高3数 γ No. 付録 問の解答 (夏期講習/柳生) 2014

高3数 γ
No. 付録
問の解答
(夏期講習/柳生)
2014//
備考:解答中,数値計算について詳細な過程は省略する.
問1
n は 2 より大きい整数とする.次の不等式を示せ.
! 1
! 1
2
√
dx
1
dx
π
√
√
(1) log (1 + 2) <
<
1
(2)
<
<
n
n
2
6
1−x
1+x
0
0
(解)
1
1
!√
! 1 2
1 + xn
1+x
が成り立つ.各辺を [0, 1] において積分すると,等号は恒等的には成り立たないから,
(1) n は 2 より大きいから,閉区間 [0, 1] において,0 ! xn ! x2 よって √
!
!
1
0
dx
√
<
1 + x2
!
1
0
dx
√
<
1 + xn
!
1
dx
0
! 1
√
dx
√
が成り立つ.
= log (1 + 2),
dx = 1 より不等式がしたがう.
(証明終)
1 + x2
0
0
1
1
1
√
(2) n は 2 より大きいから,閉区間 [ 0, ] において,0 ! xn ! x2 よって 1 ! √
!
2
1 − xn
1 − x2
1
が成り立つ.各辺を [ 0, ] において積分すると,等号は恒等的には成り立たないから,
2
1
!
が成り立つ.
問2
!
1
2
0
1
dx = ,
2
!
1
2
0
√
1
2
dx <
0
!
1
2
0
dx
√
<
1 − xn
!
1
2
0
√
dx
1 − x2
dx
π
= より不等式がしたがう.
(証明終)
2
6
1−x
a < b とする.任意の実数 t について,不等式
!
b
a
{tf (x) + g(x)}2 dx " 0 が成り立つことと,こ
の左辺の定積分の値が t の 2 次式であることを利用して,次の不等式を証明せよ.
"!
b
a
% $! b
%
# 2 $! b
2
2
f (x)g(x)dx !
{f (x)} dx
{g(x)} dx
a
a
(解)
! b
! b&
'
2
2 2
2
{tf (x) + g(x)} dx =
{f (x)} t + 2f (x)g(x)t + {g(x)} dx
a
a %
$! b
$! b
%
$! b
%
2
2
2
=
{f (x)} dx t + 2
f (x)g(x)dx t +
{g(x)} dx " 0
a
a
a
が任意の実数 t について成り立つことから,この t の 2 次式の判別式は 0 以下である.よって
"!
b
a
% $! b
%
# 2 $! b
2
2
f (x)g(x)dx −
{f (x)} dx
{g(x)} dx ! 0
a
が成り立つことから不等式がしたがう.
(証明終)
a
問3
自然数 n に対し,In =
!
1
xn ex dx とおく.
0
(1) In と In+1 の間に成り立つ関係式を求めよ.
e
(2) In <
を示せ.
n+1
e
(3)
< In を示せ.
n+2
(4) lim n(nIn − e) を求めよ.
n→∞
(解)
(1) In+1 =
!
1
x
n+1 x
e dx =
0
(
x
n+1 x
e
)1
0
−
!
1
0
(n + 1)xn ex dx = e − (n + 1)In ∴In+1 = e − (n + 1)In
(2) ex は単調増加関数なので,閉区間 [0, 1] において ex ! e,したがって xn ex ! xn e が成り立つ.
! 1
! 1
n x
これを [0, 1] で積分すると,等号は恒等的には成立しないので
x e dx <
xn edx が成り立つ.
0
0
e
よって In <
が成り立つ.
(証明終)
n+1
e
e
(3) (1),(2) より e − (n + 1)In = In+1 <
であり,これより
< In が成り立つ.
(証明終)
n+2
n+2
ne
ne
(4) (2),(3) より
< nIn <
が成り立ち,両端は n → ∞ のとき e に収束するから,はさみうち
n+2
n+1
の原理より lim nIn = e · · · %
1.
n→∞
また,(1) より nIn − e = −In − In+1 なので,
lim n(nIn − e) = lim n(−In − In+1 ) = lim
n→∞
問4
n→∞
n→∞
n を自然数とし,In =
!
e
$
%
n
−nIn − (n + 1)In+1 ·
= −e − e · 1 = −2e
n+1
(log x)n dx とおく.
