展途上国では、乳は小規模な畜産農家の手っ取り早い収入源であり、家族世帯の食
糧確保にとって重要な要素です。
生乳生産、加工処理および流通を含むデイリーセクターは、小規模農家の発展と小規
模処理という点に照準を合わせれば貧困の緩和に向けた積極的な手段となります。
ケーススタディ:マラウイ MALAWI 地区の酪農生産者の収入を増やす
ランドオレーク社は、USAID からの補助金をもとにグローバルな開発組織であるマ
ラウイデイリー開発連盟を指導しています。マラウイ地区の農村酪農家の収入を増
やすことを目的にしています。
ベックウッドデイリー社は家畜の育種を行い、170戸を超える小規模農家に貯乳
設備を提供しています。シャイヤハイランズ乳生産協会に属する農家はこの設備に
生産乳を販売しています。
ベックウッドデイリー社は、小規模農家が妥当な価格で牛を所有することが可能と
なる革新的な方法、雌の子牛ローン計画を開発しました。Lilongwe Dairies 社はベ
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ックウッド社から牛を購入するためのローンを提供します。農家はバルク生乳段階
でローンを返済してゆきます。
この取組案件により、マラウイ地区の北部と中央部に位置する酪農場において乳牛
頭数の拡大を推進してゆきます。また農家の増収をはかり、この区域における消費
需要を満たすことにも繋がります。
雇用の誘致と維持
酪農業を成功に導くカギはヒトです。酪農業は大手の雇用者ですが、特に先進諸国で
は農家と処理業者が地域の中で適切な労働者の確保に喘いでいます。労働力を引き留
め魅力度を上げることは、酪農業の将来にとって世界的な課題であると言えます。
ケーススタデー:オーストラリアの酪農民
オーストラリアの酪農民計画は営農事業を成功に導くため、求職者の呼び込み、配
置、引き留め、能力向上について酪農家を支援するように設計されています。営農
の人的資源管理という側面から農家を支援するために様々な教材をオンラインで提
供しています。この計画は次のプロジェクトにも取り組んでいます。

人間的な問題について農家を支援するアドバイザーの能力向上をはかる

求職者に酪農の魅力を感じてもらい、酪農に継続的に従事させる業界全体の能力
向上を構築する

公共政策や集団的な投資に影響を与える指導力を発揮できるように、将来の生産
農家を育成する
ケーススタデー:乳および乳製品が貧困を緩和する
FAOの家畜健康部門(AGA)の乳および乳製品計画は、安全で効率的な畜産製
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品の生産、処理およびマーケティングの推進を通じて、会員国が畜産業の発達や貧
困を緩和する機会を活用できるように支援することを目的としています。
小規模な処理技術やマーケティング支援を通じて、小規模農家の生産技術および生
産能力の向上に焦点をあてています。主な強調点は、価値の付与、安全性の向上、
廃棄物の極小化、乳のマーケティングを行う集団の結成とその経営管理を支援する
ことです。
早見表
発展途上国では25億人
これらの内、15億人以
世界的には、750百万
のヒトが生計を農業に依存
上が2ヘクタール以下の農
人に相当する150百万の
している(世界銀行)
場で働く小規模農家(世界
小規模農家が乳生産に従事
銀行)
酪農生産者の85%以上
発展途上国では、100
畜産家畜は世界の多くの
が発展途上国の小規模農家
リットルの生乳について農
貧民層を含む10億人に収
(FAO)
村の雇用が5人創出
入、社会的地位および安全
を提供
翻訳:JIDF事務局
編者注:仮訳の全体は会員頁をご参照ください。仮訳の正確性、完全性、有用性等については
いかなる保証をするものではありません。参考資料として扱い、内容に疑義が生じた場合は英
文の原文をご確認ください。