2015 1.経済統合とは (1)経済統合の5段階説 第9講 表 バラッサによる経済統合の5段階説 (テキスト第12章) 経済統合のタイプ 経済発展と経済統合 概念 ( ) ・加盟国で貿易障壁を削減 ・非加盟国に対しては各国が個別に障 壁を設定 ( ) ・非加盟国に対して共通の障壁を設定 ( ) ・生産要素の域内自由移動 ( ) ・経済政策の協調 ( ) ・経済政策の完全な統合 ・超国家的機関の設置 統合度 低 高 2 1 表 主な諸国の地域経済統合の実態 日本 アジア 中南米 欧州 交渉中 EU アジア 中南米 韓国,パプアニューギニア メキシコ,チリ,コロンビア,ペルー,カリブ海諸国,コスタリカ,エル サルバドル,グアテマラ,ホンジュラス,ニカラグア,パナマ 欧州 中東 アフリカ アンドラ,ノルウェー,アイスランド,サンマリノ,スイス トルコ,ヨルダン,イスラエル,レバノン,シリア等 南ア,ジンバブエ,エジプト,モーリシャス,モロッコ,マダガスカル, チュニジア,アルジェリア,セイシェル アメリカ,カナダ,中国,日本,ASEAN,インド,南米南部共同市場 (MERCOSUR),湾岸協力理事会(GCC) 交渉中 アメリカ シンガポール,マレーシア,タイ,インドネシア,ブルネイ,ASEAN全 体,フィリピン,ベトナム,インド メキシコ,チリ,ペルー スイス 東アジア地域包括的経済連携(RCEP),環太平洋パートナーシップ (TPP),日中韓FTA,カナダ,EU,オーストラリア等 アジア 北米 中南米 シンガポール,韓国 カナダ チリ,コロンビア,コスタリカ,ドミニカ共和国,エルサルバドル,グア テマラ,ホンジュラス,メキシコ,ニカラグア,パナマ,ペルー 3 1.経済統合とは <世界の地域経済統合> ・自由貿易協定が発行済み:( )件(2013年9月時点) ・政府間交渉完了(批准まだ)ないし交渉中:( )件 ⇓ 多くは5段階説に当てはめると第1段階の自由貿易地域に過 ぎない。 <欧州連合(EU)> ・域内関税の撤廃+域外関税の共通化=単一市場(1992年) ⇓ 欧州中央銀行の設立(1998年) ユーロの導入(2002年)→ドイツ・マルク,フランス・フラン,イタリア・リラなど廃止 4 1.経済統合とは 1.経済統合とは <経済統合の段階> ・世界の地域経済統合は5段階のいずれかにあるとは限らない ・経済統合結成のきっかけも様々 (例) EUは,そもそも結成当初から経済政策の( )を意図していた。 →欧州石炭鉄鋼共同体(1951年):石炭と鉄鋼の資源を巡って独 仏間で戦争が繰り広げられた歴史を繰り返さない。 欧州原子力共同体(1957年):エネルギー安全保障と原子力エ ネルギーの平和利用を目的とする政策協調を意図した。 5 (2)世界の地域経済統合の特徴 <実態> ・自由貿易協定(FTA):財とサービスの貿易自由化 ・経済連携協定(EPA):( )や( )の自由化, ( 表 )の保護,( )政策のルール作りの促進も含む 地域経済統合の相手国の特徴(全体の件数に対する各ペアの割合) (注)地域経済統合同士の経済連携は次の4件である。①EU・中米諸国連合協定,②EFTA・ 南部アフリカ開発共同体(SADU)自由貿易協定,③アンデス共同体・MERCOSUR自由貿易協 定,④欧州経済領域(EEA)協定 地域経済統合の相手国 先進国+先進国 先進国+発展途上国 地域経済統合+先進国 地域経済統合+発展途上国 地域経済統合+地域経済統合 発展途上国+発展途上国 合計 割合(単位:%) 4.4 19.0 4.4 19.4 1.6 51.2 100.0 (全252件) (出所)JETRO資料(http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07001093/fta_ichiran_2012.pdf)より作成 6 1 2015 1.経済統合とは 1.経済統合とは ・発展途上国同士の二国間FTAが半数を占める →近隣国との間で締結している ・先進国と発展途上国とのFTAは全体の2割弱 ・地域経済統合と発展途上国とのFTAも全体の2割弱 →EUとの間など ・成立年により特徴が見られる。 →1970年代までに成立したFTAの4割程度は( )間 で実施。 近年成立したFTAの9割に( )が関わっている。 2000年以降成立したFTAの4割以上が( )横断的 である。 7 2.経済統合の根拠 ・地域経済統合の対世界貿易比は逓減している。 ⇓ 経済統合を結成しさえすれば良いということではない。 <課題> ・MERCOSUR →メンバー国間で貿易摩擦が発生している ・西アフリカ諸国経済共同体 →貿易自由化が実効性を伴わない ・東アフリカ共同体 →非関税障壁が残存している ・南アジア地域協力連合 →政治対立が貿易自由化を阻む 政権交代により南アジア自由貿易地域が成立 2.経済統合の根拠 (1)動学的根拠 域内諸国間で( 目的とする。 なぜ地域経済統合を締結するのか。 ⇓ 政治的動機:2つの大戦の反省から平和を実現する ため。 →欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC) 政治的動機:大国による経済支配から自国経済を守 るため。 →南アジア地域協力連合(SAARC) 経済的動機にはいかなるものがあるか。 )を通じて利益を創出することを 地域経済統合を締結する前, ・個々の国は線でのつながり。 ・個々の国の市場規模は国境に限定されるため小さい。 ⇓ ( )と( )は生じない。 9 2.経済統合の根拠 10 2.経済統合の根拠 地域経済統合を締結した後, ・個々の国は( )でのつながりになる。 ・市場は統合されるため,全体としての規模が拡大する。 ・産業調整に基づいて適切に工業配置をすれば規模の 経済が期待できる。 ⇓ 8 (2)静学的根拠 経済統合の前後で( )効果と( )効果がど のように変化するか,そしてその大小関係がどのように 変化するか。 関税同盟が国内で損益の分配を生じる。 肥料,石油化学,鉄鋼,資本 財など重工業 貿易創造効果( 意味がある。 規模の経済と分業が実現できる。 →合理的分業の利益 11 )貿易転換効果の時に経済統合の 12 2 2015 3.経済発展のための経済統合 3.経済発展のための経済統合 (1)世界貿易機関と発展途上国の利益 <GATT> ・1947年10月,大戦が経済のブロック化によって引き起こされ たとの反省に立って設立された。 ・目的:自由貿易の推進 ⇓ 目的実現のために基本原則(① ,② )の下 に関税引き下げ交渉を推進した。 数次にわたる関税引き下げ交渉( )で関税は平均 35%削減された。 ・関税が引き下げられたのは( )に限定された。 →途上国の主力輸出品は( )である。 先進国は農産物貿易を頑なに保護した。 ⇓ 発展途上国にとって,IMF=GATT体制は「強者の論理」で し かなかった。 13 3.経済発展のための経済統合 14 3.経済発展のための経済統合 さらに,世界経済の相互依存性の深化(人,カネの移動の活 発化)がGATTの限界を露呈する。 ⇓ GATTを発展的に解消する。 1995年に,世界貿易機関(WTO)を設立させた。 <WTO> ・対象:農産物,サービス,知的所有権, 貿易関連投資措置(TRIM) ・新規機能:貿易紛争処理機能 ⇓ 途上国にとってGATTよりWTOは恩恵になるはずであった。 15 3.経済発展のための経済統合 <課題> WTO体制下でも発展途上国は安堵できない。 ⇓ 途上国の経済的台頭が先進国を内向き化している。 →途上国は「不当な」状況下で工業生産を行っている。 その結果としての工業製品輸出はWTO違反であると主張。 ⇓ 先進国は頻繁に紛争処理調停をWTOに提訴している。 →貿易自由化の時間稼ぎ(WTOの悪用) ⇓ 「( )南北問題」 16 3.経済発展のための経済統合 (2)地域経済統合が利益を生む条件 動学的効果が期待でき,かつ,静学的効果が純益を生むことが期 待できる地域経済統合のための条件は何か。 ①締結相手国を( )(NTP)から選ぶこと。 <なぜか> ・NTPは基本的には近隣諸国が該当する。 ・そうした諸国とは伝統的にある程度の貿易を既に行っている。 ⇓ 地域経済統合はそうした関係を一層強化する。 →二国間貿易の流れに( )な変更を加えることにならない。 17 ②締結相手国が市場統合と政策協調に積極的であること。 <先進国と締結する場合> 相手国企業の進出が( )と( )に貢献す ることが見込まれるかどうか。 <発展途上国と締結する場合> 市場統合を通じて( )を発揮させることが見込まれる かどうか。 ⇓ 動学的効果の実現には( )に積極的であること。 政治的要因やイデオロギーが経済的論理を圧倒するダメ。 18 3
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