1
(1) In+1 を In を用いて表せ.
e−1
(n + 1)e + 1
(2) すべての n に対して
! In !
が成り立つことを示せ.(平成 6 年 京大)
n+1
(n + 1)(n + 2)
(解)
! e
(
)e ! e
1
n+1
n+1
(1) In+1 =
(log x) dx = x(log x)
−
x · (n + 1)(log x)n dx
x
1
1
1
! e
n
= e − (n + 1)
(log x) dx = e − (n + 1)In
1
(2) 閉区間 [1, e] において 0 ! log x ! 1 なので (log x)n+1 ! log x が成り立つ.
これを [1, e] で積分すると
!
e
In+1 =
(log x)
1
n+1
dx !
!
e
1
log xdx = 1 ∴In+1 ! 1
よって (1) より,e − (n + 1)In ! 1 ∴
e−1
! In
n+1
$
%n
x−1
x−1
(別解) [1, e] において
! log x したがって ! (log x)n が成り立つ.
e−1
e−1
これを
$ e] で積分すると
%n
! e[1,
! n
x−1
e−1
dx =
!
(log x)n dx = In
e−1
n+1
1
1
e−1
e−1
! In+1 なので,(1) より ! e − (n + 1)In
n+2
n+2
(n + 1)e + 1
よって In !
(証明終)
(n + 1)(n + 2)
これより
!
π
2
sin2 nx
dx を求めよ.(平成 11 年 東工大)
n→∞ 0
1+x
! π 2
! π
! π
! π
2 sin nx
2 1 − cos 2nx
2
dx
1 2 cos 2nx
(解)
dx =
dx =
−
dx ここで,
1+x
2(1 + x)
2 0 1+x
0
0
0 2(1 + x)
! π
(1
) π2 1
&π
'
2
dx
=
log (x + 1)
= log + 1
2
2
2
0
0 2(1 + x)
%
π $
! π
!
! π
π
( 1 sin 2nx ) 2
2 cos 2nx
2
2 sin 2nx
1
sin 2nx
1
dx =
·
−
−
dx
=
dx = In とおく
1+x
1+x
2n
(x + 1)2
2n
2n 0 (x + 1)2
0
0
0
問5
極限値 lim
1
sin 2nx
1
−1 ! sin 2nx ! 1 であるから −
!
!
2
2
(x + 1)
(x + 1)
(x + 1)2
! π
! π
2
2
1
dx
1
dx
よって −
!
I
!
で,両端は n → ∞ のとき 0 に収束するから,はさ
n
2
2n 0 (x + 1)
2n 0 (x + 1)2
! π 2
&π
'
2 sin nx
1
みうちの原理より lim In = 0 ゆえに, lim
dx = log + 1
n→∞
n→∞ 0
1+x
2
2
問6
a < b とする.f (x) は実数全体で微分可能で,かつ導関数 f # (x) は実数全体で連続とする.
(1) a ! x とするとき,次の不等式を示せ.
|f (x) − f (a)| !
!
x
a
|f # (t)|dt
(2) f (a) = f (b) = 0 とする.a ! x ! b を満たす任意の x に対し,次の不等式が成り立つことを示せ.
1
|f (x)| !
2
!
b
a
|f # (t)|dt
(解) (1) 閉区間 [a, x] で − |f (t)| ! f (t) ! |f (t)| が成り立つから,各辺を積分して
−
を得る.これより
である.
(証明終)
!
x
a
!
x
a
|f (t)|dt !
#
*!
*
|f (t)|dt " *
x
#
a
!
x
a
f (t)dt !
#
!
x
a
|f # (t)|dt
* *(
)x *
* *
*
f (t)dt* = * f (t) * = |f (x) − f (a)|
#
a
 ! x


|f # (t)|dt " |f (x) − f (a)| = |f (x)|

!a b
(2) a ! x ! b のとき,(1) より
である.

#

|f (t)|dt " |f (b) − f (x)| = |f (x)|

x!
! x
! b
b
#
#
これらの和をとると,
|f (t)|dt +
|f (t)|dt =
|f # (t)|dt " |f (x)| + |f (x)| = 2|f (x)|
a
x
a
!
1 b #
よって |f (x)| !
|f (t)|dt が成り立つ.
(証明終)
2 a
1
とする.
1 + x2
(1) y = f (x) のグラフの凸性を調べよ.
