2次元の運動

物理学I
2次元の運動
2次元の運動
平面内を運動するような物体を考えると,
x軸だけでは話ができない。
位置・速度・加速度・力などをベクトルで表す
✓
◆
dx(t) dy(t)
~v (t) = (vx (t), vy (t)) =
,
~r(t) = (x(t), y(t))
dt
dt
✓
◆ ✓ 2
◆
2
dvx (t) dvy (t)
d x(t) d y(t)
~a(t) = (ax (t), ay (t)) =
,
=
,
2
dt
dt
dt
dt2
運動方程式もベクトルの方程式(連立方程式)になる
8
dvx (t)
! ✓ ◆
>
<m
dvx (t)
=
F
x
F
d~v (t)
x
dt
dt
~
m
=
m
=F
dvy (t)
Fy
>
dv
(t)
dt
y
:
dt
m
= Fy
dt
放物運動
水平な地面の上で,質量mの物体を斜めに投げあげる
単なる上下運動ではすまない
この運動を運動方程式を使って調べてみよう
投げられた物体に働く力
座標軸の設定: 投げ上げた点を原点にとり,水平方向にx軸,
鉛直方向にy軸をとる。
力を数式で表す: 空気抵抗等の影響は無視できると仮定し,
重力の作用だけを考える。
(空気の影響でカーブしたりするのであれば,その運動はxy
平面内にとどまらないので,もう1本軸が必要になる)
重力は
y
鉛直下向き
大きさが質量mに比例(比例係数g)
F~
x
F~ = (0, mg)
初期条件を書き出す
時刻t=0に(0,0)の位置から投げ上げる
座標軸の定義
y
~v
F~
v0
✓
x
速度について: v0という速さで,角度θの方向に投げたとする
y
~v (0) = (v0 cos ✓, v0 sin ✓)
~
v
v0 sin ✓
✓
v0 cos ✓
x
t=0のときの速度
運動を求める
運動方程式
d~v (t)
m
= F~
dt
F~ = (0, mg)
初期条件
t=0のとき
~r(0) = (0, 0)
~v (0) = (v0 cos ✓, v0 sin ✓)
8
dvx (t)
>
<m
=0
dt
>
:m dvy (t) = mg
dt
xとyが絡みあっていないので,x成分,y成分について
それぞれ別に解けばよい
8
2
d
x(t)
>
>
m
=
<
dt
2
d
y(t)
>
>
=
:m
dt
kx
(x2 + y 2 )3/2
ky
(x2 + y 2 )3/2
とかだと,多少大変
運動を求める
まずはx方向について解く
dvx (t)
m
=0
dt
dvx (t)
=0
mで割る dt
両辺をtで積分すると
vx (t) =
Z
0dt = C
t=0のときにvx(t)=v0cosθとなるには,
vx (0) = C = v0 cos ✓
よって, vx (t) = v0 cos ✓
x方向は速度が一定
(加速度が0であることからもこうなることはすぐに分かる)
運動を求める
=
vx (t) = v0 cos ✓
dx(t)
= v0 cos ✓
dt
もう一度両辺をtで積分する
Z
0
x(t) = v0 cos ✓dt = v0 t cos ✓ + C
0
初期条件から, x(0) = 0 + C = 0
よって, x(t) = v0 t cos ✓
運動を求める
次にy方向について解く
dvy (t)
dvy (t)
m
= mg
= g
dt
dt
mで割る
単なる鉛直投げあげの場合と同じ形の式
Z
両辺をtで積分すると, vy (t) =
( g)dt =
gt + C
初期条件より,vy (0) = 0 + C = v0 sin ✓ となり,
vy (t) = gt + v0 sin ✓
=
dy(t)
=
Z dt
gt + v0 sin ✓
g 2
0
t + v0 t sin ✓ + C
もう一度積分 y(t) = ( gt + v0 sin ✓)dt =
2
g 2
0
初期条件より y(0) = C = 0 だから,y(t) = 2 t + v0 t sin ✓
結果
初期条件
運動方程式
✓
◆
d~v
0
m
=
mg
dt
t=0のとき
~r(0) = (0, 0)
~v (0) = (v0 cos ✓, v0 sin ✓)
運動方程式を積分して解いた
~v (t) =
✓
v0 cos ✓
gt + v0 sin ✓
◆
~r(t) =
✓
v0 t cos ✓
g 2
t
+
v
t
sin
✓
0
2
◆
x方向は等速度運動,y方向は重力のもとでの鉛直投げ上げ
これらを組合せたような運動になっている
放物運動の軌道
この物体の位置に注目する。座標で表すと,
(
x(t) = v0 t cos ✓
g 2
y(t) =
t + v0 t sin ✓
2
これらの式からtを消去する。tをxで表すと,
x
t=
v0 cos ✓
y=
=
これをyの式に代入して,
✓
◆2
g
x
x
+ v0 sin ✓ ⇥
2 v0 cos ✓
v0 cos ✓
g
sin ✓
2
x +
x
2
2
2v0 cos ✓
cos ✓
xとyの関係式が得られた!
放物運動の軌道
グラフを描いてみる。
g
sin ✓
2
y=
x
+
x
2
2v0 cos2 ✓
cos ✓
g,v0,θは正の定数。
yはxの2次式かつx2の係数が負なので,これは上に凸の
放物線になる。 ✓
◆2
2
2
2
g
v0 sin ✓ cos ✓
v0 sin ✓
y=
x
+
より,
2
2
2v0 cos ✓
g
2g
✓ 2
2 ◆
2
v0 sin ✓ cos ✓ v0 sin ✓
,
頂点の座標は,
g
2g
✓
◆
g
2v02 sin ✓ cos ✓
x
x
一方, y =
だから,
2
2
2v0 cos ✓
g
2v02 sin ✓ cos ✓
x = 0,
でx軸を横切る
g
放物運動の軌道
y
2
2v0
2
sin ✓
g
実際の物体の動きを
投げあげられた物体は,
物体の軌道という
この線に沿って飛んでいく
v02 sin ✓ cos ✓
g
2v02 sin ✓ cos ✓
g
x
運動の考察
投げ上げの角度を変えると,軌道が変化する
y
x
一番遠くまで飛ぶ角度は?
運動の考察
角度がθのときの飛距離は
L=
2
2v0
これを少し変形すると,
sin ✓ cos ✓
g
sin 2✓ = 2 sin ✓ cos ✓
2v02 sin ✓ cos ✓
v02 sin 2✓
L=
=
g
g
三角関数の性質から,
1  sin 2✓  1
ゆえに,sin2θ=1のときがLが最大。
⇡
v02
すなわち, ✓ =
のときに最大値 L =
となる。
4
g