講演タイトル:脂肪細胞分化に伴う脂肪滴蓄積及び細胞内酸化ストレス増大に対する水 酸化フラーレンの防御効果 メタボ症候群の予防治療薬への新素材“フラーレン-C60”~ 県立広島大生命環境 ○水野宏美 県立広島大生命環境, NEDO フラーレンプロジェクト 斉藤靖和、三羽信比古 NEDO フラーレンプロジェクト Xiao Li ビタミン C60 バイオリサーチ(株) 青島央江、山名修一 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の初発原因である“脂肪細胞内部の過 剰な脂肪滴蓄積”は、細胞内部の“酸化ストレス”が引き金となり、さらに、“酸化ス トレスを軽減する薬剤”で防御しうることを当研究チームは今回見出しました。我々は、 脂肪細胞が細胞内に巨大な脂肪滴を貯留し肥大化すると同時に、スーパーオキシドなど の活性酸素が細胞内でも核より細胞質で著増するという“酸化ストレスのミクロ分布” を示しました。この時、活性酸素を捕捉するπ-電子を豊富に持つナノテク素材フラー レンC60(サッカーボール状分子)の超高度水酸化体(分子内 44 カ所の水酸化)を投与す ることにより、細胞内脂肪滴が著減すると共に活性酸素も大幅に抑制されました。一方、 活性酸素の捕捉力に劣る低度水酸化フラーレン(9〜12 カ所の水酸化)では脂肪滴抑制 もわずかでした。ヒト皮膚モデル培養系でも同様な結果で、脂肪滴由来のセルライト(皮 膚表面凸凹形状脂肪塊)も抑制されました。高純度フラーレンC60は医薬向けGLPでの厳 格な安全性試験にも合格しており、その超高度水酸化体はメタボ症候群予防治療薬に向 けた新規の素材カテゴリーとして期待されます。
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