√
(2) π > 3.1 を示せ.ただし, 3 = 1.73 · · · である.
−2x
2(3x2 − 1)
##
#
(解) (1) f (x) =
, f (x) =
(1 + x2 )2
(1 + x2 )3
1 1
1
1
よって,y = f (x) のグラフは x ! − √ , √ ! x で下に凸,− √ ! x ! √ で上に凸である.
3 3
$ 3
%3
(
1 )
1
12
√ ,
(2) (1) より 0, √ で y = f (x) は上に凸なので,2 点 (0, 1),
を通る直線を y = l1 (x), 2 点
2 3 /13
$
% $3
%
0
1
12
1 3
1
√ ,
, √ ,
を通る直線を y = l2 (x) とおくと,閉区間 0, √ において f (x) " l1 (x),
2 3 / 13
2 3
03 4
1
1
√ , √ において f (x) " l2 (x) が成り立つ.
閉区間
2 3
3
したがって,
√
$
%
$
%
! √1
3
π
dx
1 1
12
1 1 12 3
187 3 187 · 1.73
=
> · √ 1+
+ · √
+
=
>
= 0.5184 · · · > 0.518
6
1 + x2 2 2 3
13
2 2 3 13 4
624
624
0
よって,π > 6 × 0.518 = 3.108 > 3.1(証明終)
.y
問7
f (x) =
.12
13
.1
.34
.
.O . √1 .√1
2 3 3
.x
問8
正の実数 a, b, p に対して,A = (a + b)p と B = 2p−1 (ap + bp ) の大小関係を調べよ.
(平成 11 年 東工大)
1$
%p
2
a+b
ap + bp
(解) A − B = (a + b) − 2 (a + b ) = 2
−
2
2
$
%p
p
p
a+b
a +b
よって と の大小関係を調べればよい.
2
2
p
p−1
p
p
p
$
%
a + b ap + bp
曲線 C : y = x (x " 0) 上の 2 点 A(a, a ) と B(b, b ) およびその中点 M
,
,さらに
2
2
$
$
%p %
a+b a+b
T
,
を考えると,
2
2
$
%p
a+b
ap + b p
(i) 0 < p < 1 のとき C は上に凸だから,T は M の上方にある.よって
>
2
2
$
%p
p
p
a+b
a +b
(ii) p = 1 のとき
=
2
2
$
%p
a+b
ap + bp
(iii) 1 < p のとき C は下に凸だから,T は M の下方にある.よって
<
2
2
p
p
p
以上より (答)0 < p < 1 のとき A > B ,p = 1 のとき A = B ,1 < p のとき A < B
問9
π
π
実数 a, b (0 ! a < , 0 ! b < ) に対し,次の不等式が成り立つことを示せ.
4
4
√
tan a · tan b ! tan
a+b 1
! (tan a + tan b)
2
2
(平成 3 年 京都大)
π
π
(解) a または b が 0 に等しいとき不等式は明らかに成り立つので,0 < a < , 0 < b < とする.
4 $
4
%
π
a + b tan a + tan b
(i) C1 : y = tan x (0 < x < ) とする.A(a, tan a), B(b, tan b) とし,AB の中点 M
,
,
2
2
$
% 4
a+b
a+b
さらに T
, tan
とおく.C1 は下に凸なので,M は T の上方にある.
2
2
tan a + tan b
a+b
したがって
" tan
が成り立つ.
2
2
π
2
−4 cos 2x
(ii) C2 : y = log tan x (0 < x < ) とする.y # =
, y ## =
< 0 なので,y ## < 0.よって C2
4
sin 2x
sin2 2x
は上に凸である.
$
%
a + b log tan a + log tan b
A(a, log tan a), B(b, log tan b) とし,AB の中点 M
,
,
2
2
$
%
a+b
a+b
さらに T
, log tan
とおく.C2 は上に凸なので,M は T の下方にある.
2
2
log tan a + log tan b
a+b
! log tan
2
2
√
√
a+b
a+b
⇐⇒ log tan a · tan b ! log tan
⇐⇒
tan a · tan b ! tan
が成り立つ.
2
2
以上で示された.
(証明終)
したがって
問 10
正の実数 a, b, c が a + b + c = 1 を満たしているとき,
√
√
√
3
3
a 1+b−c+b31+c−a+c 1+a−b!1
を示せ.
(解) 曲線 C : y =
√
3
x (x > 0) は上に凸である.
√
√
√
曲線上の 3 点 A, B, C を A(1 + b − c, 3 1 + b − c) B(1 + c − a, 3 1 + c − a), C(1 + a − b, 3 1 + a − b)
−→
−→
−→
−→
とし,OP = a OA + b OB + c OC によって点 P を定める.
a(1 + b − c) + b(1 + c − a) + c(1 + a − b) = a + b + c = 1
√
√
√
であるから,P(1, a 3 1 + b − c + b 3 1 + c − a + c 3 1 + a − b) である.さらに曲線上で x 座標が 1 の点,
すなわち (1, 1) を点 T とおく.C は上に凸であるから, 点 T は点 P より上方にある.ゆえに
√
√
√
3
3
a 1+b−c+b31+c−a+c 1+a−b!1
が成り立つ.
(証明終)
問 11
x1 , x2 , · · · , xn を実数,n を自然数とする.このとき
n
n
3
k=1
xk 2 −
4
n
3
xk
k=1
52
"0
が成立することを示せ.(平成 16 年 明治大)
2
(解) 曲線 C : y = x2 とする.C は下に凸である.
個の点
4 n C 上の n
5 Pk (k = 1, 2, · · · , n) を Pk (xk , xk )
n
13
13 2
と定め,これらの点の重心を G とする.G
xk ,
x と表される.G と x 座標を同じくする
n k=1
n k=1 k

4 n
52 
n
3
3
1
1
C 上の点を T とする.T 
xk ,
xk  と表される.C は下に凸なので,T は G の下方にあ
n k=1
n k=1
る.ゆえに
n
13 2
x "
n k=1 k
が成り立ち,したがって
n
n
3
k=1
が成り立つ.
(証明終)
xk 2 −
4 n
52
13
xk
n k=1
4
n
3
k=1
xk
52
"0
問 12
正の数 x1 , x2 , · · · , xn が x1 x2 · · · xn = 1 を満たすとする.このとき,x1 + x2 + · · · + xn " n
であることを示せ.
(解) 曲線 C : y = ex とする.C は下に凸である.C 4
上の n 個の点 Pk (k5= 1, 2, · · · , n) を
n
n
13
13
Pk (log xk , xk ) と定め,これらの点の重心を G とする.G
log xk ,
xk と表される.
n k=1
n k=1
4
5
n
n
13
log (x1 x2 · · · xk ) log 1
13
ここで log xk =
=
= 0 より,G 0,
xk である.
n k=1
n
n
n k=1
C 上の x 座標が 0 である点を T とする.すなわち T(0, 1) である.C は下に凸なので,T は G より下方
にある.よって
が成り立つ.
(証明終)
問 13
n
13
xk " 1 ⇐⇒ x1 + x2 + · · · + xk " n
n k=1
実数 α1 , α2 , · · · , αn はすべて正で,α1 + α2 + · · · + αn = π を満たすものとする.このとき,
sin α1 sin α2 · · · sin αn の最大値を求めよ.
(解) 曲線 C : y = log sin x (0 < x < π) とする.C は上に凸である(例題48 参照).C 上の n 個の点
5
n
n
13
13
Pk (αk , log sin αk ) (k = 1, · · · , n) をとり,これらの重心を G とする.G
αk ,
log sin xk
n k=1
n k=1
である.
$
%
3
π 1
α1 +· · ·+αn = π,
log sin αk = log (sin α1 sin α2 · · · sin αn ) より,G , log (sin α1 sin α2 · · · sin αn )
n n
k=1
と表される.
π
C 上で x 座標が である点を T とする.C は上に凸なので,T は G よりも上方にある.したがって
n
1
π
π
log (sin α1 sin α2 · · · sin αn ) ! log sin ⇐⇒ sin α1 sin α2 · · · sin αn ! sinn
n
n
n
π
π
が成り立つ.α1 = · · · = αn = のとき等号は成立するので,求める最大値は sinn である.
n
n
問 14
|x| が十分小さいとき,次の関数の近似式を作れ.
√
(1) f (x) = 1 + x
(2) f (x) = ex
(3) f (x) = tan x
(解)
(x = 0 における接線が一次近似式となる.
)
√
1
(1) 1 + x # 1 + x
2
(2) ex # 1 + x
(3) tan x # x
問 15
(解)
球の半径が 1%増加するとき,球の体積と表面積はそれぞれ何%増加するか.
4
球の半径が x のときの体積,表面積をそれぞれ V (x) = πx3 , S(x) = 4πx2 と表す.
3
半径 x が r に近いのときの体積の 1 次近似式は V (x) # V (r) + 4πr2 (x − r) であるから,
V (x) − V (r) 4πr2 (x − r)
x−r
#
=3
より,体積は半径の増加割合の 3 倍の割合で増加する.よって
4 3
V (r)
r
πr
3
半径が 1% 増加するとき,体積は 3% 増加する.
同様に,半径 x が r に近いときの表面積の 1 次近似式は S(x) # S(r) + 8πr(x − r) であるから,
S(x) − S(r) 8πr(x − r)
x−r
#
=2
より,表面積は半径の増加割合の 2 倍の割合で増加する.よって
2
S(r)
4πr
r
半径が 1% 増加するとき,表面積は 2% 増加する.
問 16
関数 f (x) がつねに f ## (x) > 0 をみたしているものとする.また,n 個の正数 a1 , a2 , · · · , an
の相加平均を A とする.
(1) p を定数とするとき,すべての x に対して,f (x) " f (p) + f # (p)(x − p) を示せ.
n
13
(2) n 個の実数 b1 , b2 , · · · , bn に対して
f (bk ) " f (B) を示せ.ただし B は b1 , b2 , · · · , bn の相加
n k=1
平均である.
√
(3) A " n a1 · a2 · · · · · an を示せ.
(平成 7 年 京都教育大 改)
(解)
(1) g(x) = f (x) − f (p) − f # (p)(x − p) とおく.g # (x) = f # (x) − f # (p), g ## (x) = f ## (x) (∵ 仮定による)
ゆえに g # (x) は狭義単調に増加する関数であり,x < p で g # (x) < 0, x = p で g # (p) = 0,p < x で
g # (x) > 0 である.よって,g(x) は x = p で極小かつ最小値 g(p) = 0 をとる.したがってすべての x に
対して g(x) " 0 であり,題意は示された.
(証明終)
(2) p = B とし,x = b1 , · · · , bn に対して (1) の不等式の辺々の和をとると
n
3
f (bk ) " nf (B) + f (B)
#
k=1
4
n
3
k=1
bk − nB
5
n
n
13
13
= nf (B) (∵ B =
bk ) ⇐⇒
f (bk ) " f (B)
n k=1
n k=1
が成り立つ.
(証明終)
(3) f (x) = ex とおくと,f ## (x) = ex > 0 (∀x ∈ R) であるから (2) の不等式が適用できる.
そこで bk = log ak として (2) の不等式に代入すると
n
log a1 +···+log an
log (a1 ·a2 ·····an )
√
1 3 log ak
a1 + · · · + an
n
n
e
" eB ⇐⇒
"e
=e
= n a1 · a2 · · · · · an
n k=1
n
⇐⇒ A "
√
n
a1 · a2 · · · · · an が成り立つ.
(証明終)
備考:これで n 変数の場合の相加相乗平均の関係を示したことになる.
問 17
!
π
0
ex sin2 xdx > 8 であることを示せ.ただし,π = 3.14 · · · は円周率,e = 2.71 · · · は自然対
数の底である.(平成 11 年 東京大)
! π
! π
!
!
1 π x
1 π x
x
2
x 1 − cos 2x
(解)
e sin xdx =
e
dx =
e dx −
e cos 2xdx
2 0
2 0
0
0
! π
! π2
eπ − 1
ここで
ex dx = eπ − 1,
ex cos 2xdx =
(詳細略) であるから
5
0
0
! π
1
1 eπ − 1 2eπ − 2
ex sin2 xdx = (eπ − 1) − ·
=
2
2
5
5
0
2eπ − 2
> 8 ⇐⇒ eπ > 21 であるから,eπ > 21 を示せばよい.
5
曲線 C : y = ex とおくと,C は下に凸であるから,x = 3 における接線 l : y = e3 (x − 3) + e3 = e3 (x − 2)
よりも C は上方にある.ゆえに任意の実数 x に対して
ex " e3 (x − 2)
が成り立つ.ここで x = π とすると eπ " e3 (π − 2) > 2.73 (3.1 − 2) = 21.6513 > 21 ∴eπ > 21
これで題意は示された.
(証明終)
問 18
1
" −x + 1 が成立することを示せ.
1+x
1
(2) 任意の実数 x に対して
" −x2 + 1 が成立することを示せ.
1 + x√2
(3) π > 3.07 を示せ.ただし, 3 = 1.73 · · · である.
(1) −1 < x において
(解)
1
は下に凸なので,x = 0 における接線 l : y = −x + 1 よりも C は
1+x
1
上方にある.ゆえに −1 < x なる任意の実数 x に対して
" −x + 1 が成り立つ.
(証明終)
1+x
備考:もちろんもっと素朴に代数的に示すことができるが,ここでは凸性を利用した解法をとった.
(1) −1 < x において曲線 C : y =
1
" −x2 + 1 を得る.
(証明終)
1 + x2
備考:すでに得られた不等式の変数を他の形に置き換えて新たな不等式を得る手法はしばしば有効であ
(2) x2 > −1 であるから,(1) の x を x2 とおきかえて
る.記憶しておくとよい.
/
0
1
(3) (2) の不等式を閉区間 0, √ において積分すると,等号は恒等的には成り立たないから
3
!
√1
3
0
dx
>
1 + x2
!
√1
3
0
√ √
√
√
π
3 3 8 3
16 3 16 · 1.73
(−x +1)dx ⇐⇒ > − + =
⇐⇒ π >
>
= 3.075 · · · > 3.07
6
27 3
27
9
9
2
よって π > 3.07 である.
(証明終)
問 19
次の各不等式を証明せよ.
(1) x > 0 のとき,log x ! x − 1
! 1
2
π
2
(2) <
e−x dx <
3
4
0
(解)
(1) 曲線 C : y = log x (x > 0) は上に凸なので,x = 1 における接線 l : y = x − 1 よりも C は下方にあ
る.ゆえに 0 < x なる任意の実数 x に対して log x ! x − 1 が成り立つ.
(証明終)
(2) 任意の実数 x に対して e−x > 0 であるから,(1) の不等式の x を e−x と置き換えると
2
2
2
2
log e−x ! e−x − 1 ⇐⇒ 1 − x2 ! e−x
2
が成り立つ.また,任意の実数 x に対して ex > 0 であるから,(1) の不等式の x を ex で置き換えると
2
2
2
2
2
log ex ! ex − 1 ⇐⇒ x2 + 1 ! ex
2
⇐⇒ e−x !
x2
1
+1
が成り立つ.これらの不等式の等号は恒等的には成立しないので,各辺を [0, 1] で積分すると
!
1
2
0
(1 − x )dx <
!
1
e
0
−x2
dx <
!
1
0
1
2
⇐⇒ <
2
x +1
3
!
1
2
e−x dx <
0
π
4
を得る.
(証明終)
問 20
定理 7 の sin x, cos x についての主張を証明せよ.
(証明)
実数 x を 1 つ固定し,p2n−1 (x) = x −
x3 x5
(−1)n−1 x2n−1
+ − ··· +
とおく.
3! 5!
(2n − 1)!
dn
任意の実数 t に対して, n(sin t) ! 1 である.よって,テイラーの定理より
dt
|x|2n |x|2n
0 ! | sin x − p2n−1 (x)| ! 1 ·
=
(2n)! (2n)!
が成り立つ.x = 0 のとき最右辺は 0 に等しく,そうでないとき,|x| を下回らない最小の整数を k (> 0)
とおくと
が成り立つ.
|x|2n
k 2n
kk · k · k · · · k
!
=
(2n)! (2n)! k!(k + 1)(k + 2) · · · (2n)
$
%$
%
$ %
$
%2n−k
kk
k
k
k
kk
k
=
···
!
−→(n→∞) 0
k! k + 1
k+2
2n
k! k + 1
ゆえに,はさみうちの原理より lim | sin x − p2n−1 (x)| = 0 ⇐⇒ sin x =
n→∞
x は任意であったから,これで示された.
(証明終)
備考:cos x についてはこれとまったく同様であるから,省略する.
∞
3
(−1)n−1 x2n−1
n=1
(2n − 1)!
が成り立つ.
問 21
自然数 n に対し,多項式 fn (x) を以下の式で定義する.
fn (x) = 1 +
x x2
xn
+ + ··· +
1! 2!
n!
以下のことを示せ.
・n が偶数のとき,方程式 fn (x) = 0 は実数解を持たない.
・n が奇数のとき,方程式 fn (x) = 0 はただ 1 つの実数解を持つ.
(解) 数学的帰納法で示す.
(i) n = 1 のとき f1 (x) = 1 + x = 0 の解は x = −1 のみであるから,成立する.
(ii) n = k (" 1) で題意が成立すると仮定する.
n = k + 1 のとき
#
fk+1
(x) = 1 +
x
xk
+ · · · + = fk (x)
1!
k!
#
であるから,帰納法の仮定より,fk+1
(x) = fk (x) = 0 は
:
k + 1 : 偶数 ⇐⇒ k : 奇数 のとき,ただ1つの実数解を持つ.· · · %
1
k + 1 : 奇数 ⇐⇒ k : 偶数 のとき,実数解を持たない.· · · %
2
%
1 のとき ただ 1 つの実数解を x = α とすると,fk (α) = 0, lim fk (x) = −∞, lim fk (x) = +∞ よ
x→−∞
り,fk+1 (x) は x = α で極小かつ最小値 fk+1 (α) をとる.ここで
fk+1 (α) = fk (α) +
x→∞
αk+1
αk+1
=
>0
(k + 1)! (k + 1)!
であるから,任意の x について fk+1 (x) > 0 であり,fk+1 (x) = 0 は実数解を持たない.
#
%
(x) = fk (x) = 0 は実数解を持たず,任意の x について fk (x) > 0 であるから,fk+1 (x)
2 のとき fk+1
は狭義単調増加関数である. lim fk+1 (x) = −∞, lim fk+1 (x) = +∞ であるから,fk+1 (x) = 0 はた
だ 1 つの実数解を持つ.
x→−∞
x→∞
したがって,n = k + 1 のときも題意が成立する.これで示された.
(証明終)
問 22
(1) x " 0 のとき,次の不等式を示せ.
x−
x3
x3 x5
! sin x ! x − +
3!
3! 5!
(2) 曲線 y = sin x (0 ! x ! π) と x 軸で囲まれた図形を x 軸のまわりに 1 回転してできる立体を考え
る.この立体を x 軸に垂直な 2n − 1 個の平面によって体積が等しい 2n 個の部分に分割する.ただし n
は 2 以上の自然数である.
2n − 1 個の平面と x 軸との交点の x 座標のうち最も小さいものを bn とする.数列 {np bn } が n → ∞ のと
き 0 でない有限の値に収束するような実数 p の値を求めよ.また,p をそのようにとったとき lim np bn
を求めよ.(平成 15 年 東京大 後期)
n→∞
(解)
(1) x " 0 とする.
cos t ! 1 の両辺を [0, x] で積分すると
!
!
x
x
cos tdt !
dt ⇐⇒ sin x ! x
! x 0
! x
x2
sin t ! t (t " 0) の両辺を [0, x] で積分すると
sin tdt !
tdt ⇐⇒ 1 − cos x !
2
0
0
t2
1 − cos t !
(t " 0) の両辺を [0, x] で積分すると
! x 2
! x 2
t
x3
x3
(1 − cos t)dt !
dt ⇐⇒ x − sin x !
⇐⇒ x − ! sin x · · · %
1
3!
3!
0
0 2
t3
t − ! sin t (t " 0) の両辺を [0, x] で積分すると
3! ! x $
%
! x
t3
x2 x 4
t−
dt !
sin tdt ⇐⇒
− ! 1 − cos x
3!
2 4!
0
0
t2 t4
− ! 1 − cos t (t " 0) の両辺を [0, x] で積分すると
2 4! ! x $
%
! x
t2 t4
x3 x5
x 3 x5
−
dt !
(1 − cos t)dt ⇐⇒
− ! x − sin x ⇐⇒ sin x ! x − +
2 4!
3! 5!
3! 5!
0
0
%,
%
より,示された.
(証明終)
1 2
0
(2) 問題の立体の体積 V は
V =π
!
π
2
sin xdx = π
0
!
π
0
したがって,bn の定義より
π
!
bn
2
sin xdx = π
0
bn は正の数なので,(1) より
( 2x − sin 2x )bn
4
0
( 2x − sin 2x )π π 2
1 − cos 2x
dx = π
=
2
4
2
0
2bn − sin 2bn π 2
π
=π
=
⇐⇒ 2bn − sin 2bn =
4
4n
n
(2bn )3 (2bn )5
π (2bn )3
−
! 2bn − sin 2bn = !
3!
5!
n
3!
4b3n 5 − b2n π 4b3n
3π
3π
5
·
! !
⇐⇒
! b3n ! ·
(∵ n が大のとき bn は十分小さい)
3
5
n
3
4n
4n 5 − b2n
<
<
;
;
1 3 3π
1
1 3 3π
1
3π
5
3π
5
⇐⇒ n− 3
! bn ! n− 3 3
·
⇐⇒ np− 3
! np bn ! np− 3 3
·
2
4
4 5 − bn
4
4 5 − b2n
⇐⇒
1
である.したがって,np bn が n → ∞ のとき有限の値に収束するための必要十分条件は p = であり,
3
;
1
3 3π
n → ∞ のとき bn → 0 だから,はさみうちの原理により, lim n 3 bn =
n→∞
4
1
とする.
+1
(−1)n n! (x + i)n+1 − (x − i)n+1
(1) f (n) (x) = 2
·
と表されることを数学的帰納法で示せ.ただし i は虚
(x + 1)n+1
2i
数単位である.
問 23
f (x) =
x2
(2) |x| < 1 の範囲で,f (x) は以下のべき級数表示を持つことを示せ.
f (x) =
∞
3
n=0
(−x2 )n = 1 − x2 + x4 − x6 + · · ·
(解) (1) 0 以上の整数 n についての数学的帰納法で示す.n = 0 のときは成り立つ.n = k
(" 0) で
式が成り立つと仮定すると,n = k + 1 のとき
1
2#
(−1)k k! (x + i)k+1 − (x − i)k+1
(k+1)
f
(x) =
·
(∵帰納法の仮定)
(x2 + 1)k+1
2i
(−1)k k! (k + 1){(x + i)k − (x − i)k }(x2 + 1)k+1 − {(x + i)k+1 − (x − i)k+1 } · (k + 1)(x2 + 1)k · 2x
=
·
2i
(x2 + 1)2k+2
k
2
k
k
(−1) (k + 1)! (x + 1){(x + i) − (x − i) } − 2x{(x + i)k+1 − (x − i)k+1 }
=
·
2i
(x2 + 1)k+2
(−1)k (k + 1)! {x2 + 1 − 2x(x + i)}(x + i)k − {x2 + 1 − 2x(x − i)}(x − i)k
=
·
2i
(x2 + 1)k+2
k
2
k
(−1) (k + 1)! −(x + i) (x + i) + (x − i)2 (x − i)k
=
·
2i
(x2 + 1)k+2
(−1)k+1 (k + 1)! (x + i)k+2 − (x − i)k+2
=
·
(x2 + 1)k+2
2i
となり,n = k + 1 でも成立するので,これで示された.
(証明終)
(2) (1) より
|f
(n)
in+1 − (−i)n+1
(0)| = (−1) n!
=
2i
n
:
n! (n = 4k, k " 0)
−n! (n = 4k + 2, k " 0)
, 0 (その他)
であるから,f (x) の a = 0 での 2n 次テイラー近似式 p2n (x) は
n
3
n
3
x2k
p2n (x) =
(−1) (2k)! ·
=
(−x2 )k
(2k)!
k=0
k=0
k
である.また任意の実数 x に対して
*$
*
*
*
* x + i %n+1 $ x − i %n+1 *
n
n+1
n+1*
*
(−1)
n!
(x
+
i)
−
(x
−
i)
n!
*
* = · **
|f (n) (x)| = ** 2
·
− 2
*
* 2 * x2 + 1
*
(x + 1)n+1
2i
x +1
n!
! ·
2
:*
*
*
* =
* x + i *n+1 * x − i *n+1
n!
*
*
*
+ ** 2
! · (1 + 1) = n!
*x2 + 1*
*
x +1
2
が成り立つから,テイラーの定理より
*
*
n
*
*
3
|x|2n+1
*
*
(−x2 )k * ! (2n + 1)! ·
= |x|2n+1
*f (x) −
*
*
(2n + 1)!
k=0
が成り立つ.|x| < 1 のとき,この式の右辺は n → ∞ で 0 に収束するから,f (x) =
が成り立つ.
(証明終)
∞
3
n=0
(−x2 )n
(|x| < 1)